クリステンセンの『イノベーションのDNA』を読んで「異能ベーション」になろう!
最近、総務省が和製ジョブズを育てるプロジェクト「異能ベーション」という冗談のような企画を発表して話題にあがりました。
詳しくはこちら。
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin03_02000087.html
独創的な人・事業を、総務省の受験エリートたちに分かるのかどうか、そもそも異能な人間は義務教育でつぶされているのではないか、ただ口のうまいヤツのふところに金が流れるだけなのではないかとひとごとながら心配するのですが、今後のなりゆきに期待せずに注目します。
「イノベーション」って言葉は、最近あまり言わなくなりましたが、ジョブズが流行ってたころは、本屋に行けば、イノベーションという単語が使われた本だらけ、自分を含めイノベーションとは無縁の人たちもイノベーションが大事だとかなんとか言い始めるし、エンジニアでもないのになぜか意識高い系のひとたちは、猫も杓子もイノベーションとか分かった気になって、イノベーションというより、そこらじゅうマスターベーションだらけだったような気がします。
さらに、増改築って言葉まで、いつの間にかリノベーションといったオサレな名前になったりしました。
そんなイノベーションですが、いったいぜんたい、どうしたらイノベーションを起こせるのか知りたいのは、世の常です。
そんなあなたに、この本をオススメします。
世界中のイノベータの資質を分析した
ハーバードビジネススクールのクリステンセン教授の
『イノベーションのDNA』
翔泳社
売り上げランキング: 22932
ご存知の通り、クリステンセン教授は、ビジネス書の名書中の名書『イノベーションのジレンマ』で、破壊的イノベーションについて考察され、全世界に衝撃を与えました。
ビジネス界は、平家物語でいう「盛者必衰のことわり」がずっとリピートされ続けています。
数年前は誰も注目してなかった企業が破壊的イノベーションで、盛者を絶滅の危機に追いやります。
iPodがウォークマンを滅ぼし、
iPhoneがガラケーを滅ぼし、
iTunesがCD業界を滅ぼし、
スターバックスが純喫茶を滅ぼし、
アマゾンが本屋を追いつめ、
SkypeやLINEが既存の通信会社を追いつめ。。。
こうしたイノベーションを起こす人間は、一握りの特別な人間だと思うので、総務省のような官僚なんかに発掘できるようなものでもないですし、マネしようにもマネはできないと思うのですが、どこか共通点はあるはずですし、少しは何かを得ることはできるような気がします。
クリステンセン教授は75カ国、500名以上のイノベータを調査、分析し、イノベータDNAと呼ぶ5つのスキルを発見しました。
1.関連づける力
「創造とは結びつけることだ」
「創造的な人は、どうやってそれをやったのか聞かれると、うしろめたい気持ちになる。実は何をやったわけではなく、ただ何かに目を留めただけなのだ。さまざまな経験を結びつけて、新しいものを生み出すことができたのだ」
(スティーブ・ジョブズ)
2.質問力
「答えは頭で考えるものではない。適切な質問を探すことによって、答えのベールをはぐのだ」
(ジョナス・ソーク博士、ポリオワクチンの最初の発見者)
3.観察力
4.ネットワーク力
「自分の所属する以外の集団と結びついてる人は、自然と価値あるアイデアを生み出し、傍目からは創造の才があると思われる。これは才能から生まれた創造性ではなく、いわば輸出入業としての創造性なのだ」
(社会学者ロン・バート)
5.実験力
「失敗などしていない。うまくいかないやり方を1万通り見つけただけだ」
(トーマス・エジソン)
「実験はイノベーションのカギだ。予想通りの結果は出ることはめったになく、多くを学べるから」
(ジェフ・ベゾス)
以上。
これらのスキルの中で、私が一番なるほどだなーって思ったのは、
「関連づけ」
ですね。
「関連づけ」とは能力でもなんでもなく、どれだけ多種多様な知識があって、多種多様な経験をしてるかどうかにかかってます。
人間は新しい経験をしたり、新しい知識を得ると、それまでの持っている知識と関連づけをはじめます。
だから、常日頃から多種多様な人に会って話をきいたり、多種多様な本を読んだりして新しい知識を脳にインプットすることが重要なのです。
他にも、海外経験や転職経験もイノベーションにかかせません。
海外生活を3ヶ月以上経験した人は、そうでない人に比べて、イノベーションをおこす可能性が高いし、同様に、勤めた産業や企業の数が多いほど、イノベーションの実績をあげている確率が高いという研究成果がでています。
これも、多種多様な経験をすることの重要性を物語っています。
つまり、同質な集団の間にいてもアイデアは生まれないってことです。
そして、新しいアイデアが生まれるのどういうシチュエーションなのでしょうか?
多くの起業家にインタビューした結果によると、
シャワータイム、散歩中など、
リラックスして考え事ができるときでした。
なかには、イルカと戯れてるときといった意見もありました。
決してオフィスや会議では生まれません。
それらを総合すると、
つまり、
創造的な仕事をしたければ、オフタイムが大事だということです。
休日を、昼まで寝てたり、ゴロゴロしてたり、テレビばかり見てたり、パチンコばかりしてたら、
創造的にはなれないのです。
いろいろな人間に会うこと、
新しい知識を仕入れること、
新しい体験をすること。
そうやって、創造性がDNAに刻み込まれるのです。
【参考図書】
イノベーションのジレンマ
スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション
ホンダ イノベーションの神髄
リバース・イノベーション
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