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野球を学問する

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昨年12月、大阪の高校のバスケットボール部監督の体罰により、キャプテンが自殺したという悲しい事件がありました。
この事件を発端として、女子柔道日本代表の体罰問題が明るみになったり、日本全国が「体罰絶対ダメ」という意識に転換しました。
ある意味、彼の死は、日本のタブーを明るい所に引っ張りだし、国民の意識を統一させたということで、今のところ無駄にはなっていないと信じます。
慎んでご冥福をお祈り申し上げます。

さて、そういった体罰を容認する軍隊的、精神論的な風土、いわゆる「体育会系」と呼ばれるものはどこから来てるのでしょうか?
以前から体罰に反対してきた元プロ野球選手の桑田真澄さんの
「野球を学問する」
に、その回答を求めてみましょう。
野球のスーパーエリートである桑田さんでさえ、リトルリーグ時代は監督に殴られたり、PL学園時代は、練習中にトイレや水たまりの水を飲んだりしてたそうです。


よく、ベースボールと野球は違うと言われます。
日本のそれは「野球道」です。
その源流は早稲田大学の飛田穂洲が、ベースボールを日本の武道に通じる「野球道」として解釈したことに始まりました。
野球道は以下の3つを根幹とします。
「練習量の重視」
「精神の鍛錬」
「絶対服従」
戦時中の当時は、ベースボールは敵国のスポーツで、弾圧の対象でもありました。
飛田は軍から野球を守るために、死の練習による精神鍛錬、絶対服従は兵士養成に役立つこと、野球部愛は国家愛につながることなど「野球道」の精神的な部分を全面的に強調しました。
こういった時代的背景が、野球を軍隊化しました。
こうでもしないと野球は弾圧されていたから、しょうがなかったことでしょう。
しかし問題は、戦後になっても、それが残っているということです。
野球道はいまだに戦時中から変わっていないのです。

そこで、
桑田さんはこう提言します。
「野球道」という言葉を「スポーツマンシップ」という言葉に置き換え、
各、以下のように置き換えます。
「練習量の重視」→「練習の質の重視(サイエンス)」
「精神の鍛錬」→「心の調和(バランス)」
「絶対服従」→「尊重(リスペクト)」

おっと、これらって、そのまま私たち会社人間にもあてはまりますね。
野球道の考え方は、野球に留まらず、サラリーマン社会にも蔓延してます。
そりゃあ、絶対服従の方が、管理する方は楽です。
業績が悪いのは根性が足りないからだ!
もっと顧客を訪問しろ!
というほうが、上司としては楽です。
だから、支配階級にとって都合のよい野球道的考えがなかなか消えないのでしょう。
そう考えてみると、現在表面化しているスポーツの体罰問題は、日本社会の縮図といえます。
社会全体を覆ってる問題です。

旧帝国陸軍のような組織は、統率はとれるのでしょうが、人間から思考能力を奪います。
経済が右肩上がりの時代は、上から言われる事を、忠実に実行する人間が求められてました。
それが日本の組織の強さの源泉でした。
そういう残像がまだ頭の片隅にある人は
平気で部下のことを「兵隊」と言います。
これには、いつも閉口します。

しかし、今は時代が違います。
自分の頭で考え、クリエイティビティを発揮しなければ、
新興国の波に飲まれる事は必至です。
早く「会社道」「サラリーマン道」から抜け出よう。
いつまで、戦時中(それも敗戦した戦争)に出来た「野球道」というイデオロギーに基づいた考え方をしているのですか?


参考までに、
ニューヨークタイムスの2012年7月の記事をご紹介します。
ヤンキースの黒田へのインタビューです。
彼の高校、大学時代の野球部での体験が紹介されており、「米国ならば児童虐待」だと評されてます。
Yankees’ Kuroda Was Molded by Pain in Japan
「ヤンキースの黒田は日本での苦痛によって形作られた(直訳)」

http://www.nytimes.com/2012/07/06/sports/baseball/in-japan-yankees-hiroki-kuroda-was-molded-by-pain.html?smid=tw-share
この記事では、
練習中に水を飲んではいけないために、監督や先輩の目を盗んでトイレや汚い川の水を飲む様子
夏休みは朝6時から夜9時まで練習すること
ヒットを打たれた罰として朝から晩までランニングさせられたこと
大学1年生は奴隷として先輩の洗濯など身の回りの世話をすること
など、
私のような日本人のオッサン世代にとってはよく聞く話ですが、
米国の人にとってはとても衝撃的な内容で、驚きをもって紹介されてます。

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