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天才! 成功する人々の法則

公開日: : 最終更新日:2021/03/06 , ,


マルコム・グラッドウェルの新作
成功するには、才能はもちろんだが、
それに加えて、好機と偶然与えられた優位点が大きく占める。
更に文化的・民族的な側面も見逃せない。
私のことを振り返ると
小学生低学年(1970年代後半~1980年代初頭)に家にパソコンがあったという「好機」によって、社会に出てから若干のアドバンテージになっています。
(ただし、子供のころ「好機」ということを自覚できていたら、今頃はもっと・・・と後悔することもありますが)
そして我々は自覚していませんが、
日本人であるということ自体が既に「好機」なのです。
アジアの稲作文化は、
自主性、複雑さ、努力に見合う報酬を得れるという点で、とても意義ある仕事なので、労働者の勤勉を養っている。
(対して欧米の農業は、農民からの搾取という側面が強い)
そういった勤勉な民族であることの優位性を気付かせてもらいました。
先祖が残してくれた勤勉な文化、贈り物(ギフト)に感謝し、有効に活かしていこうと思いました。
また、翻訳者の勝間和代さんの言うとおり、
現代日本では、卒業した年によって就職が左右されたり、
親の所得によって学習する機会が失われたりと、
自分ではどうすることもできないことで、格差が助長されているのは由々しきことです。
しかし、それを高度成長の「好機」の恩恵を受けている人たちは、
「自助努力が足りない」、「甘えている」とか言うが、
そもそも、平等な機会の無い社会を作った世代が、それを言うのは酷だし、無責任極まりない。
また、トーマス・フリードマンの最新作「グリーン革命」でも、
世界中すべての人に「機会」をあたえることができれば、
すごいイノベーションを起こすことができると述べています。
よりよい世界を築くためにどうしたらよいか
本書のメッセージを抜粋します。

よりよい世界を築くためにわれわれに求められることは、
成功者を決める幸運や気まぐれな優位点、タイミングのいい誕生日や歴史の幸せな偶然の代わりに、
すべての人間に好機を与える社会を築くことだ。

その他、本書の中から気になったところを一部紹介。

■マタイ効果
成功するには、才能はもちろんだが、
それに加えて、好機と偶然与えられた優位点が大きく占める。
たとえば、カナダのアイスホッケー選手は、1月~4月生まれの人が多い。
なぜなら、カナダでは同じ年齢の少年を集めてクラスを作る場合、年齢を1月1日で区切るからだ。
少年期での1年は大きな違いであり、自然と1月~4月生まれの子供が選別され、
さらに、優秀な指導者によるトレーニングなど特別な機会を与えられるといった好循環。
みずからが勝ち取ったわけでない「好機」によって、優位・淘汰が決定される。
社会学者のローバート・マートンはこれを「マタイ効果」と呼んだ。
「誰でも、持っている人は更に与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる」
(新約聖書のマタイによる福音書より)
マタイ効果は、アイスホッケーに限らず、たくさんある。(ヨーロッパのサッカー、アメリカのベースボール等)
才能を見逃さないためにの最善方法は、できるだけ早い時期にオールスター選手を集め、
英才教育を実施することだと考えがちだが、実は効果がない。
逆に他の才能が浪費されている。
■1万時間の法則
頂点に立つ人物は他の人より少しとか、ときどき熱心に取り組んできたのではない。
圧倒的にたくさんの努力を重ねている。
世界レベルに達するにはどんな分野でも1万時間の練習が必要である。

さらに、1万時間費やすことのできる「好機」も味方する。

(例)ビートルズは偶然のなりゆきでハンブルグに行き1万時間音楽に没頭できた。
ビル・ゲイツは世界最先端のコンピューターを有した中学校に入学したという幸運があったため、
コンピューターに1万時間没頭できた。
さらに、ビル・ゲイツの場合、生まれた年(1955年)も「好機」といえよう。
パソコン革命におおきな恩恵を受けた世代だからだ。(パソコン時代の幕開けの1975年に20歳前後)

1955年生まれ:スティーブ・ジョブス(アップル)、エリック・シュミット(グーグル)
1954年生まれ:ビル・ジョイ(サン・マイクロシステムズ)

■文化の影響
成功するには、文化の影響もあるが、克服することも可能だ。
○航空業界の事例
PDI(権力格差指標)が大きい民族の副操縦士ほど、航空機事故が多い。
※PDI:権威に敬意を示す指数。これが高いほど権力や上司に異議を唱えるのが困難な民族。

機長が間違った判断をしたときに、副操縦士は、自分の意見を主張しなければいけない。
最悪、機長から操縦桿を奪い取ることを辞さない心構えが必要だ。
また管制塔が何を言おうと、緊急時には自分の意見を主張しなければいけない。
1999年以前の大韓航空は世界で圧倒的に事故の多い航空会社だった。
それは、韓国はとてもPDIが高いからだ。
信じられないことだが、墜落しそうな緊急時でも
機長にモノ申すことはできず、管制塔に意見を主張できず、墜落事故につながるケースが多かった。
しかし、大韓航空では、民族性を理解し、徹底した社内教育・改革により、
現在世界で一番安全な航空会社になっている。

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Comment

  1. joshua より:

    >日本人であるということ自体が既に「好機」なのです。
    前に仕事でシンガポールに行ったときに、実感したなあ。
    日本の技術力は高い、日本のビジネスマンは約束を守り、かつ勤勉だ。こうした日本に対するイメージは、仕事をするうえで大きなアドバンテージだと感じたね。
    先人たちが築き上げてきた大きな資産だよね。
    ちなみに当時、9・11テロの後で、大きな商業施設ではセキュリティーが非常に厳しかったけど、なぜか我々だけはノーチェックで入れる。
    「ボディーチェックされないんですね」と現地在住の人に聞いたら、「日本人は安全と思われているからね」と言われた。
    「なるほど。ところで、なんで我々が日本人って分かるんですか」と聞いたら
    「シンガポールでスーツ着てネクタイを締めているのは日本人だけだよ。」と言われました(笑)

  2. Tatsuya より:

    シンガポールにビジネスですか?
    グローバルな活動、かっこいいですね。
    日本人は、日本を悲観的に見る傾向がありますが、政治以外は世界の一流国だと思います。
    今後も更なる発展ができるよう、がんばっていかないといけませんね。

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