映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』を観て
生活保護受給者に対して世間の目は冷たい。
ある自治体が「生活保護舐めんな」というジャンパーを着てた。
たくさんの批判を浴びる一方で、たくさんの喝采も浴びた。
日本の母子家庭の半数は貧困である。
シングルマザーに対して「自己責任」と責める風潮もある。
せちがらい世の中だ。
カンヌ映画祭パルムドール受賞
ケン・ローチ監督の「わたしは、ダニエル・ブレイク」を観た。
ケン・ローチ監督は、そのキャリアにおいて一貫してイギリスの労働者階級の庶民の生活の厳しい現状を描き、世に提示することで我々の心を揺さぶってきた。
彼は、映画の目的はアジテート(煽動)することだと言ってる。
心臓発作のため失業中の主人公ダニエル・ブレイクは、役所の複雑怪奇な手続きのため、満足する給付をもらえない。医者からは仕事を止められてるにもかかわらず、役所からは就業可能なので就職活動をしろと言われる。
見知らぬ土地に引っ越して着たばかりで10分遅刻しただけで、時間厳守と言われ、給付を受けられず一気に貧困に陥るシングルマザー。
そんな2人が助け合って生きていくという内容だ。
最貧困に陥る手前で踏ん張り助け合う2人の姿に感動するとともに、複雑怪奇なお役所仕事を盾に給付を与えないお役所に怒りがこみ上げてくる。
ついに、フードバンクで心身ともに壊れたシングルマザーの女性をダニエルが励ます場面が、心に突き刺さる。
さらに、その女性には過酷な状況が待っており、それを知ったダニエルと対峙するシーンがとても切ない。
この映画の主人公のように、ほとんどの人は、不正受給をしようと思ってない。
一生懸命もがいている。
働きたくても働けない理由がある。
それなのに、役所はルールを守る、役所の秩序の守るということを自己目的化している。
これは決してイギリスだけの話ではないと思う。
程度にこそ差はあれ、我々も同じことをしているかもしれない。
自分の仕事について、目を閉じて考えてみよう。
規則ですから。
前例はありません。
本当に困っている人の役に立っているのか?
その手続きが本当に必要なのか?
事務をすることが目的になっていないか?
ルールを維持することが目的となっていないか?
おかしいと思うことは変えていくことはできないか?
全ての公務員、そしてビジネスマンが見るべき映画にちがいない。
わたしはダニエル・ブレイクだ
人間だ。犬じゃない。
最低限の権利が欲しいだけだ。
尊厳を持って扱って欲しい。
ただそれだけだ。
客でもない、ユーザーでもない、コジキでも詐欺師でもない
ちゃんと税金を払ってきたのが自慢だ。
権力なんか見向きしないが、困ってる隣人を助ける。
わたしはダニエル・ブレイクだ。
それ以上でも、それ以下でもない。
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