幸福途上国ニッポン 〜新しい国に生まれかわるための提言
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本
日本人は幸せなのだろうか?
GDPは世界3位。
犯罪は少ない。
人種差別もないし。
しかし、1958年から1人あたりのGDPは6倍増えているのに、国民の生活満足度はまったく変わってない。
あの高度成長は国民の幸せに直結していなかったのか?
お金で幸せは買えないのか?
そして、自殺者は年間3万人。
最近は就活を苦にした自殺も急増している。
これでも、日本人は幸せなのだろうか?
好き嫌いをする子供をさとす言葉。
「世界には、その日のご飯も食べれない人たちがたくさんいるのよ」
衣食住に恵まれ、生存の危険を気にしなくて良い日本人が不幸だなんて、たんなる贅沢に違いないのか?
今回ご紹介する本は、幸福とは何かを検証した本。
「幸福途上国ニッポン」
本書は、世界中の豊富な資料をもとに、「幸福とは何か」を徹底検証し、どうすれば、我々日本人が幸福になれるのかを提唱する。
まずは、幸福な国の条件を様々な角度から検証した結果、幸福さと相関関係があるものに「地域主権」と「寛容さ」があげられる。
住民が自分自身で納得できる地域を作れること。
すなわち、自らの意志が政治に反映されやすい国の市民は幸福である。
そして、寛容さについて。
社会的少数派であるLGBTが住みやすい国の幸福度は高い。
(Lesbian,Gay,Bisexual,Transgender)
幸福度の高い国のほとんどは同性婚を認めている。
それだけ寛容な国だということ。
もう1つ、寛容さを判断する指標、男女平等指数と幸福度は比例する。
これらの調査をみると、寛容さについては、日本はイスラム国家、アフリカなみの不寛容な国である。
さて、我々はどの国を目指すべきか?
幸福国家として有名なブータンか?
著者はブータンを幸福度の議論からは排除している。
かの国は、個人の自由を排除し、少数民族を弾圧してるという影があるからだ。
ラテンアメリカか?
貧乏で治安が悪く汚職まみれなのに、幸福度は高い。
みな自分を自由だと信じている。
これらはカトリックの影響が多いので日本人には参考にならない。
それよりも北西ヨーロッパを目指すべきだ。
そのためには、道州制などの地方分権をすすめることが重要だ。
そして、もっとも重要であることは、寛容であること。
少数派、社会的弱者をいかに同等に尊重するか。
そのためには、儒教の影響が色濃く残る集団主義ではいけない。
協調性を強いる事は異質な個人を寛容しないことだからだ。
寛容度と関係の深い「個人の自由度」
これも日本は世界最低レベル。
民主主義国家なのに、イランやサウジアラビア、エチオピアよりも低い。
日本人は法律上では多くの自由が保障されているのに、なぜ自由でないと感じるのか?
子供の頃から鎖に繋がれたゾウは、大人になり鎖を引きちぎる力はあるのに逃げようとしなくなる。
おりの中で電流をずっと浴び続けた犬は、脱走しようとしなくなる。
我々は、物心ついたときから、「常識」や「世間体」といった目に見えないものに常にさらされている。
空気を読まないと「KY」と言われる。
そんな環境にずっと身をおいていたら、自由はあるのに自ら放棄してしまうという「学習性無力感」に陥ってしまう。
そして、周りの皆がしてるからという理由で物事を判断したあげく、周りと同じリクルートスーツを着込み、挙げ句の果ては自殺者3万人。
Q:楽しい時間を過ごすことが重要ですか?
という質問に、「非常に重要」と回答した日本人は1.8%、これは世界51カ国中ダントツ少ない。
Q:新しいことを考え、クリエイティブなことは重要ですか?
という質問に、「非常に重要」と回答した日本人は5.6%、これは世界51カ国中50位。
これには唖然。
「人と同じでなければいけない」という空気のプレッシャーによって無力感が醸成されている。
さらに恐ろしいのは、日本人はメディアを盲目的に信じるという。
それも他国よりも圧倒的に。
情報源はテレビが多く、テレビのあの人が言ってたからという理由で盲目的に信じる。メディアによる情報操作がいとも簡単にできる国民だ。
これも、他人との軋轢をさけ、協調性を重んる国民性から、普段の家族、友人、同僚との雑談において、政治経済の議論をまったくしないことが起因する。
ここまでに述べた日本人の意識、すべて個人よりも集団が優先されるべきという考えが根底にあり、多様で個性的であることは許されない。それは個人の自由を否定するのと同じである。
日本人の気配りは素晴らしいといわれる。
しかしその裏で、どれだけの個性と人格が犠牲になっているか。
気を使うのではなく、自己主張しあうべきだ。
そのほうがお互いを分かり合えるし、親密な人間関係を築くことができる。
自己主張は個性につながる。
好き嫌いを主張すると「わがまま」といわれ、自分を殺して他人と同化することが大人の一員の証とされてしまう。
日本では、「大人になる」とは、自己表現をしない「無機質な人間になること」を意味している。
じゃあ、どうしたらよいのか?
まず自己を知ることだ。
自分が本当に好きなことは何かってこと。
お手軽ではなく、達成するのは困難を伴うが、それでも自分が情熱をそそげるような「好きなこと」を探すのが重要なのである。
そして、自分の頭で物事を考え、自己主張をする。
自己主張をすれば、違った価値観の人間と衝突する。
その多様性にふれることにより、多様な考えを受け入れることにつながり、寛容さを身につけることができる。
僕の大好きなスティーブ・ジョブズもこういってた。
Your time is limited, so don’t waste it living someone else’s life.
Don’t be trapped by dogma – which is living with the results of other people’s thinking.
Don’t let the noise of others’ opinions drown out your own inner voice.
And most important, have the courage to follow your heart and intuition.
They somehow already know what you truly want to become.
Everything else is secondary.
要は、他人の目を気にして生きるのではなく、自分の人生を歩むということ。
それが巡り巡って1人1人の幸福、強いては日本全体の幸福につながっていくに違いないから。
【参考図書】
「空気の研究」
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=3883023
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