中盤まで大傑作だった映画『ドライブ・マイ・カー』を観て(ネタバレ注意)
(ネタバレ注意)
ほとんどが広島ロケということで私のような広島人にとって大きな話題だった映画「ドライブ・マイ・カー」を観た。

主人公は舞台演出家で、本物語ではチェーホフの「ワーニャ叔父さん」の舞台に備えて稽古中だ。
チェーホフの「ワーニャ叔父さん」を知ってれば、見方が全然違うんだろうけど、私はチェーホフのことは「チェーホフの銃」の話しか知らない。
物語の冒頭に銃が登場すれば、銃はどこかで使わないといけないという、一般ピープルの私でも聞いたことのある演劇界では超有名な話だ。
本作は「チェーホフの銃」の話のとおり、物語に無駄がない。
冒頭は、主人公の妻がセックスのあと朦朧として感情も抑揚もないストーリーを語り出す不思議なシーンから始まる。その後もどことなく不安で不思議な逸話の連続だったが、それらがいっきに判明していく中盤の車中のシーンが圧巻だ。
主人公の妻はセックス後に物語を紡いでいくが、彼女は翌朝覚えてない。主人公はそれを覚えている。セックスのたびに妻が声に出す物語は進行していく。
ある日妻は突然死する。
もう主人公は物語の続きを聞くことはできないはずなのだが、主人公の舞台の男性俳優が車中でその続きを語る。
このゾクゾクとしたシーンに痺れた。
僕は、今まで言葉で説明する映画はクソだと思っていて、セリフよりも映像で物語を語るのが素晴らしい映画だと信じていたが、本作で考えが変わった。
車中という密室での言葉のやりとりだけでここまでスリリングで魅せるシーンはいまだかつて観たことがない。
カンヌで脚本賞とるにふさわしい練りに練り尽くした脚本に身震いした。
本作は超傑作だと感じた。
が、後半いっきに、非現実的すぎる展開に、興醒めした。
前半と違って、なんで、そうなるの?というシーンの連続だった。
チェーホフの銃よろしく、スマホで写真を撮る一般人にキレる舞台男優の気持ちは分かるが、それが行き過ぎて相手を殺してしまう。
殺す必要あった?
そのため舞台は存続か中止の決断を迫られ、主人公は2日猶予をもらう。
じっくり考えたいから、運転手にの地元の北海道まで連れていってもらう。
なんで?
広島から北海道まで車で?
終盤近く、北海道で運転手が唐突に棒読みで語る母親の話。
今まで伏線も何もなく母親は二重人格だったと告白する。
母親からたびたび暴力を受けていたが、二重人格の母親は優しくて好きだった。
だから主人公の妻の表の面もどす黒い裏の面も等しくその人なのだよと主人公を諭す。
なんだそれ?
一気に物語の世界から覚めた。
と、
なんで?
中盤まで、超傑作と思うほどの展開だったのに・・・・
なんか、残念な感じしか残らなかった。
ただ、広島人としては、「この場面のロケ地どこだろう」って考えながら観るのは楽しかった。
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