アメリカ同時多発テロから20年目の日の雑感(関連書籍の紹介)
この写真は、1996年か97年に人生初の海外旅行で訪れたニューヨークのワールドトレードセンターの展望台からの景色です。
まさか、この写真を撮ったときに、数年後にここに飛行機が突っ込むなんて夢にも思わなかったです。
その数年後にデリバティブ・トレーダーのナシーム・ニコラス・タレブは911のことをブラック・スワンの一例としてあげました。
何千年もの間、白鳥はすべて白いというのが当たり前でしたが、黒い白鳥が発見され、今までの定説は完全に覆されてしまいました。
このように事前に予測できなかったにも関わらず、事後には予測が可能だったと後付けできるような大きな衝撃を与える異常な出来事のことをタレブは「ブラック・スワン」と名付けました。
正規分布のベル型カーブの中ではなく、そこからはずれた世界のほうがインパクトは大きくとても重要だということなのです。
「日常から一気に魔界へ・・・どういう事態が起こっているのか把握できず声も出ないか」(ディオ・ブランドー)
漫画『ジョジョの奇妙な冒険』第1部で、悪役ディオが新婚旅行中の幸福絶頂期にジョジョを襲い、その妻エリナに言ったセリフです。
七面鳥は感謝祭まではとても大事に扱われます。
七面鳥は「なんていい人たちなんだろう」って思っていますが、感謝祭当日に一気に魔界に落ちます。
我々も七面鳥のようにいつなんどき魔界に陥るのか分からないという世界の恐ろしさをまざまざと感じました。
アメリカ同時多発テロから20年が経ちました。
わたしは、身の回りの人がこれら一連のテロに巻き込まれたとかいうことは無いので、完全な傍観者です。なので、そもそも911についてコメントするような資格はないのですが、20年目の節目になぜか筆を進めていました。
911が起こったときは、私はまさに日常から一気に魔界に遭遇した状況で、非日常過ぎて脳が追いついていかなかったことを覚えてます。
私は、それまでは日本国内で自分の半径1キロメートルくらいの世界だけしか興味のなかった超ドメスティックな田舎者でした。そんな田舎者の私でさえ、いやおうなくグローバルに引き込まれた瞬間でもありました。
グロバリデーションを躍動感あふれる描写で的確に描いたトーマス・フリードマンの歴史的名書『フラット化する世界』では、911は重要な要素として描かれてます。
以下、『フラット化する世界』の内容を参考に、自分なりに意訳しつつ911を語ります。
言葉遊びのようですが、9月11日の月日を反対にした11月9日はベルリンの壁崩壊の日です。
ベルリンの壁が崩壊し、Windows95、Googleの登場と、世界中から多くの壁が取り壊されていき、世界中の多くの人間がフラット化する世界の恩恵を受け、前向きで豊かなイマジネーションが溢れ、世界は良い方向に進んでいました。
しかしながら、同じフラット化する世界の恩恵を受けていたはずの人たちが、その恩恵を破壊的なイマジネーションに利用し、911を境に一気に世界中に憎悪をぶちまけました。
同時多発テロの中心的人物ハリド・シェイク・モハメドは、優秀な起業家と変わりません。豊かなイマジネーションで同時多発テロを企画し、ベンチャー投資家であり優秀なサプライチェーン管理者であるビンラディンに売り込んだのです。
「イマジネーションは知識よりも大事である」
とアインシュタインは言いました。
われわれのイマジネーションは911ではなく119であるべきです。
ビンラディンもシリコンバレーにいれば世界を前向きに変えるイノベーションを起こしていたでしょう。
前向きなイマジネーションを現実に変えられるような環境を若者に与えることが重要なのです。
丘の上の豪邸に住んでいる人を見て、「父さん、いつかあいつを殺してやる」と思うのではなく、「父さん、僕もいつかああいう人になる」という子供に育てる事なのです。
あと、書籍ついでに911のことに触れてる書籍で思い出深いのが、
『災害ユートピア』という本です。
本書は一貫して人類は基本的に「利他」であり、極限な状況になるほど利他になると説きます。
同時多発テロの章では、自己を犠牲にして人種・宗教関係なく他人を助けようとする多くの名もなき人間の美しさが描かれています。
この本はマクドナルドで読んでたんですが、ハンバーガー食べながら涙がこぼれてしまった記憶があります。
そして、権威主義的で中央主権型の上意下達モデルは、ツインタワー激突を防ぐ事ができませんでしたが、市民単位で機能し力の分散した平等主義のモデル(ペンシルバニアで墜落した飛行機の乗客)はテロを阻止したというクダリに、今思うと、SNS、ブロックチェーンなどの分散化の時代を予見してたかのようで、その先見の明にあらためて唸ってるところです。
結局何がいいたいのか分からなくなってきましたが、911は私の純ドメな意識を否おうなくグローバルへ推し進め、それが今に続いているという大きな節目の日だったように思います。
あらためて、犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。
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