TOAオフィシャル視察ツアー2019(その2:TOA)
公開日:
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最終更新日:2019/08/02
Tech, フィンテック, ブロックチェーン TOAオフィシャル視察ツアー2019
2019年7月2日(火)~7月5日(金)に、インフォバーンさん主催のTOAオフィシャル視察ツアー2019に参加してきました。
これは、第2のシリコンバレー、ブロックチェーンの聖地とも呼ばれるベルリンで開催されるTOA(Tech Open Air)というテクノロジーカンファレンスをメインとして、ベルリンのスタートアップ企業やイノベーション施設を視察するというものです。
スケジュール
7月2日(火):スタートアップ企業視察
7月3日(水)・7月4日(木):TOAへの参加
7月5日(金):イノベーション施設視察
その模様を備忘録メモとして綴ります。
前回のブログでは7月2日のスタートアップ企業視察の模様をお伝えしました。
今回は7月3日・4日のTOAの参加の模様をお伝えします。
TOAとは、毎夏ベルリンで開催される欧州で最も注目されるテック・カンファレンスです。200名ものスピーカーによる講演や展示、200ものサテライト・イベントなどに20,000人以上が世界中から集まります。
リストバンドで入場するなど、さながらロックフェスのようです。
展示の様子
日本からは、2社出展されていました。
パナソニック
グーグルと共同開発した子供用教育ガジェットpa!goを展示。
pa!goは、内蔵のカメラで撮影した写真をグーグルの機械学習ライブラリを使って、撮影した対象の名前などの情報をその場で教えてくれるガジェット。
ZeBRAND(フォントを手がけるモリサワの子会社)
スタートアップ向けのクールでイケてるウェブサイトを簡単に作れるサービスを展示してました。
プレゼンテーション
5箇所のステージで1日中プレゼンがおこなわれます。(全部で約200近くのプレゼン)
以下私が聴講したものを簡単に紹介します。
英語は堪能ではないのでその場で録音して、帰国してスピードを落として何度も聞いてまとめました。結構意訳してます。
(1)ブロックチェーン分野
How to Build Your Blockchain Startup and Gain Technological Autonomy /Min Teo(ConsenSys)
イーサリアムに特化したインキュベーター
・ブロックチェーンによる既存業界の Disrupt(破壊)は始まっている。
・ウォレットアプリ分野では、ペイパルがコインベースに、ストレージ分野では、ドロップボックスが、FilecoinにDisruptされそうである。
・一方で、ブロックチェーンの特許は、バンク・オブ・アメリカ、IBM、マスターカード、フィデリティなど大手企業がずらりと並ぶ。
・イギリスの著名なテクノロジー専門家のCarlota Perezによれば、ブロックチェーンはまだ黎明期。
A Conversation with Avid Larizadeh, Kobalt Music
Avid Larizadeh Duggan COO at Kobalt Music
デジタル専用音楽出版会社
・我が国ではJASRAQの著作料徴収方法や分配方法が問題になる中、マイクロ配信追跡技術によって、Spotifyなどのデジタル配信での正確なカウントとそのロイヤリティ徴収、アーティストへの公正な分配を実現
・グーグルも出資。ビルボードに30もの曲とアーティストをランクイン
・ブロックチェーン上でイギリスの有名シンガーのトークンも検討。音楽がブロックチェーン上で支払われ、アーチストの権利をスマートコントラクトで守る未来を提言。
Why Blockchain of Things (BoT) Is The Key for The Sharing Economy to Explode:
Szymon Fiedorowicz(Blockchain Cars)
・シェアリングエコノミーは今後も成長し続けるが、中央集権的であり、一部の強力な企業(Uber、AirBnB)の独占になる。
・スマートコントラクトとスマートキーをアクセストークン化を利用したP2Pトランザクションが助けになる可能性がある。
・ブロックチェーンにより、間に誰も介さず、個人間で直接自動車のシェアができる。
・スマートシティにブロックチェーンを挿入して、シェアリングエコノミーに対する信頼と効率を高めることができる。
Web 3.0 and the State of the Chain / Dr. Jutta Steiner(Parity Technologies)
分散型インターネットWeb3.0の実現を目指す
・今日のWeb 2.0は、情報の保存と配布を大企業に依存(中央集権)しているため、データの漏えい、行動の操作、監視などの問題を引き起こしている。
・それをネットワーキング技術の新しい波、別名Web 3.0(特にブロックチェーン)によって、インターネットをユーザーの手に戻す。
Blockchain Security: Pwning the “Silver Bullet” / Dr. Melanie Rieback(Radically Open Security)
世界初の非営利コンピュータセキュリティコンサルタント
・ブロックチェーンが過大評価されている現代に警告。
・ブロックチェーンは80年代から研究されてきた分野であり新しい技術でもない。
・分権化、オープンソースは素晴らしいことだが、必ずしもそれの解決方法がブロックチェーンではない。もちろん素晴らしいブロックチェーンのアプリケーションはたくさんある。
・ブロックチェーンは、1度入れてしまたら変更が不可能なのこと。バグがあった場合のプログラムの改変が困難なこと、リアルのデータとの紐付けをどう担保するか、GDPRを遵守できるのか?といったたくさんの問題を抱えていることは忘れてはいけない。
(2)Fintech分野
Culture is King: Scale-Up Edition /Andrius Biceika(Revolut)
イギリス発のデジタルバンキング企業銀行で、現在急成長中。家計簿、国際送金、カード、モバイル保険、医療保険、仮想通貨の交換など幅広く利用可能。
・スタートアップの企業文化は、NETFLIXのような特殊部隊的なものや、Appleやテスラのようにハードワークであること。残りの人生を捧げる気ですることが重要だ。
・我々は顧客や開発者のコミュニティを重視する。彼らに質問を投げると、サービスなどのフィードバックをすぐに得ることができる。
・重要なのは、顧客は誰かということ。スマートフォンを持つ40億人、中でもミレニアル世代、現代人の集中継続時間(8.25秒)を意識したUX、アプリはデザインが重要(シンプル、全てを1画面に)、キャッシュカードもデザインが重要.
