映画「シン・ゴジラ」は「プロジェクトX」だった
「エヴァンゲリオン」の庵野 秀明が監督するという興味から「シン・ゴジラ」を観ました。
私はゴジラ映画をまともに見たことはなく、ゴジラに対しては、まったく思い入れはありません。
「エヴァンゲリオン」についても、新劇場版3作品と貞本義行の漫画を読んだことがある程度で、語るほどの深い思い入れはないです。
というスペックの私が見た「シン・ゴジラ」について、綴ります。
本作を観ながら、どこか既視感を感じると思っていたら、これってまさに、2000年代に一世を風靡したNHKのTV番組「プロジェクトX」ではないですか。
(プロジェクトX とは、戦後・高度成長期の日本で困難なプロジェクトに果敢に挑んだ人たちをドラマチックに描いたドキュメンタリー番組)
題名をつけるならば
「プロジェクトX 巨大生物ゴジラに挑んだ人間たち」
というのがふさわしい。
さて、本作ではこういったパニック映画にありがちな、お涙頂戴の家族の絆、恋愛などの人間ドラマを一切排除し、まさにプロジェクトXのように、全身全霊をかけ仕事に打ち込む人間たちを描きます。
想定外な事象(ゴジラという災害)に対して、日本政府はどう対処するのか?
刻一刻と状況が変わる中、日米安保なども絡み、見応えある政治ドラマ、課題解決ドラマが展開します。
オリジナルゴジラ(未見)は核廃絶のメッセージだったらしいですが、今回のゴジラは想定外の災害だった東日本大震災、福島原発のメタファーなのは間違いないでしょう。
東日本大震災では、日本国民全員が一致団結し、底力を見せました。
私が住んでる広島では2年前に大規模な土砂災害があり、私にとっても災害は決して他人事ではありません。
最近でも熊本の震災など、日本ではいつどこで何が起こってもおかしくないです。
だから、今回のゴジラは、ありえない設定にもかかわらず、ファンタジーではなく、自分の身の回りに起こってもおかしくないリアリティのある作品として、観る者の胸に突き迫ってきます。
というわけで、おそらく子供には面白くないと思います。
ゴジラが他の怪獣をやっつけるというような特撮アクションを期待したら、絶対に裏切られます。
すべての働く大人たちに、プロジェクトXのような熱量をあたえてくれる。
そんな映画です。
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