『フリー〈無料〉からお金を生み出す新戦略』を読んで
「ブラックスワン」以来、久しぶりにビジネスマインドを刺激させられる本を読んだ。
クリス・アンダーソンの
『 フリー 〈無料〉からお金を生み出す新戦略 』 だ。
企業の企画担当、マーケティング担当は、必ず読むべき。
「フリー」の概念を知らねば、これからの消費者の本質を理解することはできないからだ。
グーグル、YouTube、リナックス等、いまやビットの社会はフリー(無料)が当たり前だ。
RADIOHEAD や NINE INCH NAILS の例を見ても分かるように、音楽でさえフリーへと移行しつつある。
楽曲を無料にすることで、ファンを増やし、ライブやグッズ販売で儲ける戦略に変わってきている。
アーチストの作品を無料だなんて、と顔をしかめる人が多いけど、アーチストにとって大事なのは自分の音楽や作品をより多くの人に聴いてもらうこと。
フリーで困るのはレコード会社だけ。
ラジオの黎明期も同じ論争があった。
昔レコード会社はラジオ局から著作権使用料をとっていた。
無料でラジオ局に音楽をかけさせるなんてとんでもない、音楽業界を衰退させると思われたからだ。
しかし、アーチストからすれば、無料でもいいからたくさんの人に聴いてもらいたいのが本音だ。
そしてラジオ局から金を取るビジネスは崩壊した。
しかし、逆にファンの数は増え、音楽業界はより巨大な産業になっていった。
このように、サービスというものは、遅かれ早かれ、いつかは無料になる。
OSやウェブメールもそうだ。
リナックス Vs マイクロソフト・ウィンドウズ
ヤフー Vs グーグルG-Mail
フリーを利用して競争をしかける者が続々と現れる。
そして勝つのはいつもフリーだ。
フリーは業界に壊滅的打撃をあたえる。
グーグルだって、いつまでも安泰ではない。
かつて、ウィキペディアによって絶滅に追い込まれた百科事典業界の例もある。
そして、フリーというと、海賊版の問題を避けてとおれない。
本書では、海賊版・模造品が横行している中国こそがフリーの最先端だと論じる。
海賊版・模造品を根絶することは不可能だ。莫大なコストがかかる。
それよりも海賊版・模造品のメリットを認め、うまく付き合うことが大事だ。
音楽の不正コピーは、レコード会社から売上げを奪う一方で人気スターを生み、偽ブランド品は、コストなしでブランドを広める役割を果たしている。
偽者は市場を破壊するものでなく、市場を拡大するものなのだ。
屁理屈、詭弁といえようか?
本物の高級品を買うために中国の消費者が大挙して香港に押しかけるのは、中国全土に偽者があふれているからだ。
消費者はできれば本物を買いたいと切望している。
この10年で中国の1人あたりの国民所得は3倍以上になった。
本物を買いたいと切望していた人々が本物を買えるようになったのだ。
このように偽者が本物を助けているという考えは、ファッション業界では新しいものではない。
経済学でこの現象を、「海賊版のパラドックス」と呼ぶ。
これ以外にも、まだまだ興味深い話がたくさんあり、読み出したら止まらない。
巻末の付録に、フリーの戦術、ビジネスモデルが紹介されている。
また、コラムで実際のタダの事業の仕組みを紹介
(航空運賃、車、株式売買手数料、自転車貸し、大学授業料など)
しており、企業の企画担当、マーケティング担当にはとても参考になると思う。
さて、ここからは、私の感想。
フリーは世界を平和にすることができると思う。
YouTubeに流れるネコの動画がそれを示唆している。
なぜなら、YouTubeはフリーで、潤沢すぎるからネコの動画のようにどうでもいいものばかりがあふれている。
しかし、コストはほとんどかからない。
コストがかからないということは、何度でも挑戦し、何度でも失敗できるということだ。
世界中の人々が何度でも何度でも試行錯誤できるということだ。
何が言いたいかって?
世界中で、イノベーションが加速度的に起こるってこと。
そして貧困、温暖化問題は解決し、世界中に平和が訪れるかもしれない。
グラミン銀行のムハマド・ユヌス氏が言ってたように、貧困は貧困博物館に展示されるだろう。
こんな考えって、
楽観すぎるかな?
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