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ビジョナリーカンパニー4 自分の意志で偉大になる

公開日: : 最終更新日:2017/03/25 , ,

現代のドラッカーともいわれるジムコリンズの
ビジョナリーカンパニーの最新作を読んだ。

『ビジョナリー・カンパニー』 では、偉大な会社になるための条件を、
『ビジョナリー・カンパニー2』では、良い会社が偉大な会社になるための条件を
『ビジョナリー・カンパニー3』では、偉大な企業がなぜ衰退するのか、どうすれば防ぐことができるのか
を豊富な研究、分析により。我々に示してくれた。
「時計を作る」「弾み車」「針鼠の概念」「コッテージ・チーズ」など、本書からたくさんの用語が生まれ定着した。

今回は、不確実性の時代に飛躍する企業の条件について教えてくれる。
過去のビジョナリーカンパニーシリーズで紹介した企業は、偉大な企業ばかりであったが、多少の上下はあるものの株価は右肩上がりで、米国は永遠に反映していくものと誰も疑わなかった時代の話である。
2000年代に入ると、911、リーマンショックなど、世界は混沌としてきて、いつなんどきブラックスワンが襲ってくるか分からない不確実な時代になってきた。
本書では、経営地盤が脆弱な状態でスタートし、不安定な環境化でありながら目覚ましい成長を遂げ、他の企業を圧倒するほどの偉大になった企業を取り上げる。
具体的には、15年以上に渡って、置かれた環境が非常に厳しいのにも関わらず、所属業界の株価指数を少なくとも10倍以上上回る株価パフォーマンスを記録した企業「10X(10倍)型企業」について分析し、その共通点を探る。
これが25000社から選ばれた10X型企業だ。
サウスウエスト航空
ストライカー
アムジェン
バイオメット
プログレッシブ保険
インテル
マイクロソフト
※この調査は2002年までなので、今や世界最強企業になったアップルが10X企業に入ってない。まさしくジョブズ復帰後のAppleは10X型企業なので、補足説明はある。

1911年、アムンゼンは人類初の南極点到達を果たしたが、同じ時期に南極点を目指したスコットは遭難死した。
同じ条件の極限状態にありながら、アムンゼンは成功し、スコットは失敗した。
この例は10X企業と多くの類似点があり、本書でたびたび比較されている。

まず、リーダーについて、
10X型企業のリーダーやアムンゼンに共通して見られる3つの資質
1.狂信的規律
行動の一貫性、長い時間を経ても行動がぶれない
一貫性を保つからこそ断固たる対応をするし、偏執狂のように目標に向かって突き進む
2.実証的創造力
科学的に実証できる根拠を頼りにする
実証的な基盤をしっかりと築くからこそ、大胆で創造的に行動できる
3.建設的パラノイア
良い時でも悪い時でもガードを崩さない。
警戒心や不安をテコに行動している。
最悪の状況を想定して日頃から準備を怠らず、
有事対応策を練り、衝撃緩和の仕組みをつくり、安全余裕率を高める。
これら3つを活性化させるのが、
やる気を起こす原動力
「レベルファイブ(第5水準)野心」
自己利益のためでなく、自己を超越した大義のために全身全霊を捧げることだ。
ビルゲイツは全てをマイクロソフトに捧げている。
スティーブ・ジョブズもしかり。
狂信的であり、偏執狂だ。


本書はこの3つの資質をベースに構成されている。
狂信的規律については、
「20マイル行進」がキーワード。
この用語は。アメリカ大陸横断した人の話から来ている。
彼は毎日20マイル歩く。
暑かろうが寒かろうが、雨が降ろうが、雪が降ろうが、きっちり20マイル歩く。
アムンゼンも同じだった。
悪天候だろうが、天気がよかろうが、毎日同じ距離を行進した。
今日はいい天気だからもっと進もうと隊員が言っても、同じ距離しか進まない。
荒れ狂う猛吹雪でも同じ距離を進む。
対するスコットは、天気次第で日々進む距離が違った。
今日は猛吹雪だから止めよう。今日はいい天気だからたくさん進もう。
結果はどうなったか。
企業も同じ、
10X企業は、市場環境に左右されるのではなく、一貫したペースを守っている。
どんな状況下でも一貫したペースを保つ。
好景気で、株主から何を言われようが、当初設定した目標以上は求めない。
一方でどんなに市場環境が悪くても、それを言い訳にせず目標を達成する。

つづいて、
実証的創造力については、
「銃撃に続いて大砲発射」というキーワードで説明している。
10X型成功を成し遂げる要因はイノベーションだと思うが、実際は違う。
たしかにイノベーションは重要だが、それほど重要ではないとキッパリ言う。
イノベーションの閾値さえ達成できればいい。
いったん閾値を超えれば、それ以上のイノベーションは無意味だという。
つまり、イノベーションを追求しすぎるのではなく、閾値を超えたイノベーションをたくさん投入することが重要で、銃撃と大砲の例を使って分かりやすく説明している。
大砲(大きなイノベーション)に全ての火薬(リソース)を費やすのではなく、大量の銃撃(小さなイノベーション)を撃つ銃撃戦が必要なのだ。
すべての火薬をつぎ込んだ大砲が、もしはずれたらどうするんだ。
早い話がそういうこと。

3つ目は
建設的パラノイア
それは、死線を避けるリーダーシップのことである。
・前もって突発的出来事に備え、現金等の手元資金を積み上げ、バッファーを用意する。
→余分な酸素ボンベ、これこそが嵐の前にやるべきこと
・リスクを抑える死線リスク、非対称リスク、制御不能リスクがある。
これらのリスクを抑えることで、時間軸リスクを上手に管理する。
→早く行動しすぎると時にリスクが高まるし、遅く行動しすぎても時にリスクが高まる。
重要なのはリスク許容度が変わるのにどのくらいの時間がかかるのかという質問を自分自身に投げかけられるほど冷静沈着でいることだ。
・ズームアウトに続いて、ズームイン。
状況変化を察知し、効果的に対応するために徹頭徹尾用心深くなる。

他にも、SMaCレシピ、運の利益率など興味深い話題が豊富である。

そして、これらをふまえて、もっとも大事なことを繰り返す。
「レベルファイブ(第5水準)野心」だ。
自己利益のためでなく、自己を超越した大義のために全身全霊を捧げることなのだ。
10X型リーダーの活力や規律は、彼ら自身の内面から生まれたものだ。それも非常に深い内側から。
だから、残念なことに、常人は10X型リーダーになることは不可能だろう。
「レベルファイブ野心」は幼少期から培われてきたものの積み重ねだからだ。
そうはいっても、10X型リーダーの特質を理解することは無駄ではない。
少しでも、表面だけでもいいから、その資質を理解し、マネするだけでも、偉大なリーダーに近づく一歩になるのだと思う。

人生の時間は限られている。
私たちには、どのように決断するか、行動するかという選択の自由がある。
自分の意志で偉大になれる。

「絶望的な状況に置かれても、そこから希望を見いだすよう固く決意すべきである」
(作家 F.スコット.フィッツジェラルド)

【参考】
ビジョナリー・カンパニー
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=2251687

ビジョナリー・カンパニー2
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=2353582

ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=3317089

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