韓国映画『哭声/コクソン』はルビンの壺だ
「ルビンの壺」という絵がある。
物事は、見方によって、全く別物に見えるということ。
韓国映画「哭声/コクソン」を観た。
※これから先は、ネタバレに近い記載あり。
韓国の田舎町で、一家惨殺事件が相次ぐ。
皆、山奥に暮らす得体の知れない「日本人」が関わっているのではないかと疑う。
実は犯人は日本人では無くて、その日本人が韓国人の偏見によって犠牲者になるような映画なのかなあ
と思ってたが、そんな単純な映画ではなかった。
本作品の前半は、ダラダラ、コメディっぽい展開で、やや退屈。
その退屈な日常が徐々に侵食されていき、後半の怒涛の展開につながっていく。
どんでん返しが2度用意されていて、その都度、物事の見方が全く変わる。
世界の見え方が変わる。
「ルビンの壺」のように。
ラスト間際、主人公が究極の選択を強いられるシーン。と同時に別々の場所にいる主要登場人物をつなぎ合わせ、全員の意識を1つの所へ収斂させていくところ。
ここの演出は神ってる。
過去の偉大な映画「ゴッド・ファーザー」や「ダーク・ナイト」のクライマックスに匹敵する演出に、客席でいつの間にか前のめりになっていた。
ラストは、結局「ラスボスは○○でした」と、分かりやすく提示してるように見えるけど、本当にそうなのか確信が持てない。
実は・・・・
って色々な解釈が成り立って、鑑賞後もあれこれ考えてしまう。
映画をたくさん見てると、変に映画評論家を気取って、「結末が読めて甘い!」など偉そうなことを言ってしまいがちだけど、そんな人たちもやられること間違いない。
映画にやられたい人、集合!
最後に、謎の日本人役の國村隼の不気味な存在感が、すごかった。
それだけでも必見だ。
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