Out-Engineering the Financial Services Industry / Fredrik Hedberg(Tink)
スウェーデンのモバイルバンキング、銀行とサービス提供者の間を取り持つ環境を構築する
・スウェーデン国内で地域によって住宅ローンの金利が大きく違うことを知ったのがキッカケで、銀行が色々な情報独占していることからサービスを思いつく。
・ヨーロッパ中の銀行につながり、銀行の情報を集約し開発者にAPIを提供。
・彼らのアプリ上でも複数口座管理、ローン金利比較が簡単にできる。
・外部企業(ファイナンシャルプランナーやコンサル会社など)もAPIを利用した事業ができる。
(3)モビリティ分野
A Conversation with Alex Zosel, Volocopter Alex Zosel(Volocopter), Linda Stannieder(Brandlab)
ドローン型空中タクシーの実用化を目指す企業。今年中にシンガポールで実証試験予定。
・シームレスに乗車できるユーザー体験、乗車場の快適なデザイン(通常のヘリコプターのように大げさではない)、空中タクシーを利用しない人に配慮した消音設計。
・規制当局との腰を据えた交渉も必要。どこの都市も興味はある。
・何千もの人間を使ったテスト飛行で自信を持っている。シンガポール、中東などのアジアは理解が早い。
A Conversation with Lukasz Gadowski, Circ
Lukasz Gadowski(Circ), Taavet Hinrikus(TransferWise)
シャアリング電動キックボードの会社。
・歩くには長く、タクシーを利用するには遠い、2、3キロの都市内移動をターゲット。
・都会では移動の70%は2、3キロ。かつてセグウェイを皆欲しがったがそれをシェアする。
・ベルリンやヨーロッパでは競合他者が多いが、この業界はまだ黎明期で、検索サービス黎明期のグーグル、SNS黎明期のFacebookを例えに出し、サステナブルな企業が生き残るし、競合がたくさんいた方が業界が伸びると主張。。
・ロンドンなど世界中でキックボードを禁止している都市がたくさんあるが、サステナブルを重視する流れでそのうち世界中の都市計画は変わるはずだ。その時はマイクロモビリティ専用の車線が世界中でできる。だから競合が多くても気にしない。将来爆発的な需要が見えているので今のうちに。
(4)その他
Letting Your Customer Be Your Guide / Tao Tao CO-FOUNDER & COO at GetYourGuide
ベルリンのユニコーン企業。世界各地のユニークなツアーや現地ガイドを検索・購入できるプラットフォーム、トラベルエクスペリエンス分野で世界最大手。ソフトバンクのファンドからも資金調達。
・友人が北京旅行で右往左往し、北京在住のスピーカーがガイドをした経験から創業。
・ホテル予約、チケット予約の分野は多いが、現地ツアーの情報は統合されてなく、急成長。
・旅行者のニーズは現地で発生することが多く、ニッチであるが巨大なマーケット。
Is the Kitchen Dead? /Dimitrios Ploutarchos(Keatz)
2016年創業、2019年に12mユーロレイズしたばかりのクラウドキッチン。デリバリー特化のフードサービスだが、自立型キッチンの設計を視野に入れてる点、デリバリー体験を追求している点が大きな特徴。15分以内のデリバリーが可能。デリバリー専門店だけを集めてアプリから注文できる。
・デリバリー市場は急激に成長する。2030年には今の10倍の市場規模。
・そしてこの世からレストランがなくなる。キッチンがなくなる。
・かつて服は家で作っていたが、現代は服は買うもの、服を作るのは趣味になったように、料理も趣味になる時代が来る。
・それは、ロボット調理、ドローンなどによる配達コスト低減、効率化により家庭で調理するよりデリバリーの方が安くなる。
・そして、価値観の変化。Z世代(現在24歳以下)は所有欲がなく、効率化を求める。キッチンは不要で、料理を作る時間が勿体無い。Z世代が中心になる頃は、家庭料理は一部の人の趣味になるだろう。
以上、駆け足でご紹介しました。
1日中、慣れない英語を集中して聞くのは凄く疲れました。
で、夜はパーティ
テクノロジーとクラブパーティは相性がいい気がします。
NT広島のナイトパーティGeekNightはこういうのを目指したつもり。
PS。公式アプリ
アプリがとても良くできており、イベントするときの参考になりました。
事前に登録した自分のプロフや興味あることに基づき、リコメンドが現れる。
たくさんあるセッションから自分のスケジュールを簡単に作れる。
Slidoと連携し、プレゼンテーションを見ながら、リアルタイムでその場でスピーカーに質問できる。(ステージの大画面に自分の質問が表示される)
PS.
全性別用のトイレには驚いた。
さすがダイバーシティが進んでる。
続く
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