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『イノベーターのためのサイエンスとテクノロジーの経営学』を読んで

公開日: : イノベーション,

 

 

私は5年前に県庁に出向し、そこで「イノベーション推進チーム」という凄い名前の部署に配属になって以来、イノベーション分野の周辺を漂っている。

 

といっても、

自分がイノベーターでもなく、

もちろん起業したわけでもない。

 

いろんなイベントを主催したり、見たり聞いたり、

本もそれなりに読んできたつもり。

 

趣味のプログラミングからつながるテクノロジーが、たまたま今の時代のイノベーターの領域にうっすら重なっているから、なんとなくこの分野の周辺に漂っている。

 

とはいえ、イノベーションを正式に学んだことはなく、ただの知ったかぶりオッサンにすぎない。

『え、あなた「イノベーションのジレンマ」を読んだことないのに、イノベーションを語る?』

みたいに心の中でマウントとる小物感あふれる知ったかぶりのオッサンだ。

 

 

 

 

 

 

昨年、早稲田大学ビジネススクールでスイッチサイエンスの高須さんの授業「深圳の産業集積とハードウェアのマスイノベーション」の1コマでゲスト講師をする機会があった。

 

その高須さんを早稲田大学ビジネススクールに講師として呼び、授業のサポートをされている牧先生がこのたび本を出版された。(なんと、私の人生で初めて献本いただいた本です。ありがとうございました)

 

『イノベーターのためのサイエンスとテクノロジーの経営学』

 

世の中にはたくさんのイノベーション的な本がある。

その中でもこの本の特筆するところは、学術論文を題材にしているところだ。

厳選された世界的な定量分析を用いた学術論文を読み解くという形をとっている。

定量分析なので、1つ1つの論理的な主張に納得できる。

 

 

昨今、日本中、それこそ国から自治体、そのへんの企業までもが、どうやったらイノベーションを起こすことができるのかということを必死で探し求めている。

ただ何から始め、どうしたらいいか分からないので、どうしても東京を本社におく戦略コンサルが描く絵に頼らざるを得ない状況にみえる。ここ数年コンサルの業績は鰻登りで人員も大幅に増員している。国内コンサル市場は2025年に1兆2551億円と、20年から46%増える見通しという記事を見かけた。

 

それはそれでしょうがないことだけど、コンサルが描く施策がなぜそうなのかはある程度自分で知っておかないと、コンサルのいうことを作業するだけの人になってしまう。

 

 

本書では、コンサルが作ったと思われる自治体や企業のイノベーション施策に掲載されてることを証明できる論文をひととおり網羅していると思う。

 

イノベーション的な仕事をしている人はひととおり目を通すことをお勧めする。

解像度の画素数が1桁アップするに違いない。

 

 

以下目次より

 

・イノベーションは誰が担うのか

・アントレプレナーはどこから生まれるのか

・スターサイエンティストはなぜ重要か

・科学技術の知は、なぜ特定の地域に集積するのか

・なぜ起業活動は特定の地域に集積するのか

・アントレプレナーの活動を促進するものはなにか

・ベンチャーキャピタルはなぜ重要なのか

・インセンティブは発明とビジネス化にどの程度重要なのか

・大学における知財とインセンティブの関係

・大学発ベンチャーはイノベーションを促進するのか

 

 

 

通常の業務を担っている人は関係ないと思うかもしれないけど、通常の仕事に活用できるヒントも多い。

たとえば、科学技術の知や起業家が特定の地域に集積することを研究した論文は、自社に優秀な人材を集めるためのヒントになるし、成果主義とイノベーションの関係を研究した論文は、自社のプロジェクトや人材の評価方法のヒントになる。ピアエフェクトの考え方は業績をあげる人材配置の考え方につながる。

 

そして、論文の考え方は、そのまま新規事業の実証実験に使える。

自分の思いを他人に納得させるために定量的な根拠をもとに論理的に言語化する技術を学べる。

 

 

 

 

 

と、ここまで偉そうなことを書いてきたが、

私自身は恥ずかしながら今まで論文というものを読んだことがない。

相関関係と因果関係を日常で意識したことのない人間だ。

論文は結構ハードルが高い。

 

そんな私のようなものに、この本は論文の読み方、学び方の指南を与えてくれる。

 

 

プログラミングを初めてする人に、まず最初に教えることは

「Hello World」という言葉を画面に表示させることが多い。

最初にこの言葉を使おうと考えた人は素晴らしいと思う。

「Hello World」という言葉を見た瞬間、新しい世界が広がった感を抱かせてくれる。

 

 

本書は学術論文の世界の「Hello World」へ我々を誘う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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