*

ニッポンの嘘

公開日: : 最終更新日:2015/09/26 原爆, 広島, 映画感想文 ,

私の住んでる広島という地では、幼少の頃から徹底的に平和教育を実施しており、私も原爆や平和に対する思いはそれなりにある。
そして奇跡的に復興した広島という土地を誇りに持っている。

東日本大震災。
福島原発。
同じ放射能という点、
そして瓦礫の山からの復興という点で、
大半の広島人は、原爆投下後の広島と福島を重ねていると思う。
そう、
広島と福島はつながっている。

90歳の報道写真家福島菊次郎さんを追うドキュメンタリー「ニッポンの嘘」を見た。

原爆を風化させないために、そして被爆者からの申し出により、ある被爆者一家を撮影し続けた。
被爆者の苦悩、無念、絶望が伝わってくる写真の数々。
魂の入った写真の力の凄まじさ。
決して映像や文章では表現できない。
それら一連の作品で有名になるのだが、私生活を晒された家族からは罵声をあびる。
自身も被爆者の苦悩をファインダー越しに受け、精神病になったこともある。
自衛隊を批判した写真集発表後に、家を放火される。
国家を批判する作品を発表するため、国家からもらうもの(年金や生活保護)にはガンと固辞する。固辞したがために最愛の人と別離する。

凄まじい。
写真家の業の凄まじさ。
写真家とは職業ではなく、生き様なのだ。

今の風貌は、90歳すぎたユーモアたっぷりの好々爺なのだが、
ときおり見せる眼光の鋭さには、ハッとささられる。

かつて、広島はスラム街を強制撤去し、被爆朝鮮人を無視するなどの事実を表にださず、平和記念公園というオシャレなものでごまかし、聖地というキレイなベールをかぶせ、原爆を過去のものにした。
広島を聖地にしてはいけない。
福島も同じだ。
がんばろう東北、Pray for Japan
などと口当たりのいい言葉で、いつの間にか真実は闇の中に葬られるのではないか。

戦後、繰り返してきたニッポンの嘘。
それを暴く為に、カメラを武器に戦い続けた福島菊次郎さん。
ペンは剣より強しという言葉があるが、
さしむけ
カメラは剣より強い
写真は何よりも雄弁に事実を語ってくれる。

最後にもう1度言おう。
ヒロシマとフクシマはつながってる。
決して放射能つながりということではない。
嘘で塗り固め、真実を忘却の彼方に追いやってきた戦後日本史が再び繰り返されようとしているからだ。

「表に出ないものを引っ張りだして、たたきつぶしてやりたい」
(福島菊次郎)

 

T0013804q

ad

    この記事が気に入りましたら、ぜひTwitter、facebookボタンをお願いします。
    ブログを書くモチベーションになります。よろしくお願いします。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事が良かったらビットコインで寄付をお願いします。
ビットコイン投げ銭ウィジェット



関連記事

Facebookは世界を狭くする。フィリピン、ベトナム、そして広島

    約5年半前(2012年7月) フィリピンのセブ島に1週間だけ語学留学をした。   その時のブ

記事を読む

PARIS(パリ)

パリに住む普通の人たちの人間模様、恋愛を描いた切なくもさわやかな映画。 パリ好きにはたまらない映画

記事を読む

野村萬斎が満載の映画「花戦さ」を観て

              野村萬斎祭りという感じの、野村萬斎が満載な映画「花戦さ」を観た   映

記事を読む

広島駅前で見つけたもの

広島駅前(南口)を散策してて、 いいなあと思ったものを紹介します。 【珈琲館の看板】 ロン

記事を読む

no image

インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実

資本主義の焼け野原を見てきました。 ちょっと前の日経ヴェリタスで紹介されてた アカデミー賞長編ドキュ

記事を読む

ad

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

ad

24時間のトランジットならビザなしで中国に入国できる(上海浦東空港での体験)

中国での入国を伴うトランジットについて、私は事前にググりまくって情報を

『東京都同情塔』を読んで

ChatGPTを活用して作ったという芥川賞受賞作「東京都同情塔」を読了

『ボーはおそれている』を観て

    3月1日の映画の日はミッドサマーの監督の最新作を鑑賞(ミッド

生成AIを使ったテレビニュース風の動画の作り方(HeyGen + Canva)

  イベントの宣伝用にこんな動画を作りました。   誰でも簡単に作れ

タランティーノの第1回監督作品「レザボア・ドッグス」を観たよ

  只今タランティーノの第1回監督作品「レザボア・ドッグス」がデジタ

→もっと見る

    • 1668911総閲覧数:
    • 1今日の閲覧数:
    • 2317昨日の閲覧数:
    • 0現在オンライン中の人数:
    • 2014年4月29日カウント開始日:
PAGE TOP ↑