【44歳中年サラリーマン、初めてのインドひとり旅】2日目早朝その2:ニューデリー駅 絶望から新たなる希望へ
ここからは、自分のバカさ加減を晒すようで書きたくなかったが、これからインドに行く人が同じ目に遭わないように、恥を忍んで綴ることにした。
メトロの地上に出ると、そこはインドだった。
たくさんのオートリクシャの客引きの波をかき分け、ニューデリー駅の裏側に出た。
いろんな人間が声をかけてくる。
どこから来た? どこへ行く?
無視、無視。
無視するのにも凄いエネルギーがいる。
まだ朝5時と暗く、陸橋の場所がよく分からない。
列車は6時発だ。
時間は刻々と過ぎてゆく。
2つ陸橋があり、1つの方に空港のようなセキュリティゲートがある。
これかな?
セキュリティゲートにいる男に呼び止められた。
「チケットを見せろ」
この手口は「地球の歩き方」にも載っており、こんなヤツは無視しなければいけなかったが、冷静さを失ってた僕はなぜかチケットを見せた。
「これは無効だ。QUOTAがGENERALと書いてある。GENERALはインド人オンリーだ。外国人は乗車できない。ITCTというところで外国人用のチケットに変える必要がある」
マジか。
もしかしたら、ネットで予約したときに操作ミスをしたのかという思いがよぎり、この男のいうことを少し信じた。
しかし、セキュリティゲートはもう1つある。
そっちに行ってみる。
そこでも、違う男に断られる。
「このチケットは無効だ。外国人はITCTでチェンジしなければいけない」
マジか。
セキュリティゲートに立ってる2人が同じことを言ってるし、この時点で出発まであと30分しかない。それが僕に冷静な判断を失わせた。
男はすごく親切だった。
「ITCTに連れてってあげるよ」
と、これまた誠実そうなドライバーのオートリキシャに案内した。
もう僕は、すでにこの時点で「お前は既に死んでいる」状態だった。
あとは、よく聞く手口そのとおりの展開が待っていた。
オートリクシャに乗る。
どんどん駅から遠ざかる。
ここで、僕は自分のバカさ加減に気がつく。
だまされたんだ。
「いつ着く」と何度聞いても、「もう少し、もう少し」
でも着かない。
着いた時はもう5:50
もうアグラ行きの列車には間に合わない。
ITCTと名乗る事務所に入る。
そもそもITCTとは何だ?
ITCTの男が言う。
「残念だが、もう6時の列車には間に合わない。他の時間の列車があるか調べる」
とPCのキーボードをたたく。
「今日のアグラ行きは予約でいっぱいだ」
お決まりの展開だ。
男はすかさず
「バスツアーにしたらどうだ?」
料金を見ると、15000ルピー(日本円で26000円)
ガイドブックに書いてあったとおりの展開に半ば飽きれる。
「もういい、ニューデリー駅に帰る」
と僕は強い口調で告げて、その場を去ろうとすると、
「いいのか。今夜の宿も取ってないんだろ。ニューデリーはとてもデインジャラスだぞ。どうなっても知らないぞ」
と半ば脅しの言葉を僕の背中に突き刺してきた。
とにかく、オートリクシャに戻り、ニューデリー駅の表口に行くように頼む。
オートリクシャの運転手は、「他の旅行会社に連れて行くよ」というが、
「いいから、とにかくニューデリー駅の表側に行け」と僕は叫んだ。
が、着いたのは裏側。
ここでも運転手は食い下がる。「他にも旅行会社に連れて行くよ」
「もう降りる。カネを払う。How Much?」
ときくが、なぜか運転手はカネはいらないという。
これも新たな手口か?
