ニッポンの嘘
私の住んでる広島という地では、幼少の頃から徹底的に平和教育を実施しており、私も原爆や平和に対する思いはそれなりにある。
そして奇跡的に復興した広島という土地を誇りに持っている。
東日本大震災。
福島原発。
同じ放射能という点、
そして瓦礫の山からの復興という点で、
大半の広島人は、原爆投下後の広島と福島を重ねていると思う。
そう、
広島と福島はつながっている。
90歳の報道写真家福島菊次郎さんを追うドキュメンタリー「ニッポンの嘘」を見た。
原爆を風化させないために、そして被爆者からの申し出により、ある被爆者一家を撮影し続けた。
被爆者の苦悩、無念、絶望が伝わってくる写真の数々。
魂の入った写真の力の凄まじさ。
決して映像や文章では表現できない。
それら一連の作品で有名になるのだが、私生活を晒された家族からは罵声をあびる。
自身も被爆者の苦悩をファインダー越しに受け、精神病になったこともある。
自衛隊を批判した写真集発表後に、家を放火される。
国家を批判する作品を発表するため、国家からもらうもの(年金や生活保護)にはガンと固辞する。固辞したがために最愛の人と別離する。
凄まじい。
写真家の業の凄まじさ。
写真家とは職業ではなく、生き様なのだ。
今の風貌は、90歳すぎたユーモアたっぷりの好々爺なのだが、
ときおり見せる眼光の鋭さには、ハッとささられる。
かつて、広島はスラム街を強制撤去し、被爆朝鮮人を無視するなどの事実を表にださず、平和記念公園というオシャレなものでごまかし、聖地というキレイなベールをかぶせ、原爆を過去のものにした。
広島を聖地にしてはいけない。
福島も同じだ。
がんばろう東北、Pray for Japan
などと口当たりのいい言葉で、いつの間にか真実は闇の中に葬られるのではないか。
戦後、繰り返してきたニッポンの嘘。
それを暴く為に、カメラを武器に戦い続けた福島菊次郎さん。
ペンは剣より強しという言葉があるが、
さしむけ
カメラは剣より強い
写真は何よりも雄弁に事実を語ってくれる。
最後にもう1度言おう。
ヒロシマとフクシマはつながってる。
決して放射能つながりということではない。
嘘で塗り固め、真実を忘却の彼方に追いやってきた戦後日本史が再び繰り返されようとしているからだ。
「表に出ないものを引っ張りだして、たたきつぶしてやりたい」
(福島菊次郎)
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