映画『スリー・ビルボード』を観て
池に石を投げると、波紋が広がるように、
行動を起こせば、何かが起こる。
誰かに会えば、何かが変わる。

映画「スリー・ビルボード」を観た。
「ノーカントリー」などの系譜を受け継ぐ、アメリカの暴力を描いた作品だ。
暴力シーンはほとんどないが、暴力的な映画だ。
娘をレイプで殺された母親が、進展しない警察の捜査に業を煮やし、道路沿いの3つの看板に警察署長を名指しで非難する広告を出した。
その3つの広告看板が、被害者の母親、皆から慕われる警察署長、人種差別主義者の警察官、3人の人生をちょっとずつ変化させる。
映画当初は、おそらくほとんどの観客は。被害者の母親に同情し、警察署長や人種差別主義者の警察官に嫌悪感を抱く。
しかし、物語が進むに従って、善と悪なんて、そんなに簡単に二元化できるものではないと、複雑な気持ちになって行く。
この世の中は、善人と悪人、被害者と加害者、簡単に二面性に分けることができるほど単純じゃない。
誰の中にも、いろいろな人間がいて、善き人もいるし、悪い人も内面にいる。
仏のような自分がいる一方で、クズな自分も内在している。
しかし、どんなクズであろうが、善き人になりたいと思っている(はずだ)。
このような複雑な人間の感情を、スリービルボード(3つの広告看板)を起点とし、3者3様の登場人物の内面の変化を、見事に描ききっている。
激情にかられるようなエモーショナルな映画ではないが、終始淡々とした中に、狂気と優しさが混ざり合い、不思議なことに人生の素晴らしさを感じさせる。
ラストシーンの、主人公と人種差別野郎のやりとりが、奇妙だけど、とても素敵だ。
久しぶりに、見ごたえのある人間ドラマを見た。
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