*

映画『スリー・ビルボード』を観て

公開日: : 最終更新日:2018/02/06 映画感想文 , ,

 

 

池に石を投げると、波紋が広がるように、

行動を起こせば、何かが起こる。

誰かに会えば、何かが変わる。

 

 

 

 Resize image

 

 

 

映画「スリー・ビルボード」を観た。

 

「ノーカントリー」などの系譜を受け継ぐ、アメリカの暴力を描いた作品だ。

暴力シーンはほとんどないが、暴力的な映画だ。

 

娘をレイプで殺された母親が、進展しない警察の捜査に業を煮やし、道路沿いの3つの看板に警察署長を名指しで非難する広告を出した。

その3つの広告看板が、被害者の母親、皆から慕われる警察署長、人種差別主義者の警察官、3人の人生をちょっとずつ変化させる。

 

映画当初は、おそらくほとんどの観客は。被害者の母親に同情し、警察署長や人種差別主義者の警察官に嫌悪感を抱く。

しかし、物語が進むに従って、善と悪なんて、そんなに簡単に二元化できるものではないと、複雑な気持ちになって行く。

 

この世の中は、善人と悪人、被害者と加害者、簡単に二面性に分けることができるほど単純じゃない。

誰の中にも、いろいろな人間がいて、善き人もいるし、悪い人も内面にいる。

仏のような自分がいる一方で、クズな自分も内在している。

しかし、どんなクズであろうが、善き人になりたいと思っている(はずだ)。

 

このような複雑な人間の感情を、スリービルボード(3つの広告看板)を起点とし、3者3様の登場人物の内面の変化を、見事に描ききっている。

 

激情にかられるようなエモーショナルな映画ではないが、終始淡々とした中に、狂気と優しさが混ざり合い、不思議なことに人生の素晴らしさを感じさせる。

 

 

ラストシーンの、主人公と人種差別野郎のやりとりが、奇妙だけど、とても素敵だ。

 

 

久しぶりに、見ごたえのある人間ドラマを見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ad

    この記事が気に入りましたら、ぜひTwitter、facebookボタンをお願いします。
    ブログを書くモチベーションになります。よろしくお願いします。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事が良かったらビットコインで寄付をお願いします。
ビットコイン投げ銭ウィジェット



関連記事

ココ・アヴァン・シャネル

昨年はココ・シャネル生誕125周年ということで シャネル関係の映画が目白押し。 知っているだけで

記事を読む

Do the Right Thing とFight the Power

今日でロス暴動から20年。 ロス暴動で思い出すのがスパイク・リー監督の「Do The Right

記事を読む

パリが舞台の映画を観て、パリに祈る(パリが舞台のオススメ映画5選)

          今回のパリのテロは、世界中に衝撃を与えました。   私はパリには1回観光で行っ

記事を読む

「シン・ウルトラマン」を観て

  90年代・2000年代を席巻したタランティーノ監督の映画が好きだった。 その一方で、自分の

記事を読む

インセプション

デカプリオ、渡辺謙主演の 話題の映画「インセプション」観た。 いやー、ラストシーンがよかった。

記事を読む

ad

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

ad

生成AIで作ったキャラクターをLive2Dで加工しUnityで動かす(まばたき、話す)

  ChatGPT(DALL-E3)で作ったキャラクターをもとに、Ch

24時間のトランジットならビザなしで中国に入国できる(上海浦東空港での体験)

中国での入国を伴うトランジットについて、私は事前にググりまくって情報を

『東京都同情塔』を読んで

ChatGPTを活用して作ったという芥川賞受賞作「東京都同情塔」を読了

『ボーはおそれている』を観て

    3月1日の映画の日はミッドサマーの監督の最新作を鑑賞(ミッド

生成AIを使ったテレビニュース風の動画の作り方(HeyGen + Canva)

  イベントの宣伝用にこんな動画を作りました。   誰でも簡単に作れ

→もっと見る

    • 1679264総閲覧数:
    • 847今日の閲覧数:
    • 717昨日の閲覧数:
    • 3現在オンライン中の人数:
    • 2014年4月29日カウント開始日:
PAGE TOP ↑