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007 スカイフォール

公開日: : 最終更新日:2014/05/07 映画感想文

私は自称映画ファンの癖に映画館で007の映画を観るのは今回が初めて。
あのダラダラ感、ご都合主義感が、どうも苦手でマジメに最後まで観たことがない。
ダニエル・グレイグが、ボンドになってからのシリアス路線に期待してたけど、
往年の007ファンに配慮してるのか、シリアスと娯楽のバランスが中途半端に感じてた。
今回はアカデミー作品賞受賞作「アメリカン・ビューティ」の監督サム・メンデス、
敵役に「ノー・カントリー」でアカデミー賞助演男優賞のハビエル・バルデム
ときいて、これまでにないボンド映画であろうと期待した。


レイダースを彷彿させる開始直後の凄まじいアクションシーンにはアドレナリンが沸騰し、
アデルの歌うタイトルバックに魅せられ、
上海、マカオを舞台にナゾの敵を追っていくサスペンスに緊張感が襲う。
特に上海での殺し屋との格闘のビジュアルは特筆もの。
開始1時間くらいまで、ちょっぴりユーモアをまぶしながらも緊迫した展開に、物語の世界へ没頭できた。
そして、敵のボス登場!
いよいよハビエル・バルデムの登場だ。
今回は長髪ではなく、ウィキリークスのジュリアン・アサンジを意識したような金髪姿の出で立ち。
かつてハビエル・バルデムが「ノー・カントリー」で演じた殺し屋は、私の中では映画の歴史至上最凶の悪役だった。画面に存在するだけで観客の側にも緊張が走る悪役は、これ以外には「羊たちの沈黙」のレクター博士しか思い浮かばないほど。

と、めちゃくちゃ期待したのだが、敵のボスが登場してから以降、物語は急に冴えなくなる。
敵の目的がプライベートすぎて、スケールが小さいし、その目的達成のためにそこまで固執する動機がいまひとつ伝わってこない。
前半の鋭さとはうってかわって、後半は、ご都合主義全開、無駄に時間が長く、ダラダラした展開。
今回は人間ドラマを重視した007らしいが、どうも中途半端感、残尿感が残る。
007シリーズって、水戸黄門や寅さん、吉本新喜劇のように、ある程度型が決まって、観客もそれを期待していると思うので、細かい所についてマジメに突っ込んでもしょうがないけど、今回は監督、出演者が素晴らしく、前半部分が最高の出来だっただけに、後半の持っていき方がとても残念だった。

確かに米ソ冷戦時代とは違い、敵は国家ではなく、
アルカイダのように複雑にネットワーク化されたテロ組織、
ウィキリークスのようにそもそも組織ではない存在を相手にしてるのだから
誰にでも分かり大人の鑑賞に耐えれる娯楽映画にするのはとても難しいのだと思う。

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