*

ワンクリック ―ジェフ・ベゾス率いるAmazonの隆盛

公開日: :

アマゾンという会社のことを知ったのは、確か1990年代の後半だったと記憶している。
第1印象は、なんか変な名前だなあって感じ。
たんにリアルの店舗をネットにしただけの、ドットコムバブルの会社の1つとしか思ってなかった。
ただネットで本を売るだけの会社としか。。。
IPOしてからも、赤字が続く一方、先行きの期待感だけでもっていた状況で、いつかは他の破綻したドットコム会社のようになるんだなあと思ってた。

そ、それが、いまや。。。。

もはや、全ての小売業はアマゾンによって淘汰されるのではないかと懸念されるほどの超巨大企業になった。
恐ろしいことに、実際の店舗で実物を触って、店員に質問したあと、そこでは買わずに、アマゾンで注文する人間も多いときく。
いまや、宅配会社のトラックの中身はアマゾンの箱が多いときく。
もはや、アマゾンはたんなるネット小売業ではない。
まさに帝国のような存在だ。

僕はここ数年来、本はアマゾンで買うことが多い。
本屋に行くことは激減した。
本屋での本との偶然の出会いは大切なことだが、時間が足りない。
仮に1000円の本を買うと仮定する。
本屋までの移動時間、探す時間、立ち読みして取捨選択する時間を、自分の仕事上での単位時給で考慮すると、中身を確認せずにアマゾンでワンクリックで買う方が効率的だ。
このように、僕はちょっとでも興味あったらワンクリックで買う。
それが、電子書籍Kindle対応だったら、その場でダウンロードして読むことができる。
買うんじゃなかったと思っても、本屋に行く時間、コストを考えたら、合理的だ。
本を買うのに費やす時間で他のことができる。

Kindleの端末はもってないが、そんな僕でもKindle対応の本を読める。
アプリがあればiPadでもiPhoneでもAndroidでも読める。
こうやって、Kindleをプラットフォームにアマゾン帝国はさらなる帝国化をもくろんでるだろうな。
AppleにおけるiTunesのように。

そして、アマゾンのスゴいところは、アマゾンが提供しているクラウドサービス。
アマゾンのサーバーは、アラブの春のときに大活躍、最近は北朝鮮へ攻撃しているあの国際的ハッカー集団アノニマスでさえ破ることはできなかったほどの、強靭さを誇る。

このように、いつの間にか、世界的な卓越した企業に成長したアマゾン。
今日ご紹介する本は、アマゾンのことを知るために最適な本
「ワンクリック」
CEOジェフ・ベゾスの生い立ちから今に至るまで、とても興味深い内容で、一気に読み進んだ。

「人々がオンラインで買いたいと思うモノがすべて見つけられる企業、顧客第一主義を世界で一番実現する企業になる」
(アマゾン・ドット・コムの社是)

「顧客サービスをアマゾンの礎にする」
と語るジェフ・ベゾス。
インターネットの会社なのに、サービス??
と、違和感を感じる人も多いだろう。
それは、サービスという概念の捉え方の違い。
アマゾンには、感じのよい接客、スマイルもない、コーヒーサービスもおしぼりもつかない。
しかし、真の顧客満足度を追求したサービスがアマゾンにある。
買いたいモノがすぐ見つかり、自宅まで運んでくれる。
これ以上の顧客サービスはない。
スマイルなんていらない。

CEOのジェフ・ベゾスは、ウォール街出身のアントレプレナーという紹介をされることが多い。
ウォール街の華々しいキャリアを捨て、ベンチャーに飛び込んだんだと。
僕はずっとジェフ・ベゾスのことを投資銀行のビジネスマンだと思ってた。それではベゾスの本質を見誤る。
この本を読んで初めて知ったのだが、幼少のころは、本好きで、科学分野での天才少年でアントレプレナーな素質をもっていた。起業する前の経験のためにウォール街の投資銀行で働いていた。それもセールスマンではなく、その天才的なコード作成能力によるシステムまわりを担当していた。
アマゾンの創業は、彼にとってベンチャーでも何でもなく、必然的だったことが分かる。
そこで、やっと合点がいった
ジョブズのように、ベゾスもまた
テクノロジーとリベラルアーツの交差点
に立てる人物だったんだと。
このように、ベゾスの生い立ちからアマゾンを創るまでの半生はとても興味深い。
いかにベゾスがベゾスになったのか。

