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災害ユートピア

公開日: : 最終更新日:2018/08/16 ボランティア,

東日本大震災のとき、世界中から日本人へ賞賛の声がおくられた。
暴動も略奪もなく、人々が無私の心で助け合っていたことについて、驚きをもって伝えられた。
日本以外では、絶対こんなことはないだろうって。
本当にそうなのか?

ハリウッドでは災害映画が花盛り。
パニックで他人を押しのけ逃げ惑う人々。。。
災害ではみんな自分のことばかりしか考えない。
ほとんどの人間は愚かだ。
本当にそうなのか?

実際は、災害時には、人間は利他的になり、そこにはつかの間のユートピアが出現する。
本日紹介するのは、『災害ユートピア』という本。
1906年のサンフランシスコ地震から911、ハリケーンカトリーナまで
世界中の災害を調査し、災害ユートピアとエリートパニックについて述べている。


災害時には、映画のようなパニックは起こらないし、略奪も起こらない。
しかし、遅まきながら行政が介入してから、おかしくなる。
略奪、暴動、レイプが起こっているというデマは、権力者の「エリートパニック」からくるものである。
エリートパニックは
「社会的混乱に対する不安、貧乏人やマイノリティや移民に対する恐怖、火事場泥棒や窃盗に対する脅迫観念、すぐに致死的手段に訴える性向、噂をもとに起こすアクション」
という特徴を持つ。
市民が行政の不手際に対して集団で反乱を起こすのではないか?
人間は非常時には生存のためにもともと持っている野蛮性を発揮するのではないか?
その権力者のヒステリーが、サンフランシスコ大地震、ハリケーンカトリーナで、市民を悲惨な状況に追い込んだ。

サンフランシスコ大地震では、
軍隊、警察は、略奪を起こしているものは誰であれ殺す許可を与えられ、たくさんの人が裁判にもかけられずその場で処刑された。(実際には略奪が行われてないにもかかわらず)
軍隊は、暴徒化する市民を鎮圧するため、治安維持するために送り込まれていた。(実際には暴徒なんかいないのに)
ゆえに、市民と協力して救助活動、復興活動をするといった意識はなく、市民に消火活動すら協力させなかった(消火活動に参加しようとする市民は殴られた)
そして、地震後の火事により、サンフランシスコ全土が焼け、被害は拡大した。

ハリケーンカトリーナでは、人種差別がからみ、もっと悲惨な状況だった。
貧しい黒人が野蛮な略奪者となり、レイプし、殺人をしまくっている。
というデマをメディアは繰り返し繰り返し放送し、国民に恐怖を植え付けた。
行政は彼らを救助するのではなく、暴徒を鎮圧するという考えで行動した。
警察、軍隊、そしてイラクでその悪名を轟かした傭兵集団ブラックウォーターまで動員されたほど。
そして、被災者が、たくさん殺された。
被災地で黒人が集団でいると、発砲された。
ニューオリンズから逃げようと橋を渡ろうとすると威嚇射撃され、通行させてもらえなかった。
被災者はニューオリンズに閉じ込められ、さながら監獄と化した。
被災者は救出されず、見捨てられた。
彼らが一番弱って傷つきやすくなっているときに、動物や敵として扱われた。
こうしたエリートパニックによる二次災害で多くの人が亡くなった。

悲しい。
なぜ、そんなことが起こるのだろう?
政府の存在意義って何だろう?
国民に本当に必要とされるときに機能しない政府だなんて。
(実際カトリーナを期にブッシュ政権は崩壊するのだが)
そもそも過去の事例から政府は災害時には必ず失敗する。
反対に成功するのは市民社会の方で、人々は利他主義や相互扶助を表現するだけでなく、創造性や機知を駆使する。
そして、権力が災害現場にいる市井の人たちに移り、直接民主主義が実現する。
政府はそれを恐れるのだ。
自分たちの存在意義がなくなることを恐れるのだ。

災害時にはこういったエリートパニックが起こる一方で、
一般市民は、災害時には冷静で、お互いを助け合い、思いやりの心を発揮する。
人種、年齢、性別、社会的地位なんか関係なく、お互いを助け合う。
エリートパニックがひどかったハリケーンカトリーナの場合も
市民は助けあい、たくさんの州外のボランティアが、法律をやぶりボートで被災者を救出した。
反体制的といわれるブラックパンサー党や黒人のギャング団も、コミュニティに大きな貢献をした。
そして、世界中から多くのボランティアが手を差し伸べた。

人間はそもそも利他主義な動物なのだ。
人間は生きるための意味を深く必要としている。
自分が生存することより、価値のある事を成し遂げる事を優先する。
それが災害時に人間を利他的、相互扶助な行動に向かわせる。
では、なぜ平静時にはそれができていないのだろうか?
災害時にみせる利他的、相互扶助的行動が、ほんの少しでも普段の社会に表れることができれば、この世はユートピアになれるはずなのに。

東日本大震災では、政府の対応のまずさが、世界中から避難されている。
一方で、一般人は人間の本来持っている利他的、相互扶助の精神を発揮し、世界中から賞賛された。

私もたった2日間だけだが、宮城県でボランティアに参加した。
多くの人たちが復興に向けてボランティアをしている。
彼らの利他的な精神に触れる中で、人間の素晴らしさを改めて感じ入った。
1日でも早く東北が復興できることを祈ります。

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