「デフレの正体」の著者の講演を拝聴して
昨日、広島市内で、ベストセラー『デフレの正体』の著者藻谷氏の講演を拝聴しました。
氏のシニカルなユーモアを交えた語り口と、その壮絶な内容に、時を忘れあっという間の3時間でした。
最前列で聴講したので、当てられたらどうしようと、常に返答を頭に描きながらの聴講だったので、緊張の連続の3時間でもありました。
講演は『デフレの正体』の内容を広島県民に即した内容にアレンジされた内容でした。
詳細は著書を読んで理解を深めることをお勧めします。
(参考)私の過去エントリー
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=3905794
さて、講演の中で印象に残ったところを、以下つらつらと書きなぐります。
デフレの正体は、景気循環の問題ではない。
人口動態の問題だ。
現役世代が加速度的に減少している。
と同時に老人が加速度的に激増している。
老人は消費もせずに、何かあったときのために蓄えている。
人生ゲームで、おもちゃの10万ドル紙幣をたくさん溜め込むことが人生のゴールかと思っているように。
そりゃあ、モノが売れる訳がない。
プレゼン資料で、老人の増加人口の数字を見た時は、会場中がシーンと絶望感の静寂につつまれた。
至る所、老人だらけではないか。。。
もう、将来は絶望しかないように思える。
どうしたらよいのだろうか?
それは、移民でも、少子化対策でも、定年延長でもない。
すごく単純だ。
・社員の給料を上げること。
・女性就労を促進すること。
・外国人観光客を増加させること。
社員の給料を削り、利益を配当を通じて老人にまわしている会社は、自らのクビを締めていることと同じ。
公害対策費用を削り、水俣市民を苦しめ、自分たちをも苦しめた「チッソ」と同じようなもの。
しかし、頭では理解できても、人口減少社会を経験していない40代以上の人間には、こういうことが理解できない。
汗水たらして熱血にがむしゃらにやればモノが売れ続けた成功体験を持っている40代以上の人間には理解できない。
男尊女卑社会をずっと過ごしてきた40代以上の人間には理解できない。
だから、今30代の人間が社会の支配層にならない限り、日本はそう簡単に変わらないだろうと言う。
そうはいっても、早く変わらないと、本当に大変なことになってしまう。
我が国だけの問題ではない。
中国の人口ボーナスがそろそろ終わりそうだからだ。
中国も凄まじい超高齢化社会に突入する。
究極の資本主義国家中国が社会主義国家日本に襲いかかってくる。
そのときには、我が国は凄惨な状況に追い込まれるであろう。
中国に飲み込まれない為にはどうすればいい?
解決策はある。
それは、スイスになることだ!
日本人の高い人件費がまかなえる産業だけ残す。
高く売れるモノだけを作ることだ。
ブランド力を強化するしかない。
マリー・アントワネットは
飢えに苦しむ民衆のことを聞いて
「食べ物がなければ、ケーキを食べればいいじゃん」
と言ったとか言わなかったとか。
我々はこれ以上、ケーキ(景気)の回復を待っている訳にはいかない。
永遠にケーキ(景気)の回復はやってこないのだから。
最後にもう1つ、本講演で印象に残ったこと。
「自分の目で事実を確かめ、自分の頭で考えよう」ってこと。
インサイダー情報なんか知らなくても、公表されているデータで何でも分かるとのこと。
事実を確認すれば、マスコミが提供する単純な二元論に同調しないはず。
「円高は悪だ!」とか
「日本の家電メーカーの凋落やエルピーダが破綻したのは韓国のせいだ!」
とかいうマスコミが煽る二元論には同調しなくてすむ。
我々はえてして、事実を確認するのをめんどくさがる。
だから、有名な学者やコメンテーターが言うことを信じてしまう。
「有名な◯◯さんが言ってたから」
ウォーレン・バフェットは特別なことをしていない。
公表されている決算資料を丹念に読んでいるだけだ。
現在は空気に逆らうことができず泥沼化した太平洋戦争時と変わらない。
「事実誤認」という生活習慣病をもととした、根拠のない論説、空気に同調してしまう。
皆が言ってる意見が正しい。
テレビが言ってるから正しい。
藻谷氏は講演中、何度も何度もジョージ・オーウェルの小説『1984年』を引き合いにだした。
現代の日本人はこの小説に登場する独裁者ビッグブラザーの言いなりのようなものだ。
我々も早くテレビや世間の空気というビッグブラザーの洗脳から抜け出よう。
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