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イノベーションのジレンマ

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超有名なこの本を今更ながら初めて読んだ。
本書は1997年米国発売、2001年日本語訳版と10年以上も前の書籍なのに、まったく色あせない。

業界をリードしていた企業が、なぜ失敗するのか?
それも不良な企業ではなく、優良な企業がだ。

顧客の声に鋭敏に耳を傾け、顧客の次世代の要望に応えるように積極的に技術、製品、生産設備に投資する企業は成功する。
そして、
顧客の声に鋭敏に耳を傾け、顧客の次世代の要望に応えるように積極的に技術、製品、生産設備に投資する企業は失敗する。
えっ?
成功する理由と失敗する理由が同じ?
偉大な企業はすべてを正しく行うが故に失敗する
なんということだ。
なんというジレンマ。
優秀な経営陣そのものが失敗する原因。
顧客の意見に耳を傾けるのが失敗する原因。

ただ安心してほしい。
「持続的イノベーション」のときは、このアプローチで良い。
が、
「破壊的イノベーション」が起こったときは、そうはいかない。
破壊的イノベーションが起こったときは、専門家の予測は必ず外れるし、経営陣が優秀であれば、失敗する。
顧客の意見に耳を傾ければ、破壊的イノベーションを見過ごしてしまう。
「顧客の意見に耳を傾けよ」とよく言われるが、いつも正しいとは限らない。
むしろ顧客は、メーカーを持続的イノベーションに向かわせ、
破壊的イノベーションのリーダーシップを失わせ、誤った方向に導く事がある。

本書では様々な実例
 ディスクドライブ市場、フラッシュメモリー市場、マイクロプロセッサー市場、
 掘削機業界、ホンダの北米オートバイ業界進出の例、ソニーのトランジスターラジオ
 など
をもとに、破壊的イノベーションに対するマネジメントを考察し、われわれにヒントを与えてくれる。

破壊的イノベーションに対しては、従来の持続的イノベーションと同じマネジメントでは失敗する。
破壊的イノベーションは、失敗がつきものなので、慎重な計画を立てる前に、まずは行動を起こす必要がある。
パワポで自己満足な資料なんか作ってるヒマはない。
市場のニーズ、将来の市場の規模なんてわからない。
破壊的製品の用途は企業にも顧客にも誰にもわからない。
だから、実行のための計画ではなく、学習の計画でなければいけない。
そういう仮定に基づいた「不可知論的マーケティング」が必要なのだ。
実験室やフォーカスグループで活動するのでなく、市場へ発見志向の探索に出かける必要がある。
その他、どういった人材、どういった組織がいいのか、どういう資源配分がいいのかなど、ヒントが満載だ。

さて、最近の破壊的イノベーションといえば、
本書にはないが、私がまっさきに思い浮かぶのはアップルだろう。
お客の声を聞いていたら、iPodやiPhoneは生まれなかったに違いない。
iPodという破壊的イノベーションで、ウォークマンを絶滅の危機まで追いやり、
iTunesという破壊的イノベーションで、CD業界を滅ぼし、
iPhoneという破壊的イノベーションで、携帯電話のリーディングカンパニーとなった。

馬車の延長線上には自動車はない。
より性能のよい馬車を作ろう というフレームワークでは、自動車という発想は絶対に出てこない。
翼の延長線上には飛行機はない。
より性能のよい翼を作ろう というフレームワークのままでは、いまだに人類は空を飛んでないだろう。
鳥人間コンテストが関の山だ。

人類は、破壊的イノベーションを繰り返し、その度に企業は新陳代謝を繰り返し、今の発展がある。
規模の小さな新興企業が破壊的なイノベーションを起こすことがほとんどだ。
そこがイノベーションの痛快で面白いところ。
今もどこかに破壊的イノベーションがたくさん潜んでるはず。
破壊的イノベーションに滅ぼされないために、
また、自分が破壊的イノベーションを見つけたときのために、
本書を読んで、そのときに備えよう。

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