*

ブラック・スワン

公開日: : 最終更新日:2016/12/30


今年最大の話題のビジネス書をついに読了。
今までの価値観が一変するほどの衝撃を感じた。
著者 ナシーム・ニコラス・タレブは、
レバノン出身、NY在住のデリバティブ・トレーダーである。
文芸評論家でもあり、不確実性科学を研究する大学教授でもある。
著者のあらゆる学問(経済、哲学、科学、文学、芸術など)への造詣の深さと、
デリバティブ・トレーダーとしての実践者という立場から
既存の経済学者、数学者に対するアナーキーで鋭い切り口には舌を巻く。
多くのビジネス書が幼児本に思えるほど、中身は濃い。
とても難解な内容であるが、ユーモアたっぷりでエッセイ調の軽い文体なので、門外漢であっても読みやすいと思う。
なお、本書は金融危機前夜の2007年4月に発行、その後の世界を予見したような内容で、著者の慧眼に感嘆する。

では、本書について
「ブラック・スワン」とは、
とても大きな衝撃を与える異常な出来事のことであり、
事前に予測できなかったにも関わらず、事後には予測が可能だったと後付けできるようなことである。
何千年もの間、白鳥はすべて白いというのが当たり前だった。
しかし黒い白鳥が発見され、今までの定説は完全に覆されてしまった。
そこから、あるはずのないことを黒い白鳥「ブラック・スワン」に例えた。
9.11、ソ連崩壊、インターネット、ブラックマンデー、サブプライム ・・・・・
絶対に起こらないと言われたことが、ときどき起こる。
テロリストが飛行機でビルに突っ込むなんて、誰が予測できようか?
ブラックマンデーは、宇宙の一生が数十億回繰り返してやっと1回起こるほどの確率だ。(なのに起こった)
経済学者や市場関係者は、正規分布のベル型カーブの中でしか考えない。
ブラックマンデーやサブプライムは、異常な値だからしょうがないとして排除する。
異常こそが重要なのに。
だから、
新聞やテレビを過度に見てはいけない。
政府やアナリスト、経済学者の予想を聞いてはいけない。
情報があればあるほど、判断ができなくなる。
情報があればあるほど、「ブラック・スワン」の存在が見えなくなる。
今日の日経平均がどうだったとか、NYダウがどうだったとか。
そんな些細なことに時間をかけすぎてはいけない。
せいぜい取引先や同僚との話題や雑談に必要なだけだ。
「ブラック・スワン」は一瞬ですべてを焼き尽くす。
ブラックマンデー、9.11、サブプライム・・・
今まで積み重ねたものを一瞬で破壊する。
S&P500の過去50年のリターンの半分は、動きの極端だった上位10日で占められている。
その極端なときが、「ブラック・スワン」だ。
それ以外は、些細などうでもいい話ばかりだ。

木を見るな、森を見ろ
枠の中に閉じこもるな、枠の外で考えろ

タレブは我々に警告し、「ブラック・スワン」との付き合い方を教えてくれる。

さて、これを見てほしい。(本書の一部をスキャナー)
感謝祭前後の七面鳥のグラフだ。

七面鳥がいて、毎日エサをもらっている。
エサをもらうたび、七面鳥は、親切な人たちがエサをくれるのだ。それが法則なのだと信じ込んでいく。
が、感謝祭の前の水曜日の午後に、思いもしなかったことが七面鳥に降りかかる。
過去のトレンドって一体なんなんだ。何がわかる?
我々は七面鳥と同じだ。サブプライムに嘆く我々は七面鳥なのだ。
次に、ビリヤードの反射についての図だ。
左からビリヤードの球が転がり、中央の球にあたり、その後の軌跡を表している。
ちょっとした誤差があとあと非常に大きな影響を与えることが分かるだろう。

そう、予測なんてこんなもの。
経済学者やアナリストのことを信じてはいけない。
そもそも将来のことが分かるはずがないのだから。
では、我々が七面鳥にならないためには、どうすべきか?
本書にはそのヒントが詰まっている。
(バーベル戦略やフラクタルなランダム性など)
しかし、これ以上は読者の特権。是非ご一読を。

最後に、タレブの感動的なメッセージで終わります。

ただ生きているだけでものすごく運がいいのを、私たちはすぐに忘れてしまう。
それ自体がとても稀な事象であり、ものすごく小さな確率でたまたま起こったことなのだ。
地球の10億倍の大きさの惑星があって、その近くに塵が一粒漂っているのを想像してほしい。
あなたが生まれるオッズは塵のほうだ。
だから、小さいことでくよくよするのはやめよう。
贈り物にお城をもらっておいて、風呂場のカビを気にするような恩知らずになってはいけない。
もらった馬の口を調べるなんてやめておこう。
忘れないでくれ、あなた自身が黒い白鳥なのだ。

ad

    この記事が気に入りましたら、ぜひTwitter、facebookボタンをお願いします。
    ブログを書くモチベーションになります。よろしくお願いします。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事が良かったらビットコインで寄付をお願いします。
ビットコイン投げ銭ウィジェット



関連記事

『捨てられる銀行』を読んで

    最近の日経新聞に10年後地方銀行の半数が本業赤字になるという記事があった。   地銀の半数超

記事を読む

no image

さあ、才能に目覚めよう -あなたの5つの強みを見出し、活かす

正月は自分を見つめ直すいい機会です。 昨年の反省をふまえ、今年はどうしていくか、じっくりと思考する時

記事を読む

Think Simple ―アップルを生みだす熱狂的哲学

テレビのリモコンを見ると、ウンザリします。 このボタンの機能を全部把握できてる人間、使用する人間がど

記事を読む

人事部は見ている。

(注)今回は「ビジネスパーソン」という言葉は使わず、あえて「サラリーマン」という表現を使います。その

記事を読む

911と311、そして119

今日は9月11日。 あのニューヨーク同時多発テロから10年が経つ。 そして、東日本大震災から半年

記事を読む

ad

Comment

  1. てっちゃん より:

    七面鳥の気持ち。
    それがブラックスワンですか・・・
    購入します!
    ありがとうございます!

  2. Tatsuya より:

    いつもコメントありがとうございます。
    ブラックスワンは今年一番のおすすめです。
    てっちゃんさんの日記(フォトリーのSNS)でも是非感想をUPしてくださいね。

  3. joshua より:

    これは面白そうな本だね。
    アマゾンで注文してみるよ!

  4. Tatsuya より:

    joshuaさん、お買い上げありがとうございました。
    ちなみに初めてのアフリエイト収入です。

  5. joshua より:

    おー、そうかあ。わずかでもお役にたてなら幸い(笑)
    つうかあ、思わず購入したくなるレビューだったよ!
    ちなみにアフリの収入ってどれくらいなの??

  6. Tatsuya より:

    価格の3%が収入となります。
    つまり、
    1800円の3%
    1冊あたり54円。
    上下巻でしめて108円です。(^^ゞ

Tatsuya へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。

ad

2025年Tatsuya’s Blog 年間アクセスランキング

2025年最後のブログは、毎年恒例の 「Tatsuya’s blog

Tatsuyaの2025年劇場映画ベスト3

  今年を振り返る自己満足企画「個人的映画ベスト3」です。 2010

『羅小黒戦記2』を観た

2025年12月28日 今はネットでいつでもたくさん映画を観ることがで

アリ・アスター監督の新作『エディントンへようこそ』を観た。

2025年12月28日アリ・アスター監督の新作『エディントンへようこそ

『ズートピア2』を観た。

『ズートピア2』を観た。前作と同じく道徳の押し付けではなく楽しみながら

→もっと見る

PAGE TOP ↑