*

「最後の社会主義国」日本の苦闘

公開日: : 最終更新日:2015/05/17 , , ,

今日は、「最後の社会主義国 日本の苦闘」を紹介します。

原題は、RACE FOR EXITS  (直訳すると出口への殺到)

社会主義国家である日本は、
建設業、電力会社、農業、銀行などの非効率な産業を保護するために、海外競争力のある製造業に大きな負担を与えてきた。
法人税しかり、社会保障しかり。
また、終身雇用制度というセーフティネットにより、女性を専業主婦として家庭に縛り、
育児、介護などの福祉も無料で女性に負担させてきた。
つまり、今までの日本は、非効率な産業の保護 および、終身雇用制度というセーフティネットから生まれた専業主婦の活用により、政府の莫大な支出なしに、社会保障の有効な安全ネットを作り上げた世界でも驚嘆すべき社会主義国家だった。
そうはいっても、犠牲になっている2つのグループ
「女性」 と 「企業」
は、このシステムに対して、声をあげ、政治的な対応をとらなかったのだろうか?
これが本書の重要なテーマである。

その答えは、問題に立ち向かうより、逃げる方が簡単だからなのだ。
そう、問題から退出(EXIT)する術を、女性と企業は持っているのだ。
そういった「退出」の力学から、日本の抱えている問題を分析している点が、本書の興味深い点である。
企業は海外へ「退出」し、
女性は仕事をあきらめるか、結婚・子どもをあきらめるかという選択で「退出」することができるので、
わざわざ政治運動をする必要がない。
声を上げないものだから、声の大きい既得権益者の都合のよい社会になるという悪循環が続く。

このままでは、
優良企業の資本・技術が海外へ逃避し、少子化・労働力減少により、国力は衰えていくばかり。
今はゆるやかな退出だが、そのうち題名通り出口へ殺到(RACE FOR EXITS)するだろう。
そうならないためにも、生産性を向上させ、女性と移民の労働力人口への加入を奨励し、仕事と家庭を両立させて、より多くの子どもの持てる家庭をつくるといった基本的な社会改革、経済改革が必要だと本書は訴えている。

 

国民はいつまでも我慢強くはないです。
何かをきっかけに、出口への殺到は止まらなくなるでしょう。

ad

    この記事が気に入りましたら、ぜひTwitter、facebookボタンをお願いします。
    ブログを書くモチベーションになります。よろしくお願いします。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事が良かったらビットコインで寄付をお願いします。
ビットコイン投げ銭ウィジェット



関連記事

人は意外に合理的

本日紹介する本は、 ティム・ハートフォード氏の 『人は意外に合理的』 考える事の重要性、経済学

記事を読む

no image

女装する女

なんだこのタイトルは? 女だから女装するのは当たり前じゃないの? とツッコミたくなるが、 男も女も

記事を読む

ゼロ

40歳を過ぎると、 ブルース・スプリングスティーンの「グローリー・デイズ」という曲が心にしみる。

記事を読む

『コミュニティマーケティング』を読んで

   私は、企業の「売りたい」意図が見えると興醒めしてしまうことがある。 広告は売りたいためにやって

記事を読む

わたしは、なぜタダで70日間世界一周できたのか?

突然ですが、みなさんは夢を持ってますか? 夢は持ってるけど、 お金がないとか、今さらそんなこ

記事を読む

ad

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

ad

生成AIで作ったキャラクターをLive2Dで加工しUnityで動かす(まばたき、話す)

  ChatGPT(DALL-E3)で作ったキャラクターをもとに、Ch

24時間のトランジットならビザなしで中国に入国できる(上海浦東空港での体験)

中国での入国を伴うトランジットについて、私は事前にググりまくって情報を

『東京都同情塔』を読んで

ChatGPTを活用して作ったという芥川賞受賞作「東京都同情塔」を読了

『ボーはおそれている』を観て

    3月1日の映画の日はミッドサマーの監督の最新作を鑑賞(ミッド

生成AIを使ったテレビニュース風の動画の作り方(HeyGen + Canva)

  イベントの宣伝用にこんな動画を作りました。   誰でも簡単に作れ

→もっと見る

    • 1679375総閲覧数:
    • 48今日の閲覧数:
    • 910昨日の閲覧数:
    • 0現在オンライン中の人数:
    • 2014年4月29日カウント開始日:
PAGE TOP ↑