ケチャップの謎
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雑誌「ニューヨーカー」の人気コラムニスト マルコム・グラッドウェルが
過去の記事の中から気に入ったコラムの傑作選3部作の第1作目
マイナーな世界の天才たち6人の物語だ。
・TVショッピングの王様
・ケチャップの革新者
・ブラックスワンの著書タレブ
・ヘアカラーの歴史と女性の社会的進出
・避妊薬をめぐる論争
・犬のカリスマ調教師
それぞれの物語は、ウィットにとんで、しゃれたオチが心地よい。
中でも、タレブが「ブラックスワン」で有名になる前のコラムが興味深い。
ブラックスワンを前提とした地味な投資をするタレブと精力的な売買をする投資家ニーダーホッファーを対比させ、ウォール街の喧噪・虚構を冷静な視点で綴っている。
そもそも、投資は運じゃないのか、スキルなんかあるのか?
バフェットにしろ、ソロスにしろ、成功した後で、もっともらしい理由が考え出されただけじゃないのか?
10年間勝ち続けた幸運な者も11年目には、一瞬で”吹っ飛ぶ”かもしれないじゃないか?
少年時代をレバノンで過ごしたタレブは、母国がほんの半年で「天国から地獄」へ変わり果てた様子を体験している。
この世はあまりにも不確実なことが多いことを知っている。
だから、いかなる”吹っ飛ぶ”可能性のある投資戦略を実行しないのだ。
将来のことはだれにもわからないので株は買わない。
市場がどうなるかなんてわからないので、市場の上昇か下落には賭けない。
決してオプションは売らない。もっぱら買う。
さまざまな株式のオプションをアウト・オブ・ザ・マネーで買い、権利を行使する前に満期になれば、さらに買い増す。
ひとたびブラックスワンが起これば、巨額の利益を手に入れる。
が、めちゃくちゃ地味な投資方法だ。
なにせブラックスワンが起きない限り、毎日毎日ジリジリと損失をだすからだ。
いつまで損をし続けるのだろうか、このまま永遠に損をし続けるかもという心と戦わないといけない。
普通の投資家は、毎日・毎時、世界のニュースに注目し、市場を予測し、ベットする。
「イタリアの財務相がこんな発言をした」
「この数字は予想より高い」
「GSのだれだれがこう発言した」
タレブにはそんな様子が愚行に見えた。
タレブのオフィスには新聞がない。
活発なトレーディングを行うこともない。
ブラックスワンに備えて地味にオプションを買い続けるだけだ。
ある日、ニューヨークの超高層ビルに飛行機が突っ込んだ。
その時、みなは言った。
「これは到底予期できないよ」
サブプライムのときも、みんな言ったよね。
「こんなの予測できないよ」
もう1つ、犬のカリスマ調教師の話
どんな猛犬もたちどころに大人しくさせてしまうカリスマ調教師。
なぜ?
存在感(プレゼンス)のようなものを漂わせていたからだ。
その存在感はどこから来るのか?
犬との関係だけでなく、対人間に対してもそうだ。
存在感のある人間とは、伝えたい意図とフレージング(姿勢とジェスチャーの組み合わせ)が一致している。
こういう人間にみな惹かれる。
のように、興味深い話が6話。
平易で読みやすく、知的好奇心をくすぐる、これらのコラムを堪能あれ。
マルコム・グラッドウェルの前作「天才」も超お薦め
(私の過去記事)
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=2205163
そして、不朽の名著「ブラック・スワン」
まだ読んでない人は人生を損してますよ。
(私の過去記事)
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=2318133
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