永遠の0 (ゼロ)
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本
今から72年前の今日、1941年12月8日、日本軍は米国ハワイの真珠湾を攻撃しました。
この真珠湾攻撃のおかげで日本人は卑怯者のレッテルを貼られ、リメンバーパールハーバーの大合唱のなか、ヤンキー魂に火をつけ、アメリカ軍を本気にさせました。
そしていまだに日本人は卑怯者だと言われ続けています。
しかし、これは、ワシントンの駐米大使館の役人が前の晩に送別会で飲み過ぎて寝坊したために、宣戦布告の文書を真珠湾攻撃のあとで手交してしまったというのが真実らしいです。
このように太平洋戦争での上層部の失態は枚挙にいとまがありません。
ガダルカナル、マリアナ沖海戦、レイテ沖海戦、インパール。。。。
世界最高のパイロットと戦闘機を誇ってたにもかかわらず、無能な上層部のために、多くの人間が死に、
最後は特攻のような人間の命を軽んじる無謀な作戦のために多くの人間が死にました。
もっと早く降伏していれば、広島、長崎の原爆もなかっただろうに。
天皇陛下を神輿にかついだ無能な大本営に国民が振り回され蹂躙されたあげく多くの尊い命が失われた。
それが、太平洋戦争でした。
太平洋戦争が終わり70年近くたつと、戦争の記憶は風化しつつあります。
ジローズというフォークソンググループがかつて「戦争を知らない子供たち」という歌を歌いましたが、
今や「戦争を知らない孫たち」
いやいや「戦争なんて誰も知らない」状態になっています。
テレビや映画などで太平洋戦争のことを取り上げると、「戦争は悪い」「戦争は悲惨だ」「戦争はいけないこと」という型通りなPTA推奨のようなメッセージを無理矢理押し付けられ、私のような「戦争を知らない孫たち」には、なかなか伝わらないのが現状のような気がします。
百田尚樹さんの「永遠の0 (ゼロ)」を読みました。
永遠の0 (講談社文庫) 百田 尚樹 講談社 |
ゼロとは、日本が世界に誇る戦闘機 三菱零式艦上戦闘機(通称ゼロ戦)のことです。
宮崎駿の「風立ちぬ」で描かれたように、日本の技術者の叡智の結晶を集めたゼロ戦は、当時世界最強の戦闘機でした。
「風立ちぬ」では描かれなかったゼロ戦の暗い歴史。
それが本書で描かれています。
そう、そしてこれは、私のような「戦争を知らない孫たち」に贈るメッセージなのです。
物語の舞台は現代。
今の時代を生きる20代のニート状態の青年と、30代の独身のその姉が主人公で、ふとしたことから特攻隊で戦死した祖父のことを調べることになり、祖父を知る人たちを探し証言を聞くなかで、主人公たちが成長して行くといったお話です。
今の時代を生きる等身大の2人の男女を主人公にすることで、私のように太平洋戦争に拒否反応をおこす「戦争を知らない孫たち」も、物語の世界にスッと引き込まれていけます。
読者のターゲットをうまく見通したかのような設定が、さすが今をときめく百田尚樹さんなのだなあと感心します。
主人公は、戦争の話を聞くことに最初はあまり乗り気ではなかったですが、戦争体験記を聞くにつれ、戦争の愚かさ、とくに帝国陸海軍の上層部の人命を軽視する姿勢に、怒りと哀しみを感じていきます。
それは同時に、主人公たちに同調している読者である私たちも太平洋戦争を追体験し、その愚行に怒りと哀しみに包まれるなかで、何度も涙腺を抑える箇所がたくさんあったりと、物語の世界に没頭していけます。
特攻を狂気の沙汰ととらえる人がいるかもしれません。
特攻を911などの中東の自爆テロと同等に考える人がいるかもしれません。
しかし、それは違います。
特攻のパイロットたちは、家族を思う普通の人間でした。
決してテロリストではありません。
日本国がアメリカに蹂躙されれば、家族はどうなる?
家族を守る為に我が身を犠牲にする。
なんという気高い心なのでしょうか。
その家族を思う、国を思う高貴な気持ちを利用した帝国陸海軍を決して許すことはできません。
そして、彼らの死の上に、私たちは今の生活を享受できていることも忘れてはいけません。
戦争を知らない全ての日本人に、この本を捧げます。
PS.
12月下旬に「永遠の0(ゼロ)」の映画が公開されます。
とても楽しみですが、映画館で号泣しそうなのが心配です。
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