*

風立ちぬ

公開日: : 最終更新日:2019/02/14 イノベーション, 映画感想文

先日引退を表明された宮崎駿監督の
『風立ちぬ』を観ました。


素晴らしい。
心が優しくなる素敵な作品でした。
ベタなプラトニックなラブストーリーを絡めているのですが、
それがまったく嫌みにならず、43歳の私の胸をキュンとさせてくれました。
また、鑑賞中はアニメーションだということを意識させないリアル感に脱帽しました。

そして、この映画の一番訴えたかったことは、
イノベーションを起こす人たち、エンジニアたちへのリスペクトなのだと私は思います。
画面一杯、彼らへの愛情、尊敬の念があふれてました。
人類はイノベーションを起こす人たちによって、進歩しているのだと。

暴言かもしれませんが、
「職業に貴賤なし」という言葉は、ウソです。
私はそうは思いません。
職業には貴賤は存在します。

我々の生活をより豊かにするために、人類の叡智の限界に挑むエンジニアたちは、もっともっとリスペクトされる存在です。
少なくとも、マネーゲームに興じる経済界の人間、利権に群がる政治家どもよりは、しかるべきリスペクトとサラリーが与えられるべきです。
我が国では、高度成長期には、ソニー、ホンダなどエンジニアの時代でした。
彼らエンジニアたちは皆から賞賛されていました。
その風向きが変わったのが、バブル崩壊後、
思い浮かべるのが、青色ダイオードの中村修二さんの頃からのような気がします。

新しい価値を創造すること。
それこそが、人類の存在する意味であり、
それを忘れかけている我々に宮崎駿監督は、警告を与えてくれたのではないかと思います。

昨今、日本の電機メーカーは苦戦を強いられています。
技術力は素晴らしいのに、経営のマズさから、多くの日本のエンジニアたちはリストラされ、中国、韓国などに流出しています。
もう遅いかもしれませんが、エンジニアの復権こそが、日本復活のキーとなるのは間違いありません。
そう。
この映画は、そういった日本のエンジニアたちへのエールなのです。

一方で、この映画の主人公は、ゼロ戦という人を殺す道具を作り、たくさんの人間の命が犠牲になりました。
この映画に対する批判の多くは、そのことを糾弾しています。
しかし、これこそが、宮崎駿監督が一貫して主張されている
「テクノロジーと自然との調和という矛盾」
への問題提起なのだと思います。
人類の存在そのものが矛盾に満ちている存在なのです。
それでも、人類は前に向いて進まなければいけません。

人間と自然の調和の矛盾をついた作品「もののけ姫」で宮崎監督は
「生きろ!」
と私たちにメッセージを送りました。
それが、本作では
「生きねば!」
に変わりました。

矛盾に満ちた罪深い私たち人間ですが、
私たちは自然によって生かされてることを自覚することです。
「生きろ!」と単に生きるだけではなく、
生きるということは、私たちの意志とは無関係で絶対十分条件なこと、
つまり「生きねば!」ということなのだから、
生かされている短い人生をどう人類の発展に貢献できるかが、問われているのではないでしょうか?

ad

    この記事が気に入りましたら、ぜひTwitter、facebookボタンをお願いします。
    ブログを書くモチベーションになります。よろしくお願いします。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事が良かったらビットコインで寄付をお願いします。
ビットコイン投げ銭ウィジェット



関連記事

インビクタス-負けざる者たち-

  今から20年前の今日、1990年2月11日は、ネルソン・マンデラ氏(91

記事を読む

Free > Innovation 〜分解のすすめ第2回 「見て考えるべし 見てない人は妄想が多い」を見て

  2ヶ月も前の話になりますが、6月にこのオンラインセミナーを見た。   おそらく世界一多くのICT

記事を読む

映画『フランシス・ハ』を見て、夢に向かって走ることの素晴らしさを思う

      話題のオシャレ系映画『フランシス・ハ』を観た。   ニューヨークでダンサーを夢見る27

記事を読む

ミッション:インポッシブル / ゴースト・プロトコル

僕は高いところが苦手だ。 新婚旅行で、妻とエッフェル塔に昇ったとき、エレベーター内でビクビクして、妻

記事を読む

クリステンセンの『イノベーションのDNA』を読んで「異能ベーション」になろう!

  最近、総務省が和製ジョブズを育てるプロジェクト「異能ベーション」という冗談のような企

記事を読む

ad

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

ad

生成AIで作ったキャラクターをLive2Dで加工しUnityで動かす(まばたき、話す)

  ChatGPT(DALL-E3)で作ったキャラクターをもとに、Ch

24時間のトランジットならビザなしで中国に入国できる(上海浦東空港での体験)

中国での入国を伴うトランジットについて、私は事前にググりまくって情報を

『東京都同情塔』を読んで

ChatGPTを活用して作ったという芥川賞受賞作「東京都同情塔」を読了

『ボーはおそれている』を観て

    3月1日の映画の日はミッドサマーの監督の最新作を鑑賞(ミッド

生成AIを使ったテレビニュース風の動画の作り方(HeyGen + Canva)

  イベントの宣伝用にこんな動画を作りました。   誰でも簡単に作れ

→もっと見る

    • 1679478総閲覧数:
    • 0今日の閲覧数:
    • 151昨日の閲覧数:
    • 2現在オンライン中の人数:
    • 2014年4月29日カウント開始日:
PAGE TOP ↑