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『世界はひとつの教室』を読んで、激動の時代を生き抜くために必要な教育を考える

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20歳であろうが80歳であろうが、学ぶのをやめた人は老人である。

学びつづける人は、いつまでも若い。

人生で最も大切なのは、心を若く保つことである。

(ヘンリー・フォード)

 

 

MOOC( Massive Open Online Courses )が注目されてます。

インターネットにつながる環境さえあれば、地球上のどこにいても、高度な教育が受けることができるというアレです。

15歳のモンゴルの少年が米マサチューセッツ工科大学のオンライン講座でトップクラスの成績を修め、同大学に入学したり、オンラインの人工知能の講座で優秀な成績をおさめ、ダボス会議に招集されたパキスタンの13歳の女性など、世界中の頭脳が発掘されてます。

 

我が国では、創造性のある人間を育てることが急務だと言われ続けて、もう何十年もたちます。

ゆとり教育、AO入試、英語学習、いろんな教育方法の議論が続けられてきましたし、就活の時期を巡る論争など、永遠に同じことの無限ループが続くかのようです。

 

結局は、お上に任したところで良い解決策が浮かぶわけではありません。

そもそも、教室に同じ年齢の子供を詰め込み、時間を単位として、全員に同じカリキュラムを履修させるという18世紀のプロイセンを起源とするシステムが、今の時代に合わないだけのこと。

当時のプロイセンでは、この画期的な方法で、忠実で従順な市民を次々と生み出すことできました。

工場で働く労働者を大量に生み出すことができ、同じく戦場へ赴く兵士を大量に供給することができました。

 

「授業時間」という枠組みは、「絶え間ない中断により学習の自発性をそぐ」ために導入されたそうです。生徒たちに所定のカリキュラム以上のことを考えさせたり、異端の危険思想を話しあう時間を持たせたりしては断じてならない。チャイムが鳴ったら有無を言わさず会話や思考を中断させ、予定された次の回へ進ませる。

秩序が好奇心にまさり、規律が個人の主体性に優先する。

そういった帝国主義、産業革命の時代にはとても良いシステムでした。

我が国でも、明治維新から日露戦争までの富国強兵の時代および戦後の高度成長期には、とても有効に機能しました。

 

 

さて、2014年の現代です。

激動の時代を迎えてます。

グローバル化、IT化により、機械にできる仕事は機械に置き換わり、

今の全世界の小学生の65%は今はまだ存在しない仕事につくだろうと言われてます。

ホワイトカラーなんて絶滅してるだろうし、車は完全に自動運転になってるから運転手という仕事はなくなるだろうし、代理店といわれる中間業者のほとんどは淘汰されてるだろうし。。。

 

そんな時代に、子供に何を教えることができるのでしょうか。

数年後が予測できない世界で、過去の知識を暗記することは無意味とはいわないけど、ググればすぐに調べることができるので、教科書にあることを、ただ伝えるだけの教師は不要です。

そんなことよりも、いまの若者たちが10年後、20年後に何を知っていなければならないかが正確に予測できない以上、大切なのは何を教えるかではなく、新しい技術、知識に対して柔軟に即在に対応するために、学ぶ姿勢を身につけさせるかなのです。

そして、斬新なアイデアを着想し、実行できる、創造的で好奇心の強い、自立的に学びつづける人間にすることなのです。

 

そのヒントとなる本を読みました。

インターネットを活用した画期的な学習プログラム「カーンアカデミー」を起こしたサルマン・カーン氏の本「世界はひとつの教室」です。

 

 

 

数年前から「反転授業」という言葉をよく聞きます。

いままでは、学校で授業をきき、自宅で宿題するというのが普通でしたが、

「反転授業」とはその言葉どおり、従来の方法を反転する方法です。

自宅で授業を受け、学校で宿題をするというのが、反転授業です。

インターネットがあるから可能な仕組みです。 

 

教師の役割は、答えを教える人間ではなく、スポーツのコーチのような存在になります。

生徒の学習を手助けし、自主性、学ぶことの楽しさを引き出すのが教師の役割になります。

こうすることで、自分の興味のあることに、授業時間という枠に縛られることなく、学び続けることができ、創造的な人間を育てることができるそうです。

 

そうはいっても、カーンアカデミーの取組が科学的に実証されてるわけではないですが(カーンさんも認めてます)、教育というもののあり方に示唆にとんだ内容に目からウロコが出ることは間違いないでしょう。

これからの世界をサバイブするための教育、そのヒントがカーンアカデミーにはたくさん詰まっています。

 

 

最後にカーンさんの言葉で締めくくります。

理想の教室の姿がここにあります。

 

未来の学校は垣根のない「ひとつの教室」を中心にすべきだと私は思います。さまざまな年齢の子がいてかまいません。一方的な講義や画一的なカリキュラムに支配されることがなければ、それができない理由はありません。マイペース学習を基本モデルにすれば、年齢別に子どもをくくる必要はありませんし、ましてや能力別にクラス分けする理由などまったくありません。

 

1日1、2時間で基本的な学習内容をマスターでき、あとはチャイムに邪魔されることなく自由に発想を広げられる、そんな学校があれば、ほとんどの子どもは学習面でも感情面でも創造面でも大きく成長できるにちがいありません。

 

 

 

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