映画『家族を想うとき』を観て
グロバリゼーションやテクノロジーは世界的な格差を狭めたが、
先進国と言われる国々の国内格差は広がったと言われる。
富むものは、より富を築き、
そうでない者は、貧困のスパイラルへと。
私は人並みの暮らしをしていて、ブラック企業などの実態、子供の貧困などを「大変だな」と思ってるけど、それは安全地帯から眺めているだけ。真に実感はない。
しかし、いつそれがどうなるか分からない。
人生100年、
死ぬまで働くライフシフト、
黒字でも40歳代以上は容赦無くリストラされる。
そんな時代。
49歳の私のような者が、仕事を失えば、
一気に転落する事は間違いない。
ブラック企業なんか辞めればいいじゃん。
生活保護受ければいいじゃん。
まだ消耗しているの?
若い頃勉強しなかったツケ・自業自得だろ。
と、いうようなことを
成功者と言われる人、インフルエンサーやその信奉者の意識高い系の人たちは簡単にいう。
成功している人たちは、もちろん努力はあるが、「たまたま」なケースも多いし、彼らのいうことは生存者バイアスだと思う。
家族のために、ブラック企業で働かざるをえない人たち、貧困に陥るギリギリのところで踏ん張っている人たちがたくさんいる。
そんな人たちに、安易なことは言えない。
ケン・ローチ監督の新作『家族を想うとき』を観た。

主人公は宅配業者、妻は訪問介護の仕事。
朝から晩まで働き、家族の時間がほとんど取れない。
子供は思春期で問題を起こすが、父親は仕事でそれどころでない。
家族の幸せのためにブラック宅配業で働いているのに、働けば働くほど家族はバラバラになっていく。
主人公の息子が「こんな社会どこかがおかしい」と言う。
そう、何かがおかしい。
ただ、もっとおかしいのが、日本かもしれない。
この映画の家族はブラック企業と言いながら、一応土日は休みだし、勤務時間はだいたい朝7時から夜9時までだ。
多くの日本人にとっては、普通の企業でも、これは珍しいことではない。むしろ当たり前。
ほとんどの日本人は世界的に見たら凄いブラック企業に勤めているけど、その自覚はあまりない。
日本は、ケンローチ監督の世界よりも酷いかもしれない。
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