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公開日: : 最終更新日:2015/12/20 シェアリングエコノミー,

今、我々は凄い変化の中にいる。
とはいっても、変化の中にいると、変化していることには気がつかない。
産業革命のころのイギリス人も、今起こってることが産業革命だなんて認識してなかった。
あれが産業革命だったなんて認識されたのは100年後のこと。
だから、日頃、新聞やニュースをよく見て社会の動きをチェックしろと言うが、それだけでは、大きな変化に気づくことはできない。
だから、本を読むことは重要なのだ。
私のように、直接、世界を感じることのできない人間は、たまにこうして本から世界の同時代的な感覚を意識にインプットする必要がある。
トーマス・フリードマンの『フラット化する世界』でグロバリゼーションを感じ、
クリス・アンダーソンの『フリー』でフリーミニアムの時代を感じた。
そして、今回紹介する『シェア』という本。
大量消費、大量保有社会から脱皮しつつある社会、人類の意識の変化をリポートした書である。

ここ20年の間、世界は目覚ましく変化している。
IT化、グロバリゼーション、温暖化
それにあわせて、人類の意識も変化している。

最近の若者は、自動車を欲しがらない。
家も欲しがらない。
だから、最近の若者は元気がない、ハングリーさが足りない
とよく言われる。
本当にそうか?
そんな高度成長期の論理で判断していると、時代に取り残されるのは必至。
もはや化石。
逆に、高度成長期の大量生産大量消費が果たして良かったのか?
ハイパー消費主義は我々を幸福にしてくれたのか?
モノを持つことで自己のステータスを誇示するのは昔はエリートだけのものだった。
しかし、1950年代からアメリカを発端に爆発的に拡大してきた。
それが全世界に広がった。
いまや全米のショッピングセンターの数は高校の数より多い。
レンタル倉庫が大人気。
全米ではスタバの7倍の数、アメフトのグラウンドの38000個分の面積。
レンタル代の収入は映画の興行収入よりも多い。
人々は倉庫に何を保管してるか?
そのうち、いつか使うかもしれないどうでもいいものばかり。
とりあえず、家においとけないので、とりあえず保管。
お金を払って、その存在を忘れたいだけ。
ほとんどの場合は、6ヶ月くらいでレンタル代金が保管しているものの価値を超えてしまうのに、溜め込んでしまう。

買って、買って、買って、
溜め込んで、溜め込んで、溜め込んで
捨てて、捨てて、捨てて。。。

それらがどこに行ってるか?
たとえば、日本とハワイの中間くらいのところにある「太平洋ゴミベルト」と呼ばれる海域もその1つ。
ここはテキサス州の2倍の面積で、ゴミの深さが最大30メートルもあるという。
こういう場所が世界中にたくさんある。
信じられないかもしれないが、地球上の海面の25%がゴミで覆われているという。
「この星の25%は流れないトイレ」
という冗談には笑えない。

テレビをつければ、芸能人がモノを勧める。
街を歩けば、広告の看板だらけ。
ネットにアクセスしても広告だらけ。
うんざりする。
だから民放はほとんど見なくなった。
検索エンジンをヤフーからGoogleに変えた。

いつの間にか、我々の心は、モノを買うことばかりで埋め尽くされている。
必要性と利便性の境界があいまいになっている。
死ぬまで、モノを購入し続ける。
モノを所有するために働く人生。
所有することで人生を定義したいという執着。
買っても買っても「手に入れなければならない」もののリストが絶えることはない。
一生、心が満ち足りることはない。
モノは、心までも浸食している。

“The things you own end up owning you.”
(お前は自分がそれを所有していると思っているだろうけど、結局はそのモノがお前を所有しているんだ。)
(映画『ファイトクラブ』ブラッドピット扮するタイラーのセリフ)

企業のバランスシートはスリムがいいって言ってるくせに、そういう自分のバランスシートは不良資産ばかり。
まあ、個々人の問題ならどうでもいい。
でも、もはや地球規模の問題になってきた。
グロバリゼーションの進展で、新興国の経済は目覚ましい発展をしている。
しかし、もし人類が全員、平均的なアメリカ人のように生活するためには、地球5個分が必要。
トーマス・フリードマンは、かつて、「世界中がアメリカ人になる」と表現したが、まさしくそのとおりになってきた。
これは、人類の持続可能性(サスティナビリティ)の問題だ。

では、我々はどうすればいいのか?
ミレニアム世代(生まれたときからデジタルな世代)は感覚的にその解決法を分かってるし、実践している。
それが、「シェア=コラボ消費」である。
これは利益をうまない社会貢献活動ではない。
ビジネスだ。
そういったビジネスがたくさん生まれているし、時代の主流になってきている。

ミレニアム世代にとっては、所有は特別な意味をもたない。
パソコンやiPhoneさえ持っていれば、他に何も必要としないチャネル(フェイスブックやツイッター)で、自己を定義できるので、実際に所有することよりも、利用していることやつながりがあることを見せることの方が大切になる。
昔のどの世代よりも、はるかにモノにこだわらずに、自分たちのニーズを満たし、自己を表現できるようになった。
これらには、大きな可能性がある。
意識していないが、iTunesで音楽をダウンロードすることは、店でCDを買うよりも、音楽流通にともなうCO2の排出量を8割も減らすことができる。
カーシェアを始めることによって、CO2の削減量が1ユーザーあたり50%削減される。

その他、身の回りのモノがどんどんシェアされている。
自動車、自転車、音楽、寝る場所(カウチサーフィン)、タクシー、工具、子供服、おもちゃ、ブランドもののバッグ、ドレス。。。。
などなど
あらゆるものがシェアされだした。

このように、
本書では、個人の欲求がコミュニティと地球のニーズと調和するような新しい経済、社会のメカニズムが、たくさんの事例をまじえ、紹介されている。
そして、人類はより良い人間になっていく可能性があることにも言及している、
シェア、コラボ消費の世界では、個々人の「評判資本」がとても重要になる。
だから、人間はみんな良い人になるはずだ。
だって、評判を落としたら誰からもシェアさせてもらえなくなるからだ。

フェイスブックのマーク・ザッカーバーグも言ってた。

「オープンで透明な世界では、人々が社会的規範を尊重し、責任ある行動をするようになる」
(「フェイスブック若き天才の野望」より)

シェアの概念が急速に広まったのも、インターネット、ソーシャルネットワークがあればこそ。
人類は新たな段階に入っているのかもしれない。

最後にもう1つ。
勘違いしてほしくないこと。
所有や消費がダメだとは言ってない。
それが本当に必要なのか、よく考えて所有、消費するべきということ。
お隣りの家の人が持ってる、あいつが持ってるとか、
ステータスだからとか、
もう、そういうのは、まったくクールじゃない。

「概して、持つことより使うことに、はるかに大きな豊かさがある」
(アリストテレス)
「今から25年後には、多くの企業や消費者にとって、所有というコンセプトは、古くさいものになるだろう」
(ジェレミー・リフキン)

PS.
なお、私も個人的に、カーシェアを利用してます。
2年前、便利な場所に引っ越ししたのを機に、自家用車を処分しました。
それまでと世界が一変しました。
今まで絶対必要だと思っていたものが、いざ処分してみたら、そうでもないことに気づきました。
私もミレニアム世代の「所有しないことがクール」という感覚がわかるような気がします。

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