『After GAFA』を読んで
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ブロックチェーン, 本 After GAFA
私はロックという音楽が好きでずっと聴いてきた。
とはいえ、リアルタイムなのは1980年代からで、1960年代、1970年代のロックの歴史は後追いで追体験した。
1960年代後半、それまで人間を縛ってきた社会規範、社会体制から人間を解放するかのようにラブ&ピースの文化が生まれた。ロックはそれらを代弁し象徴でもあった。
ロックでは世界を変えることができなかったが、その魂は同じ西海岸のハッカーに受け継げられた。
ギターでは世界を変えることはできなかったが、ハッカーは世界を変えることができた。
パーソナルコンピュータ、インターネット、SNS・・・
それらは世界を変えた。
SNSはエジプトやチュニジアという国家を転覆させるほどの力を持った。
世界を変えるSNSの力に私も興奮した。
その興奮も束の間で、人間を解放するテクノロジーはビジネスや体制に取り込められ、今はGAFAと呼ばれるビッグブラザーが支配する世の中になってしまった。
そんななかで、ブロックチェーンが、新たなる希望として浮上してきた。
中央管理者がいない分散化した社会、真に個人が解放されるテクノロジーなのだと。
私は2019年夏にインフォバーン主催のドイツ・ベルリンのテックカンファレンスの視察ツアーに参加した。
そこでは、いたるところでGAFAの次の時代の話が盛り上がっていた。
GAFA帝国で支配された全世界の中で「新たなる希望」の話がたくさんあった。
ルーク・スカイウォーカーはブロックチェーンであり、サスティナブルな社会だ。
その主催者の小林弘人さんの『After GAFA』という本を読んだ。
GAFAなどの巨大テック企業によって中央集権化がすすんだ反動で、次はブロックチェーンにより分散化が進む。
行き過ぎた資本主義の反動で、個人やサスティナブルな社会に回帰する。
ということを、膨大な知見にて、これでもかこれでもかと教えてくれる。
濃い。
濃すぎる本だ。
小林さんの知見が、淀みなく、次から次へと湧いてくる。
数え切れないほどの、世界中のスタートアップ、テクノロジーの話が溢れてきて、刺激的だ。
こんなにたくさんのネタを出し惜しみせずに、もったいないと思うくらいだ。
スマートコントラクトに関する記述に結構ページを割いていて、次の主力テクノロジーであることが伝わってくる。
決してブロックチェーンは仮想通貨だけのことではない。
スマートコントラクトによって、中央集権から個人の時代になる未来がみえてくる。
豊富な知見は、地方創生にも話が及ぶ。
いや地方創生こそテクノロジーとは切っても切れない。
私の知人の広島県のAI・IoTを使ったレモン栽培の取り組みが掲載されていることには驚いた。
私の知人はGAFA後の世界線にちゃんと乗っているのだ。
個人的に迫力を感じたところが、温厚な小林さんの怒りを感じた箇所。
シリコンバレー詣でを行なう日本企業を「確たるロジックがない」と一刀両断する。
・会社の看板やその肩書をフル活用し、さまざまな分野の専門家たちと交友すべき
・もし本気でイノベーションに取り組むのなら、人的資源と組織を刷新したほうがいい
・いまの社会がどうなっているか。 現在活用できるテクノロジーには、どんなものがあるか。
この「社会」「テクノロジー」「自社の使命と価値」の三軸が交わる点を見つけない限り、企業の取り組みがほんとうの意味でイノベーティブになることはない。
サラリーマン社会の支配層に厳しい一方で、Z世代の若者たちには悲観はしていない。
昔だったら国家公務員や大企業のサラリーマンを目指すような若者が、今は地方移住を選んだり、起業や社会貢献を始めていることに希望をもって語られている。
最後に、
素晴らしい本は、結びの言葉も素晴らしい。
革命はたしかに起こりつつあるが、それは「転覆」する革命ではなく、「重ねる」革命だ。そして、あなたや私が知らないレイヤーで、それらはすでに始まっている。いずれ、それぞれの異なる活動は価値交換を始め、それらがつなぐ「価値のインターネット」が世界を変えていくだろう。
そのとき、 結合点(ノード) にいるのは、本書を読んだあなたかもしれない。
数年前のベストセラー『インターネットの次に来るもの』という本に、
「いまこそが、未来の人々が振り返って、「あの頃に生きて戻れれば!」と言うときなのだ」という箇所がある。
私たちは未来の人たちが羨ましがる素晴らしい時代の転換期に生きている。
「価値のインターネット」の結合点(ノード)になれるべく、After GAFAの時代を生きていこう。
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