ジョブズと同様ベゾスにも数々の名言がある。
なるほど、その言葉からベゾスおよびアマゾンという企業の本質が分かる。
中でも僕の一番好きな言葉は
「後悔最小化理論」
regret minimization framework
年をとって人生を振り返ったときにどちらの道を選んだ方が後悔しないかを考えること。
80歳になったときに、あのときやっておけば良かったと心から後悔する可能性があったから、ベゾスはアマゾンを創業した。
僕たちも人生の様々な選択の際に使える理論だと思う。
ちょっと脱線するが、
オーストラリアのナースの方によれば、「死ぬ前に語られる後悔」で多いのは
「自分自身に忠実に生きれば良かった」ということ
こちらのリンク参照
■ナースが聞いた「死ぬ前に語られる後悔」トップ5
http://youpouch.com/2012/02/06/53534/

さて、ベゾスの野望はとどまるところを知らない。
現在は、宇宙事業も押し進めている。
そのたゆまない活力の原動力は何か。
彼の好きなSF作家の言葉が教えてくれる。

「宇宙は NO を突きつけてくる。それに対して我々は肉体の総力をもって反撃し、YES ! をたたきつける」
(SF作家、レイ・ブラッドベリ)

ジョブズもそうだが、
たった1度の人生を、どう生きていくべきか。

死ぬ前に後悔しないこと。
それを前提に選択しよう。
それを前提に今を生きよう。
そして、自分の総力をもって、人生に YES! をたたきつけよう。


ad

    この記事が気に入りましたら、ぜひTwitter、facebookボタンをお願いします。
    ブログを書くモチベーションになります。よろしくお願いします。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事が良かったらビットコインで寄付をお願いします。
ビットコイン投げ銭ウィジェット



関連記事

『DX CX SX ―― 挑戦するすべての企業に爆発的な成長をもたらす経営の思考法』を読んで

  Industry 4.0 、Society5.0 と言われて久しい。 最近はそれらを包括してDX

記事を読む

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

  もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだ

記事を読む

トヨタの上司は現場で何を伝えているのか

これら珠玉の言葉の数々を目の前にすれば、 トヨタが世界最強の企業なのは当然だと誰もが思うだろう。

記事を読む

『世界はひとつの教室』を読んで、激動の時代を生き抜くために必要な教育を考える

    20歳であろうが80歳であろうが、学ぶのをやめた人は老人である。 学びつづける人は、いつま

記事を読む

no image

永遠の0 (ゼロ)

今から72年前の今日、1941年12月8日、日本軍は米国ハワイの真珠湾を攻撃しました。 この真珠湾攻

記事を読む

ad

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

ad

24時間のトランジットならビザなしで中国に入国できる(上海浦東空港での体験)

中国での入国を伴うトランジットについて、私は事前にググりまくって情報を

『東京都同情塔』を読んで

ChatGPTを活用して作ったという芥川賞受賞作「東京都同情塔」を読了

『ボーはおそれている』を観て

    3月1日の映画の日はミッドサマーの監督の最新作を鑑賞(ミッド

生成AIを使ったテレビニュース風の動画の作り方(HeyGen + Canva)

  イベントの宣伝用にこんな動画を作りました。   誰でも簡単に作れ

タランティーノの第1回監督作品「レザボア・ドッグス」を観たよ

  只今タランティーノの第1回監督作品「レザボア・ドッグス」がデジタ

→もっと見る

    • 1666529総閲覧数:
    • 2239今日の閲覧数:
    • 2171昨日の閲覧数:
    • 4現在オンライン中の人数:
    • 2014年4月29日カウント開始日:
PAGE TOP ↑