ディア・ドクター
「ゆれる」の西川美和監督の最新作「ディア・ドクター」
高齢化社会における終末医療、僻地医療のあり方を考えさせられる。
やりきれない話だが、絶望感はない。
しかし解決策はない。
現実を我々に提示するだけ。
ある意味残酷な映画だ。
この映画では、悪い人間はいない。
でも悪い人間がいないからこそ、問題の根は深い。
前作「ゆれる」もそうだったが、映画の中では余計な説明はまったく無い。
絶妙な心理描写、セリフ、小道具により、説明の必要が無い。
観る者の想像力を喚起させる手腕は見事というほかない。
小説、ドキュメンタリーには出来ない、これぞ映画ならではの醍醐味だ。
(最近は説明の多い映画が多すぎる。登場人物やナレーターに説明させるのなら映画にする必要がない)
ただ1か所だけ、薬品の営業マンが刑事に事情聴取されるシーンは、わざとらしかった。
監督の本当に主張したかったことだろうから、つい説明的になったのだろう。
人を助ける行為は、愛ではない。
人間の当たり前の本能なのだということを・・・
西川美和監督は、我が郷里広島出身、まだ35歳。
これからのさらなる活躍に期待してます。
近い将来日本を代表する監督になるのではと思います。
映画と調和しているモアリズムのブルージーな音楽もいいですよ。
エンディング曲 「笑う花」
心に染み入ります。
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