ノマド化する時代
私が住んでる広島という地方の田舎都市にも、この前、H&Mがやってきました。
みんな待ち通しかったのでしょう。大繁盛してます。
私はオッサンですが、女性ものの服を見るのは嫌いではないですし、こういうところに来るとタグをチェックしてしまいます。
原産地はどこなのか?
中国、インド、バングラディッシュ、トルコ、カンボジア、ベトナム、インドネシア。。。。
このように製造業では、世界中にサプライチェーンが構築され、
水が高きところから低きところへ流れるがごとく、安いところへ安いところへ製造拠点は移動します。
製造業に限りません。
以前、東京に行ったとき、コンビニやファーストフード店で日本人の店員にほとんど遭遇しませんでした。
日本以外のアジアのひとたちばかりでした。
私のような田舎町のコンビニや居酒屋でもアジアの人はよく見かけます。
コールセンター業務も安いところへ移動します。
英語圏では、フィリピン、インドが、世界中の英語圏のコールセンター業務の集積地となっていることはよく知られてますが、
日本語のコールセンターも、人件費の高い日本から中国に移動しています。
日本語堪能な中国人オペレータが、日本人相手にコールセンター業務を行っています。
逆に日本人が仕事を求めて中国人と同じ給料で大連に渡っているような逆転現象が起きています。
英会話もそうです。
日本の英会話学校は授業料が高いですけど、
フィリピン人講師のSkypeレッスンは、毎日30分のマンツーマンレッスンで1ヶ月5000円と破格の値段です。
数年後には日本の英会話学校は大幅に淘汰されることでしょう。
※フィリピンのあるオンライン英会話サービスの会社の中に特別に案内させてもらったとき撮った写真。
この1つ1つの部屋からSkypeで日本と繋がっています。まさに、World is Flat を実感した瞬間でした。
そのときの模様はこちらのブログで。
「セブをブラタツヤ[番外編:オンライン英会話の舞台裏]」
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=4451412
このように、アパレルや自動車、家電などの製造業に限らず、
サービス業など全てのビジネスは安いところ安いところへと移動するものです。
さて、人件費の高い安いで、仕事や人間の移動が起こるのは、今に始まったことではありませんが、
最近は今までと違ったパターンの移動が増えています。
日本は閉鎖的で息苦しい社会だというのは、ずっと言われてきました。
しかし、そもそも日本から脱出するという考えには至りませんでしたし、そんな発想自体なかったです。
この閉塞した日本社会で我慢して生きるしかないのだと、それが自明の理であるかのように思っていました。
野茂がメジャーリーグに行く前は、メジャーに行くこと自体、だれも発想してなかったことです。
それが今やメジャーリーグに日本の選手が行くこと自体珍しいことではありません。
ワールドシリーズ優勝したレッドソックスで大活躍した田沢投手のように、日本のプロ野球を経験せず直接メジャーに挑戦する人も出てきました。
スポーツの世界同様、今まで日本で生きるしかないという発想しかなかった一般ピープルの意識も変わってきました。
異常な就活状況、就職できても、上が詰まって出世の望めない中年ばかりの硬直した組織。
そんな組織に今までは我慢するしか方法はありませんでしたが、最近、海外に生きる道を見いだそうとする若者が増えてきました。
教育もそう。
日本の硬直的な教育に我が子を預けれない。
日本の学校に任せてたら将来が不安だ。
それでも今までは我慢するしかなかったですが、最近は大金持ちでなくても、教育のために国境を越える人がでてきました。
私の友人家族にもいますが、マレーシアに子供の教育のために移住する人が増えています。
※これはマレーシアのジョホールバルに進出したキャサリン妃の出身校として知られる名門マルボロカレッジ(の看板)の写真
校舎を撮影しようとすると怖そうな警備員が出てきてNGでした。
なお、そのマレーシアに移住した友人を訪ねたときのブログはこちら
「ジョホールバルをブラタツヤ」
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=5011269
このように、つい10年くらいまでには考えられなかった種類の国家間の人間の移動が、当り前のようなことになりつつあります。
ヨーロッパ最高の頭脳と呼ばれたジャック・アタリが言ったように世界中の人間が遊牧民(ノマド)のように世界を転々とする時代が来るのかもしれません。
前置きが長かったですが、
今回は、こういった世界の流れを豊富な事例で分かりやすく解説した「ノマド化する時代」をご紹介します。
ノマド化する時代 (ディスカヴァー・レボリューションズ) 大石哲之(@tyk97) ディスカヴァー・トゥエンティワン |
アタリによれば、グローバル化やIT化の進展により、2050年には国家の役割は解体され、
私たちは全員、望むも望まないも、以下のどれかのノマドになってしまいます。
・21世紀の新しい支配層「ハイパーノマド」
・定住民として国の枠組みの中に住みながら、ネットやガジェットを使って国境を越える「バーチャルノマド」
・仕事を求め世界中に出稼ぎに行かなければ食って行けない「下層ノマド」
今までは、国家間の貧富の差のおかげで、私たちは贅沢な生活を享受できていましたが、
国家間の枠組のなくなった未来のノマドの世界では、能力が全てです。
日本人も、バングラディッシュ人も、ナイジェリア人も、同一能力同一賃金。
日本人といえスキルのない人は、世界中に仕事を求め出稼ぎに行かなければならなくなります。
「どこに所属してるか」ではなく
「なにができるか」
が、問われる時代が目の前に来ているのです。
Camels at sunset / stupiddream
そうはいっても、世界で勝負なんかしたくない。という人は多いでしょう。
私もそうです。
できることなら、組織に守られながら、毎月お給金をもらい、
定年までお勤めし、その後は悠々自適な年金生活を送りたいものです。
しかし、もうそんなことはファンタジーです。
ノマドになりたくなくても、全ての人間がノマド的に生きていかなければいけない状況に放り出されることでしょう。
リンダ・グラットンが世界的ベストセラー『ワークシフト』で言ったように、私たちは一生死ぬまで働き続けなければいけない時代がやってきます。
私は40歳を超えたノースキルのオッサンです。
多分もう遅いかもしれませんが、そうはいっても来たるべきノマドの社会に向けて、
下層ノマドにならないよう、今のうちに準備しなければいけません。
そのヒントが本書に掲載されています。
【参考図書】
「ワークシフト」
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=4551777
ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉 リンダ・グラットン,池村 千秋 プレジデント社 |
『ハイ・コンセプト 新しいことを考えだす人の時代』
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=4157250
ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代 ダニエル・ピンク,大前 研一 三笠書房 |
『フラット化する世界』
フラット化する世界〔普及版〕上 トーマス・フリードマン 日本経済新聞出版社 |
『10年後に食える仕事 食えない仕事』
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=4295348
10年後に食える仕事、食えない仕事 渡邉 正裕 東洋経済新報社 |
『ノマドと社畜』
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=4824881
ノマドと社畜 ~ポスト3・11の働き方を真剣に考える 谷本真由美(@May_Roma) 朝日出版社 |
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