映画『レディ・プレイヤー1』を観て
公開日:
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最終更新日:2018/05/07
映画感想文 レディ・プレイヤー1, 映画
最近、VR機器「Oculus」の新製品が発売された。
価格は2万円代、もはやVR機器は手に取れる価格まで下がってきた。
アーリーアダプターたちは、VRChatというバーチャル世界で生きている。
ユーチューバーならぬ「Vチューバー」が人気を博している。
最近のハーバード・ビジネスレビューでマイケル・ポーターがこれからはVRの時代だと言っていた。
ガートナーのハイプサイクルによれば、VRは、過度な期待のピーク期、幻滅期を過ぎて、啓蒙活動期普及期に入っている。
このように、そろそろVRが爆発的に普及する前夜にいる気配を感じる。
その普及を後押しするかもしれない映画がやってきた。
スティーブン・スピルバーグ監督の「レディ・プレイヤー1」だ。
VRが浸透した近未来を舞台にした映画なんだが、どこか古臭い。
サイバーパンクなSF感はなく、80年代的なオールドスクールな映画だ。
普通こういう映画なら音楽は最新のEDMなのだろうが、全編80年代ポップスのヒットチューンが流れる。映画のオープニングがヴァン・ヘイレンの「JUMP」だなんて、感涙すぎる。
たくさんの映画、アニメ、ゲームへのオマージュが全編に溢れており、その頃少年だった40歳代のオッサンの私にとってはツボにハマって楽しかった。
AKIRAの金田のバイク、デロリアン、ガンダム。。。
そしてガンダムが「あれ」と戦うシーンは感涙ものだ。
他人事ながらこれだけのキャラの版権を抑えることができたのは、スピルバーグだからこそなんだろう。
僕が少年期を過ごした1980年代の娯楽映画界は、スティーブン・スピルバーグ全盛の時代だった。歴史的名作「E.T」、「インディージョーンズ」などの監督作品や、製作総指揮として数々の娯楽映画を製作した。
「レディ・プレイヤー1」は、監督としての超大作よりも、80年代に製作総指揮した作品「バック・トゥ・ザ・フーチャー」「グレムリン」「グーニーズ」「インナースペース」のようなどこかチープな感覚に近い。
あの頃から30年も経ち最新のVFXを駆使しているのに、わざわざその頃のチープな感覚、ベタなオールドスクールなスピルバーグ節を今に蘇らせている。
おかげで少年だった頃に戻ることができたけど、今の若い人にはどう捕らえられただろうか、ちょっと心配だ。
楽しいテーマパーク的な映画だけど、それだけではない。
スピルバーグらしく社会的な鋭い視線も随所に感じるが、それも説教くさくなく違和感なく溶け込めんでいる。
VRが浸透する社会、課金社会のデストピア感の恐怖をうまく表現しているし、Facebookが社会的インフラであることが試されてる現在にぴったりなテーマ「プラットフォーマーの社会的役割」も提示されているのだ。
この映画は80年代のノスタルジーばかりかもしれない。
でも、元ネタを知らない世代にとってはとても新鮮に違いない。
こうしたオマージュによってコンテンツが再生産され、新しい解釈を持って新しい世代に受け継げられていく。
90年代以降シリアスな社会派巨匠監督になったスピルバーグが、自身が生存中に娯楽映画でやりたかったこと全てをこの映画に込め、若世代へ挑発したんだと僕は勝手に捉える。
大人になれない大人のことを、ピーターパン症候群といってネガティブに言われる。
でも、71歳のスピルバーグが、未だに子供の心を忘れない映画を作ってくれて、それを40代のおっさんが感動している。
ピーターパン症候群でいいじゃないか。
最近僕は思う。
激動の不確実な時代、未来を読むヒントは、SF映画や漫画にあるのだと。
なぜなら映画や漫画を観た子供が大人になって映画の世界を現実のものにしようとするからだ。
だから、いつまでも自分の中の子供を大切にしよう。
子供の気持ちを持ち続けることの尊さを思い出させてくれて、ありがとう。
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