ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体
若者の車離れ
など
若者の●●離れと言われて久しい。
従来ならば、消費を牽引するはずの若年層が、近年消費をしなくなっており、かつてのような大量生産、テレビ広告をドバーンと流すようなマーケティングが通用しなくなっています。
で、本当にそうなのでしょうか?
イオン、ドンキホーテ、ヤマダ電機、LINE、ミニバン、ユニクロ、EXILE
これら好調な企業、ブランド、商品、歌手には共通点があります。
マイルドヤンキーとよばれる層に支持されていることです。
今回は、今話題の消費を牽引する層「マイルドヤンキー」を分析した本書を紹介します。
ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体 (幻冬舎新書) 原田 曜平幻冬舎 売り上げランキング : 283 |
ヤンキーとは、かつて80年代の漫画「ビーバップハイスクール」の登場人物のようなリーゼント、だぼだぼのズボン、ケンカ上等みたいな凶暴な肉食系な人たちのことをいいました。
しかし、90年代のチーマーを経たあと2000年代に入ると、だんだん草食化してきました。
それが、マイルドヤンキーと呼ばれるゆえんです。
本書で記載されているマイルドヤンキーの特徴を列挙しますと、
・上『京』志向がなく、地元で強固な人間関係と生活基盤を構築し、地元から出たがらない
・地元友達と駅前のファミレスやカラオケに行くことや、休日はイオンなどの大型ショッピングモールで一緒に買い物するのが好きといった、中学生時代と地続きの「居心地の良い」生活をキープしたい。
・決して郷土愛が強いわけではなく、単に「昔と変わらない生活」を望んでいるだけ。
・男女ともにEXILEが圧倒的に人気。女子は西野カナ、浜崎あゆみ。
・地元を出たがらないが、ディズニーランドは例外で、大好き。
・車は避けて通れない重要な消費対象の一ジャンル。
・車とは単なる移動手段ではなく、大事な地元の友達と親密な時間を過ごし、絆を育む空間であり、その意味では、自宅リビングの延長。
・そのため、走り屋系の車よりも多くの友達を乗せられる大型ミニバン志向。
キーワードは、「地元友達」
若者が消費しない一方で、マイルドヤンキーたちは消費意欲を持った「優良な若年消費者」であり、未来の日本経済は、「(マイルド)ヤンキー経済」が牽引していくだろう。
と本書では繰り返し力説します。
このように、本書は、高学歴の人たちが東京のオフィスで、サラリーマン層を相手にしていたマーケティングでは、ずっと見落とされてきたマイルドヤンキー層にスポットをあてた画期的な本であり、マーケッター必須の本だと思います。
と、ここまでは、マイルドヤンキー賛美でしたが、
果たして本当にそれでいいのだろうかという疑問が残ります。
日本が今のままの終わらない日常が続くのならいいのでしょうが、グローバル化が急速に進展するこの世の中では、あっという間に新興国の人間との競争になることは目に見えています。
マイルドヤンキーの増加は、欧米で既に進行している格差の広がりが日本でも進行中であるということの前兆ではないかということを、ハフィントンポストのこの記事が、うまくまとめています。
「マイルドヤンキー賞賛とその先にあるもの、、、」
http://www.huffingtonpost.jp/gen-shibayama/mild-yankee_b_5005067.html
マイルドヤンキーを消費の救世主として持ち上げる脳天気さでいいのだろうか。
日本もアメリカのように、中間層が崩壊し、超格差社会になっていく前兆なのかもしれないのに。
と一抹の不安が残ります。
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