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アニマルスピリット

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洋書って、ひとことですべてを説明できる題名をつけるのがうまいなって思う。
ブラック・スワン、ブルーオーシャン、アルファドッグカンパニー、フラット化する世界、ビジョナリー・カンパニーなどなど・・・
本書「アニマルスピリット」
このひとことで作者のいわんとすることを説明している。

アニマルスピリットとは
経済学用語で、経済の中の不穏で首尾一貫しない要素を指している。
人間が曖昧さや不確実性に対峙する時の独特の関係を指す。
標準的な経済理論では
人々は大きな投資判断をするときは、
人々はあらゆる選択肢、それらがもたらす結果、利益、確率を検討し、決断を下すという。
本当にそんなことができるのか?
そんなことよりも、ホットケーキをひっくり返したり、ゴルフボールを打ったりするときの決断に近いのではないか。
我々の決断の多く(人生で最も重要なものも含む)は、
それが、「安心できてその乗数が適正に思えるから」下されるのではないだろうか?
だからこそ、サブプライムのような「ガマの油」を安心して買っていた。
市場は効率的ではないのだ。

リーマンショックは
ハンプティ・ダンプティの童話のようだ。
ハンプティ・ダンプティは卵だ。
ハンプティ・ダンプティが壁から落ちたら、
王様の馬や家来が総がかりになっても元に戻すことはできない。
ハンプティ・ダンプティは修理できない。
リーマンショック後の世界も修理はできない。
交換が必要なのに、みんなわかってない。

そして、アニマルスピリットに敬意を表わさなければ、世界のあらゆる経済問題は解決できないのだ。

本書では、アニマルスピリットが経済にどう影響されるか
以下の事例をもとに述べている。
ひとつでもビビビときたら読む価値あると思う。
Q:なぜ経済は不況に落ちるのか?
Q:なぜ中央銀行は経済に対して力を持つのか?
Q:なぜ仕事を見つけられない人がいるのか?
Q:なぜ長期的にはインフレと失業はトレードオフの関係にあるのか?
Q:なぜ未来のための貯蓄はこれほどいい加減なのか?
Q:なぜ金融価格と企業投資はこんなに変動が激しいのか?
Q:なぜ不動産価格には周期性があるのか?
Q:なぜ貧困は条件の悪い黒人の間で何世代も続いてしまうのか?
これらの答えは本書を見ていただきたい。

といっても、とっても難しい。
マクロ経済の教科書のような本。
著者の一人はノーベル経済学賞受賞ですし。

訳者あとがきが一番わかりやすかったので引用すると

人間は合理的でなく、不合理なアニマルスピリットを持つ。
アニマルスピリットは、人々が合理的な選択をするのを邪魔する困ったシロモノだ。
人間は合理的になりきれないバカだということ。
もっと合理的に行動すれば、
インフレに惑わされず、お金の実質の価値を認識し、
デフレで給料が下がっても納得し、
投資の損はすっぱりとあきらめ、
流行や空気に流されることなく、
常に冷静に自分なりの判断を下せるのであれば、
不動産や株式市場のバブルの相当な部分はなくなるし、
失業も楽に解消される。
アニマルスピリットのせいで、それができないから苦労する。
既存のマクロ経済学理論は不十分だが、かなり役にたち有効でもある。
人間のバカさ加減を政策的にどう補うかということを問題にしている。

しょせん、我々はアニマルだ。
経済学者もアナリストもアニマルだ。
神経衰弱の天気予報士かもしれない。
銀行屋、証券屋はガマの油売りかもしれない。
ガマの油を買わされないことだ。
歴史は繰り返す。
本書はその警告の書である。

おりしも今はギリシャを発端とするユーロ危機。
ここにもアニマルスピリットの影響があるのだろうか。

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