*

『フリー〈無料〉からお金を生み出す新戦略』を読んで

公開日: : 最終更新日:2017/01/22 , ,

 

「ブラックスワン」以来、久しぶりにビジネスマインドを刺激させられる本を読んだ。

クリス・アンダーソンの
『 フリー 〈無料〉からお金を生み出す新戦略 』 だ。
企業の企画担当、マーケティング担当は、必ず読むべき。
「フリー」の概念を知らねば、これからの消費者の本質を理解することはできないからだ。

 

グーグル、YouTube、リナックス等、いまやビットの社会はフリー(無料)が当たり前だ。
RADIOHEAD や NINE INCH NAILS の例を見ても分かるように、音楽でさえフリーへと移行しつつある。
楽曲を無料にすることで、ファンを増やし、ライブやグッズ販売で儲ける戦略に変わってきている。
アーチストの作品を無料だなんて、と顔をしかめる人が多いけど、アーチストにとって大事なのは自分の音楽や作品をより多くの人に聴いてもらうこと。
フリーで困るのはレコード会社だけ。
ラジオの黎明期も同じ論争があった。
昔レコード会社はラジオ局から著作権使用料をとっていた。
無料でラジオ局に音楽をかけさせるなんてとんでもない、音楽業界を衰退させると思われたからだ。
しかし、アーチストからすれば、無料でもいいからたくさんの人に聴いてもらいたいのが本音だ。
そしてラジオ局から金を取るビジネスは崩壊した。
しかし、逆にファンの数は増え、音楽業界はより巨大な産業になっていった。

 

このように、サービスというものは、遅かれ早かれ、いつかは無料になる。

OSやウェブメールもそうだ。

リナックス Vs マイクロソフト・ウィンドウズ
ヤフー Vs グーグルG-Mail

フリーを利用して競争をしかける者が続々と現れる。

そして勝つのはいつもフリーだ。
フリーは業界に壊滅的打撃をあたえる。
グーグルだって、いつまでも安泰ではない。
かつて、ウィキペディアによって絶滅に追い込まれた百科事典業界の例もある。

 

 

そして、フリーというと、海賊版の問題を避けてとおれない。
本書では、海賊版・模造品が横行している中国こそがフリーの最先端だと論じる。
海賊版・模造品を根絶することは不可能だ。莫大なコストがかかる。
それよりも海賊版・模造品のメリットを認め、うまく付き合うことが大事だ。
音楽の不正コピーは、レコード会社から売上げを奪う一方で人気スターを生み、偽ブランド品は、コストなしでブランドを広める役割を果たしている。
偽者は市場を破壊するものでなく、市場を拡大するものなのだ。
屁理屈、詭弁といえようか?
本物の高級品を買うために中国の消費者が大挙して香港に押しかけるのは、中国全土に偽者があふれているからだ。
消費者はできれば本物を買いたいと切望している。
この10年で中国の1人あたりの国民所得は3倍以上になった。
本物を買いたいと切望していた人々が本物を買えるようになったのだ。
このように偽者が本物を助けているという考えは、ファッション業界では新しいものではない。
経済学でこの現象を、「海賊版のパラドックス」と呼ぶ。

 

 

これ以外にも、まだまだ興味深い話がたくさんあり、読み出したら止まらない。
巻末の付録に、フリーの戦術、ビジネスモデルが紹介されている。
また、コラムで実際のタダの事業の仕組みを紹介
(航空運賃、車、株式売買手数料、自転車貸し、大学授業料など)
しており、企業の企画担当、マーケティング担当にはとても参考になると思う。

 

 

さて、ここからは、私の感想。
フリーは世界を平和にすることができると思う。
YouTubeに流れるネコの動画がそれを示唆している。
なぜなら、YouTubeはフリーで、潤沢すぎるからネコの動画のようにどうでもいいものばかりがあふれている。
しかし、コストはほとんどかからない。
コストがかからないということは、何度でも挑戦し、何度でも失敗できるということだ。
世界中の人々が何度でも何度でも試行錯誤できるということだ。

何が言いたいかって?

世界中で、イノベーションが加速度的に起こるってこと。
そして貧困、温暖化問題は解決し、世界中に平和が訪れるかもしれない。
グラミン銀行のムハマド・ユヌス氏が言ってたように、貧困は貧困博物館に展示されるだろう。

 

 

こんな考えって、
楽観すぎるかな?

 

 

 

 

ad

    この記事が気に入りましたら、ぜひTwitter、facebookボタンをお願いします。
    ブログを書くモチベーションになります。よろしくお願いします。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事が良かったらビットコインで寄付をお願いします。
ビットコイン投げ銭ウィジェット



関連記事

no image

竜馬がゆく (二)

大河ドラマ「龍馬伝」 今夜で第一部終了。 ついに、龍馬は脱藩しましたね。 そして吉田東洋が暗殺され

記事を読む

史上最大のボロ儲け

あのジョージ・ソロスを超えた! 1年間で150億ドル(個人では40億ドル)を稼いだ男 ジョン

記事を読む

no image

僕の死に方 エンディングダイアリー 500日

私は来月で43歳になります。 これまでの人生で一体何をしてきたんだろう。 精一杯生きてきたのだろうか

記事を読む

no image

冒険投資家ジム・ロジャーズ 世界バイク紀行

私は大学時代、中型のバイクで北海道一周をしたことがあります。 バイクはとても開放的で自由な乗り物で

記事を読む

怒らないこと

自分でいうのもなんですが、私は普段はとても温厚な性格の人間です。 しかし、ひとたびキレると自分でも

記事を読む

ad

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

ad

生成AIで作ったキャラクターをLive2Dで加工しUnityで動かす(まばたき、話す)

  ChatGPT(DALL-E3)で作ったキャラクターをもとに、Ch

24時間のトランジットならビザなしで中国に入国できる(上海浦東空港での体験)

中国での入国を伴うトランジットについて、私は事前にググりまくって情報を

『東京都同情塔』を読んで

ChatGPTを活用して作ったという芥川賞受賞作「東京都同情塔」を読了

『ボーはおそれている』を観て

    3月1日の映画の日はミッドサマーの監督の最新作を鑑賞(ミッド

生成AIを使ったテレビニュース風の動画の作り方(HeyGen + Canva)

  イベントの宣伝用にこんな動画を作りました。   誰でも簡単に作れ

→もっと見る

    • 1677560総閲覧数:
    • 44今日の閲覧数:
    • 223昨日の閲覧数:
    • 1現在オンライン中の人数:
    • 2014年4月29日カウント開始日:
PAGE TOP ↑