競争と公平感
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昨今の不況、格差拡大は市場競争が原因だという風潮が強くなっているが、いやいや、みなさんよく考えてみませんか。
市場競争のメリットをよく理解しましょう。というのが本書の基本的スタイルだ。
さまざまな統計資料、実験などから、競争と公平感について考察。
それは、市場競争のメリット・デメリットからはじまり、ジェンダーの問題、世代間格差、貧困、非正規社員、外国人労働者など、話題は多岐にわたる。
そのうちの一部分を以下にメモる。
日本は資本主義国家なのだが、日本人は他の資本主義国家に比べ競争が嫌いだ。
「民間は市場経済を信頼して利益を追求し、国は市場経済からこぼれ落ちる人たちを再分配政策等で助ける」
というのが資本主義国家に生きる人間の標準的な考え方のはずなのだが、
なぜか、日本人は市場競争も嫌いだけど、政府による再分配も嫌いだという特徴がある。
日本人はかつて勤勉を美徳とし、それが高い生産性、競争力の源泉となっていたが、近年は努力してもむくわれない、運やコネの方が大事だと考える風潮が強くなってきた。
運やコネによる所得の差をなくすには、税や社会保障による再分配制度や雇用創出が不可欠だ。
運をコネを排除するには、規制を撤廃し参入障壁を低くしたり、再参入が何度でもできる競争的な制度を作ることが解決策になるはずなのに、現実には、市場主義そのものに問題があり、市場に対して規制をかけるべきだという議論になっている。
それは、昨今の不況が大きな原因だが、それと日本では市場主義と大企業主義が同一視されてしまったこともあげられる。
また、教育において市場主義のデメリットばかり強調され、市場主義のメリットを理解していない人間が多いことなども考えられる。
たしかに市場競争は厳しいものだ。
競争をしたくない人は多い。
それでも市場競争という仕組みを使うのは、メリットがデメリットよりも大きいからだ。
より豊かになれること、誰にでも豊かになれるチャンスがあるということだ。
市場競争のメリットを最大限に生かし、デメリットを小さくするような規制や再分配政策を考えるという、市場競争に対する共通の価値観を持つべきなのだ。
競争なき社会は、全員が平等に貧乏になり、富が一部に集中する超格差社会になるのは、旧共産圏やアフリカ中東の独裁政権、北朝鮮を見れば分かるはず。
運動会で順位をつけない学校があるときくが、それでいいのだろうか。
学校を出た瞬間、厳しい競争社会が待っているというのに。。。
競争があるからこそ、活力が生まれ、イノベーションも生まれるのだろう。
一方で競争からはみ出る人間へのセーフティネットを忘れては行けない。
保護はもちろんのこと、再出発を容易にするという意味でのセーフティネットでなければならないと思うけどね。
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