もう訳がわからなくなってきたので、50ルピーを強引に握らせ、オートリクシャから立ち去り、足早にニューデリー駅に向かう。
さあ、どうしよう。
とりあえず、ニューデリー駅の反対側に行かねば。
とりあえず、陸橋を超え、冷静に今後のことを考えよう。
6時を過ぎて、周りは明るくなってきたのが味方した。
駅を冷静に眺めると、陸橋への入口が見えるではないか。
それもセキュリティチェックなんぞ無い入口が。
いったい、あのセキュリティチェックはなんだったんだ。
まあいい、今度こそ、だれに声をかけられようが無視しまくろう。
いろいろ声をかけてくる人間を無視し、強引に陸橋の入口を突破し、表口へ向かう。
この陸橋は駅の構内の中を通る。
ニューデリー駅はめちゃくちゃ広大だ。
駅を渡り切るのに10分はかかったように思う。
で、やっと表口に到着した。
駅にはホームレスだらけで、気をつけないと踏んづけてしまいそうなほど、たくさんのインド人が寝ている。
まずは、冷静になろう。
駅でインド人がからんできそうもないところを選んで座り込む。
さあ、どうしよう。
誰も信じることができず、何をしたらよいか途方に暮れる。
僕はこんなところで何をやってるのだろう。
ホームレスのインド人と一緒に座り込んでいるこのざま。
マジで子供のように泣き出しそうになった。
でも、起こったことはしょうがない。
とりあえずは、現状を冷静に把握することだ。
バックからノートを取り出す。
思いつくことを書きなぐる。
男がやってきて話しかけてくるが、
「友人を待っている」といって、その後はずっと無視する。
ノートに思いついたことを書きなぐると、徐々に冷静になっていった。
そうだ、とりあえず、外国人専用鉄道予約オフィスで鉄道チケットを買おう。
第1候補:今日のアグラ(タージマハール)行き、明日のアグラ→バラナシ(ガンジス川)行きを買う
第2候補:今日のバラナシ行きを買う
第3候補:明日のバラナシ行きを買う
これでもダメなら飛行機という選択肢もあるし。
自称企画マンの僕はノートに書きなぐりながら物事を考えるのが習慣になってる。
混乱したら思考を書きなぐることだ。
書きなぐることで冷静さを取り戻すことができた。
(そのときのノートの一部)
さっそく外国人専用鉄道予約オフィスに行く。
開くのは朝8時から。
今は6時半。ほかに行くところもないので、入口で座って待つ。
ここまでは、変なインド人は来ないようだ。
冷静に今後のことを考えることができた。
朝8時、外国人専用鉄道オフィスが開いた。
今日のアグラ行きはとれるが、明日のアグラ→バラナシはとれないとの返事。
第1候補は却下、タージマハールはあきらめよう。
第2候補の今日のバラナシ行きの夜行列車を予約した。
あっさり簡単にチケットがとれた。
いいんだ、タージマハールなんか。
本当の目的はガンジス川なんだから。
これで、やっと、ひと安心。
こんなにホッとしたのは、今までの人生でも指折り数えるほどしかないだろう。
バラナシ行きは18時55分発。
それまでは、デリーの日本人旅行者の駆け込み寺といわれるシゲタトラベルに行って、夕方までステイできる場所を探すことにした。
シゲタトラベルを目指し、ニューデリー駅前から延々と続くメインバザールへ向かった。
ここから徒歩で15分ほどだ。
メインバザールは、朝から凄い喧噪に包まれていたが、もう恐怖は感じなかった。
1時間前とは景色がまったく違って見えた。
いつの間にか、ワクワクしている自分に気がついた。
これから始まる旅への希望を胸に。
To be Continued.
「インド鉄道の予約の方法」へ続く
http://tatsuya1970.com/?p=4128
【反省点】
●インド初心者のくせに無理な日程を組むべきではなかった。
・メトロ到着から列車出発時刻まで1時間もないのはあまりにも無謀。
・時間がないという焦りが冷静な判断を狂わせた要因の1つでもある
●インド初心者なので、列車の手配は現地の旅行代理店でしてもらうべきだった
●何でも自分でしようとするのではなく、空港で旅慣れた人に声をかけるべきだった
・外国人バックパッカーは空港やメトロでたくさん見かけた。遠慮なく彼らに声をかけ一緒にニューデリー駅表口へ行くべきだった。
●チケットを見せるべきではなかった
・自分の手の内をなんで詐欺師に明かすのか?
●全員無視するべきだった。
・インドの鉄道には改札はない。乗る車両の乗車口に予約された客の名前が書かれた紙が貼られている。一目散に列車に乗り込むべきだった。
【得たこと】
●バラナシに1日多く滞在できるようになったこと。
まあタージマハールなんて絶対見たい訳ではなかったし(負け惜しみ)
※参考
本当にQUOTAがGENERALでは外国人は乗れないか、インド国鉄にメールで問い合わせているが、まだ明確な返答は無い。
インターネットで調べても、明確な答えが見つからない。
ただ分かっていることは、
・インド国鉄のサイトでは、GENERALしかとれないこと。
・インド国鉄のサイトのIDをとるために、僕はパスポートのコピーをスキャナーして送っていること
→ つまりインド国鉄は僕を外国人だと承知でGENERALのチケットを発行している。
→ ということは、QUOTAがGENERALでも列車には乗れるはず。
また、フォートラベルという旅行サイトに、ずばりこのことについて質問したら、3名の方が回答をくれた。
http://4travel.jp/os_qa_each-44241.html#answer_173741
みなさん、QUOTAがGENERALでも乗れるし、僕は騙されたんだとの回答。
勉強になりました。
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