リーマンショックから5年目の雑感
今から5年前
2008年9月15日
リーマン・ブラザーズが破綻し、世界的な金融危機が起こりました。
それにちなんで、ちょっとダラダラ雑感。
人類は、自然をコントロールしようと、文明を発達させました。
しかし、それは諸刃の剣でもありました。
スピルバーグが映画化したマイケル・クライトンの「ジェラシック・パーク」にカオス理論というのが出てきます。
学術的なことはよく分かりませんが、ほんのちょっとした初期値の違いで、結果はまったく予期できない事態が起こるのだとか。
なんか、そんな感じだったと思います。(違ったら、誰か教えて)
絶滅した恐竜を現代に甦させたのですが、カオスなこの世の中では、科学者的にはコントロールできたはずの恐竜たちが制御不能になり、人間を襲い始めます。
ジュラシック・パーク〈上〉 (ハヤカワ文庫NV) マイクル クライトン,Michael Crichton,酒井 昭伸 早川書房 |
原子力発電所は人類の叡智が詰まってます。
不安定なウランやプルトニウムを自在にコントロールすることで、莫大なエネルギーを生み出してます。
しかし、ひとたび想定外なことが起こると、破滅的な事態を招きます。
抗生物質を摂取すればするほど、伝染病に罹りやすくなるといわれます。
潔癖すぎると、バイキンやウイルスに弱くなります。
このように
変化の少ない環境、つまりボラティリティの小さい環境を作ろうとすれば、
ちょっとしたことで、想定のしない破滅的なことが起こるのです。
経済もそう。
我々は変動を嫌い、リスクをもコントロールすることができると思い、ここまでの文明を発達させました。
しかし、コントロールすればするほど、ちょっとしたことで、制御不能な壊滅的なことが容赦なく襲ってきます。
統計の話、リスクの話になると、正規分布のベル型カーブがでてきます。
しかし、実際にはこの世は正規分布のベル型カーブの中では捕らえきれません。
その外の世界「ベキ乗」の世界で成り立っています。
ブラックマンデーは、宇宙の一生が数十億回繰り返してやっと1回起こるほどの確率だそうです。
でも、起こりました。
こういう事象のことをナシーム・ニコラス・タレブは「ブラック・スワン」と名付けました。
何千年もの間、白鳥はすべて白いというのが当たり前でしたが、黒い白鳥が発見され、今までの定説は完全に覆さたことから、あるはずのないことを黒い白鳥「ブラック・スワン」に例えたのです。
ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質 ナシーム・ニコラス・タレブ,望月 衛 ダイヤモンド社 |
過去ブログ「ブラックスワン」
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=2318133
人類の歴史はリスクに挑戦する歴史でもありました。
それは神々への反逆の歴史でした。
それは、ピーター・バーンスタインの「リスク」で描かれています。
おかげで、私たちは安心して枕を高くして眠ることができるのです。
リスク〈上〉―神々への反逆 (日経ビジネス人文庫) ピーター バーンスタイン,Peter L. Bernstein,青山 護 日本経済新聞社 |
過去ブログ「リスク―神々への反逆」
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=3561724
しかし、私たちが安心といってるのは、ボラティリティが低いということであって、
リスクがゼロということではありません。
ひとたび、想定外のことが起こると、壊滅的なことが起こります。
それが、リーマンショックでした。
今やフラット化されたこの世界では、情報は一瞬で世界を駆け巡ります。
そのためかどうか、天文学的な確率で起こるはずのブラックマンデーやリーマンショック級の金融危機のおこる周期が短くなっているように感じます。
制御すればするほど、危機も起こりやすくなっています。
それも大規模な危機が。。。
そうはいっても、
我々人類の根底を支配しているのはアニマルスピリットです。
そして、我々人類はGREED(強欲)です。
映画「ウォール街」のゴードン・ゲッコーは言います。
GREED is GOOD
だと。
我々の持つそのGREEDな性質が、人類を発展させたのも事実です。
ウォール街〈特別編〉 [DVD] マイケル・ダグラス,チャーリー・シーン,ダリル・ハンナ,スタンリー・ワイザー,オリバー・ストーン 20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント |
アニマルスピリット ジョージ・A・アカロフ,ロバート・シラー,山形 浩生 東洋経済新報社 |
過去ブログ「アニマルスピリット」
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=2998779
だから、我々には何もしないという選択肢はありません。
鮫は泳ぎ続けるしかありません。
レミングの群れは、死ぬまで走り続けるのです。
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