コロナ禍の最中に『仕事ごっこ』という本を読んでみて
コロナを境に一気に、世界は変わった。
特に、歴史のある日本型のカイシャの変貌が顕著だ。
今まで国やマスコミが何度言っても変わることができなかったのに、
コロナが変えた。
リモートワーク、時差出勤などが当たり前になった。
今年の正月に予言者が来て、
「今年はリモートワークが一気に普及する」
なんて予言したら、絶対ペテン師だと思っただろう。
昨年の7月に買って積読になっていたこの本を今頃読んだ。
仕事ごっこ
このネーミングにやられた。
かつてこれほどまでに、現代の日本のサラリーマンを的確に言い表した言葉はあっただろうか?
管理職ごっこ、会議ごっこ、ダイバーシティごっこ・・・
半年前、この本を買った時は、「仕事ごっこ」って頭では分かってるけど、絶対に変わらないと思っていた。絶対に変わらない状況を笑い飛ばして溜飲を下げるためのネタ的な意味で買った。
本書の最後で、著者はこう結んでいる。
近い将来、この本の内容が「むかし話」になってることを願って・・・・・・
2019年5月
1年たった今、本当にむかし話になりつつある。
不謹慎かもしれないけど、コロナに感謝する。
コロナは人間としての普通の生活、仕事に気がつかせてくれた。
(もちろんコロナのために生活が困窮している人がいることを無視するわけではない)
イギリスの産業革命の工場労働者のためのシステムが日本の軍隊主義・体育会主義にブレンドされ我が国独自の変化をとげた脳筋オッサンサラリーマン史上主義を元とするあらゆること(会議、痛勤、定時より早く出社、恒常的な残業、長時間労働、強制的社内飲み会、レクレーション、社宅、専業主婦など)がどれだけ異常なことだったのか。
リモートワークでさぼらないかって当初は心配した人が多かったが、全然そんなことはないと分かった。そもそも人間を管理しようとするから一箇所に集めたり、朝礼、進捗会議、報告物作成など無駄なことが必要になる。
リモートワークを試した結果、管理する役の人間はそんなにいらないっていうことが分かった。役職がフラットになれば、後述する「管理職ごっこ」による非効率な業務もなくなり、何層も重なるそれぞれのお偉いさんを理解させるという膨大なコミュニケーションコストが不要になる。
そう、今まではマネジメントのオッサンたちの自己満足のための業務がいかに多かったのか。
会議ごっこをあげると、
・キレイな資料を作るのが、部下の仕事であり礼儀だ(私も若いことはそうしてきた)という指導
・万が一お偉いさんの思いつきの質問があったときにのためのデータ収集や手元資料作成
・拘束時間、移動や準備のための時間
これら全て、マネジメントのオッサンたちの自己満足に過ぎないと分かった。
管理職ごっこをあげると、
・管理職らしくふるまうために、コミュニケーションの壁、情報の壁をつくる。
・情報がほしければ、礼儀作法をわきまえて「お前から頭を下げてこい」な空気を作る。
こうやって、管理職ごっこにより情報が紙ばかりでお偉いさんが出席する会議で共有されるということから、情報を共有するための仕事が生まれたり、情報をもらうための気遣いや社内接待がはびこるようになった。
こんなものは関係者全員にSlackなどのチャットのグループで情報共有すればいい。
一瞬ですむ。
他にも「仕事ごっこ」はたくさんあって、
・突然の電話(電話は相手の注意力や集中力を奪う失礼な行為という認識がない)
・スーツ&ネクタイと失礼という発想
・会わないと失礼(表敬訪問、挨拶回り、視察)
などなど
旧態依然の組織には
「ラクをする=悪いこと」
「一生懸命汗をかくことが重要」
という脳が筋肉でできた価値観があるからしょうがないと多くの人は割り切っていた。
でも、コロナが変えた。
本書にあることは、つい半年前にはファンタジーの世界だったけど、今や当たり前になってきた。
本書で提案にている以下のようなことは、半年前に言ったら、「何を夢見たいなことを言ってる」って相手にされないようなことばかりだ。
・テレワーク/リモートワークを導入し、毎日通勤しなくてもよくする
・9時~17時の固定勤務をやめてみる
・通勤ラッシュをさけて出社する
・情報共有だけの定例会議をやめてみる
・情報は。イントラネット、あるいはグループウェアやTeams、Slack、LINE WORKSなどのチャットツールなどを活用し、業務上関係のある人たちのグループを作って、情報を一斉共有できるようにする
・日報をWordで書くのをやめて、Slackなどのコラボレーションツールに投稿するようにする
・電話をなくす
・カジュアルウェアでの出社をよしとする
何度も言うけど、
コロナが変えた。
著者の言うとおり、
この本の内容が「むかし話」になるのも、あともう一歩。
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