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『捨てられる銀行』を読んで

公開日: : , 銀行

 

 

最近の日経新聞に10年後地方銀行の半数が本業赤字になるという記事があった。

 

地銀の半数超、本業赤字へ 金融庁が試算 

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS13H4B_T10C16A9EE8000/

 

 

人口減少、金利低下による利ざやの縮小。

地方銀行の未来は暗い。

預金を集めてリスクの低い貸出先に貸すというビジネスモデルが限界にきている。

 

 

 

「捨てられる銀行」という本を読んだ。

 

<

 

 

バブル崩壊後、2度とこのようなことがないように、金融庁は、「金融検査マニュアル」というバイブルにより銀行を支配するようになった。

金融庁の目論見は見事に当たり銀行員は頭を使うことをやめ、マニュアルに従い、金融庁の奴隷となる道を選んだ。チェックリストという自らを縛る鎖がないと不安になり、しまいには自ら鎖を欲しがるまでになった。

資産査定でバッテンを食らった企業は退場し、その一歩で健全になっていく地方銀行。

確かに時代の読めない旧態然としたゾンビ企業は退場すべきだが、本当に地域に必要な企業、長期的に成長の見込みのある企業を金融庁のチェックリストで選ぶのか?

 

地域が衰退する一方で、地方銀行の財務体質は健全になり、地域の勝ち組企業になった。

 

でも、それって、何のための地方銀行なのだろうか。

 

 

 

本書では、ズバリ、地域を衰退させたの元凶は「金融検査マニュアル」にあり、地域ではなく金融庁を向いた地方銀行にあると断言する。

このままでは、「地方創生」は掛け声倒れになる。

もうこれ以上の見て見ぬ振りはできない。

長期的視野で国家を考えなければいけない時代。

 

森金融庁長官の元、改革が始まる。

今まで重視してきた「銀行の健全性」「企業の資産査定」ではなく、「企業と経済の成長と資産形成」、どれだけ地域に貢献したのかということに比重が高まった。

 

本書には、いろいろなエピソードがあるが、一番興味深いのが

 

「短コロ」

だ。

 

これは、短期転がしの略で、

1年以内という短期の融資を転がす(ずっと続ける)もので、実質利息返済のみで返済の必要がない借入金だ。

金融庁検査マニュアル以前は、短コロは、銀行と顧客企業をつなぎとめた。半ば出資金に近いようなものだった。

これを金融庁検査では、よろしくないとし、銀行はこぞって短コロを長期資金に切り替えた。

そしてその結果、地銀が中小企業に足を運ばなくなった。

短コロは数ヵ月ごとに返済期限が来るため、地銀の営業担当者は頻繁に中小企業を訪れなければならず、自然と経営課題や業容、技術力の強みなどを把握する貴重な機会となっていた。

しかし、金融庁マニュアルの評価が良くなる担保・保証に依存した長期融資ばかりで、顧客まわりをしなくなった銀行には、企業が何をどうつくり、どのように売っているのかを把握することはできない。商流もつかめず、期末になると「借り入れてください。私のノルマが達成できません」と低金利貸し出しのお願い営業を繰り返すだけの存在に成り下がった。

 

 

 

銀行以外の人間から見ると銀行は特殊だ。

アップルはiPhoneをセールスするだろうか?

任天堂はポケモンゴーをセールスするだろうか?

銀行の都合で、余計な貸し付けや投資信託の無理な販売をしてないだろうか?

銀行員は、入社試験の面接で述べた地域貢献の志とはまったく無縁の、しかも終わりのない不毛なレースを強いられている。

 

国家100年の計よろしく地域100年の計を見ず、短期的な成果だけを求める。

それも、規模の似通った同業者の数字、動向ばかり見て、やってることは昭和時代と変わっていない。

この動乱の時代の中、目の前にある破壊的イノベーションに気づいていない。オセロの色を一気に変えられる可能性があることに気づいていない。

 

 

 

数年前のベストセラー「ブラック・スワン」にこんなエピソードがある。

 

感謝祭の間の七面鳥は、飼い主から毎日たっぷりと餌をもらえる。

七面鳥は、この世界はたっぷりと餌をくれる人間で溢れているという世界観を持つであろう。

感謝祭当日にその世界は一瞬に崩れることも知らず。

 

地方銀行に限らず、私たちは感謝祭の前の七面鳥なのだ。

 

 

物事の本質を見なければ、

自分の頭で考えなければ、

 

本書の題名通り、捨てられる。

 

 

 

 

 

 

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