会社に人生を預けるな
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本
「会社に人生を預けるな」という刺激的なタイトルですが、
副題の「リスク・リテラシーを磨く」ことが主題で、
その中の1つの事例として、会社に自分の人生全てを預けるのは、
とんでもないリスクをはらんでいるということを教えてくれます。
「卵を1つのカゴに盛るな」という分散投資の基本はよく知っているのに、
我々は自分のことになると、リスク分散をまったくしていない。
「会社に人生を預けていること」、さらに「国に人生を預けていること」で、
思考停止に陥っており、支配者層にとって都合のよい社会になっていることに
気付いていないのかもしれません。
さて、本著で私がマーカーを引いた箇所を抜粋。
・日本の停滞の最大の原因は「終身雇用制度」
・1つの会社に終身雇用制で雇われるということは、小作農、奴隷制に近いもの。
・日本の労働生産性はOECD30カ国中20位
日本人の労働者の9割は国内製造業やサービス業のような生産性の低い企業に勤務。
生産性が低いのは人間の能力の問題ではなく、競争要因や外部環境の問題。
ただ、いったんそうした環境に囚われると抜け出せなくなる。
囚われた中で少しでもいい生活をしようと過当競争を行い、長時間労働になり、
さらに生産性が落ちるという結果を招いている。
・終身雇用制がある限り、ワーク・ライフ・バランスは難しい。
終身雇用制がある限り、ワーク・ライフ・バランスが多少悪くても、
従業員がなかなか辞めない(あるいは辞めても次の仕事の条件が悪くなるので辞めにくい)
ので別に優遇してあげる必要がない。
・以下の調査から見ても、日本は不幸な国
なぜ、こんなにも不幸で、自殺率が高くて、さらに老人になればなるほど不幸なのか?
理由は「終身雇用を前提としているための働き過ぎ」
[世界の中の日本の順位]
幸福度 世界第90位(2006年)
自殺死亡率 世界第9位(2007年)
長時間労働者比率 圧倒的世界1位(2000年)
[年齢による幸福度の推移]
アメリカは高齢になるほど幸福度が上がるが、
日本は、高齢になるほど幸福度が下がる
→仕事以外の人間関係が希薄なため
・自分の人生を会社に預けたままできると、
個人のモラルと会社との間でどうしよう、となったとき、
会社の論理を優先しがちになる。
(かなり理不尽な会社の要求でも飲まざるを得なくなる)
・子供たちに十分な教育を受けさすためには、
終身雇用の枠組みから抜け出すことは、大変な勇気が必要
・日本人は、困ったことはお上が解決してくれ、何かのリスクが生じて困った時は、
「お上は何をやっているんだ」と怒るという発想に結びつく傾向にある。
これはとても問題のあるメンタリティ。
なぜなら、お上を叩くことによって、自分たちのリスク管理を回避しようとしても何も始まらないから。
・現在の日本は少数独裁制。(一部の階級、一部の家系に生まれた人だけが支配層に居続ける)
世襲の首相が続き、受けられる教育の幅が親の所得階層で決まっているような社会が、
はたして民主的といえるだろうか?
・高齢者の高齢者のための政治 (シルバー資本主義)
・政治家も高齢、投票に来るのも高齢 → 税金の使い方が高齢者向け
・企業内の意思決定層に「なぜこんなにも老人が多いのか?」
・歴代の首相のほとんどが世襲政治家で、企業マネジメントの経験がないのは問題。
・非正規雇用を生んだ原因は、本人たちの自己責任ではなく、
もともと過度な終身雇用制が続き、それに対する中高年労働者の保護がある。
長時間働いても幸福になれない現在の日本社会、
いったい何のために仕事をしているのか分からなくなります。
自分の人生は国や会社に依存するものではなく、自分でコントロールするものです。
この当たり前だけど実現するのが大変困難なことを、改めて気づかせてくれました。
以前私は「日本的終身雇用」は良い制度だと主張する本
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=2033078
も紹介しました。
いろいろな主張に触れることで視野を広げたいと思います。
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