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竜馬がゆく (三)

公開日: : 最終更新日:2014/07/23 ,


大河ドラマ「龍馬伝」
脱藩し勝海舟と会ってからやっと面白くなってきましたね。
ある伝記作者がこの時期からの竜馬を「坂竜飛騰」(ばんりょうひとう)といった。
坂本竜馬という竜が、にわかに雲を得て騰がるという意味だそうです。
今回紹介する
司馬遼太郎「竜馬がゆく」の三巻では
勝海舟、おりょうさんと
竜馬の物語で一番重要な出会いが描かれてます。
(大河ドラマではまだおりょうさんと出会ってませんが)
さて、
「龍馬伝」では、ツルっと描かれた勝海舟との出会いシーンですが、
司馬遼太郎版では、とてもドラマチックな出会いになってます。
竜馬は千葉重太郎とともに勝海舟を斬りにいったが、勝海舟の話に感銘を受け、逆に弟子になっしまう。
というミイラ取りがミイラになったバージョンでした。
これは、フィクションらしいですが・・・・。

では、「竜馬がゆく」三巻 で印象に残ったシーンを抜粋。

■生麦事件について
日本の常識的な習慣を知っていれば避けれたはず。
ムチをあげれば逃げ回るのが東洋人という傲慢さが招いた自業自得な事件。
「かれらは日本の風習を知らずに傲慢にふるまった。当然自分がまねいた災難である」
(ヴァンリード、米国人)
■竜馬語録
「命は一つしかないとおもって尼さんが壺金でも抱いているように大事にしていたところで、人生の大事は成るか」
「世の中の人は何とも云えばいへ わがなすことはわれのみぞ知る」
(竜馬十代のころに作った歌)
「人生は一場の芝居だというが、芝居と違う点が、大きくある。
芝居の役者の場合は、舞台は他人が作ってくれる。
なまの人生は、自分で、自分のがらに適う舞台をこつこつ作って、そのうえで芝居をするのだ。
他人が舞台を作ってくれやせぬ」
「時流に同調することが正道ではない」
「世に生を得るは事を成すにあり」
「人の跡を慕ったり人の真似をしたりはすな。
釈迦も孔子も、みな先例のない独創の道をあるいた」
「人の一生というのは、たかが五十年そこそこである。
いったん志を抱けば、この志にむかって事が進捗するような手段のみをとり、いやしくも弱気を発してはいけない。
たとえその目的が成就できなくても、その目的の道中で死ぬべきだ。
生死は自然現象だからこれを計算に入れてはいけない」
「日本では政治というものは、一家一門の利益のためにやるものだということになっている。
アメリカでは、大統領が下駄屋の暮らしの役に立つような政治をする。
なぜかといえば、下駄屋どもが大統領を選ぶからだ。
おれはそういう日本をつくる」
■乙女ねえさん語録
「人の命は事を成すためにある。死を怖れては大事は成せぬ。
牛裂きに逢うて死するも磔にあうもまたは席上にて楽しく死するも、その死するにおいては異なることなし。
されば武士は英大なることを思うべし」
■勝海舟語録
「アメリカでは政府でも民間でも、およそ人の上に立つ者はみなその地位相応に利口でございます。
この点ばかりは、まったくわが国と反対のように思いまする」
(アメリカから帰国後将軍に謁見した際にある老中に言った言葉)
■西郷隆盛エピソード
薩摩と長州の宴席で、一触即発の空気になった際、
「オイの余興はこれでごわす」と
一物を取り出し、ローソクの灯で毛をジリジリと焼いた。
この余興のバカバカしさに、空気も静まった。

さて、今考えれば、攘夷ってバカじゃないのと思うかもしれませんが、
情報が何も無い時代だし、侵略されると思えば、攘夷派になるのは当然でしょう。
ベトナムにせよ、イラクにせよ、侵略されるのを黙って見たりはしない。
しかし、攘夷は、急速に幕末へと動かしたエネルギーだったし、攘夷という狂気があったからこそ、サムライは恐れられ植民地にはならなかった。どの国もサムライとの陸戦はしたくなかった。
と、ここまでは良かったが、
この狂信的な考えは、昭和になって無知な軍人の頭脳のなかで息を吹き返し、大東亜戦争を引き起こした。
大東亜戦争の狂気は本当に狂っていたが、幕末の狂気は日本が生き残るために必要な狂気だったんだと思う。
攘夷というイデオロギーのために無数の若者が犠牲になったが、その若者たちのたくさんの犠牲の上に明治維新を迎えられたのだ。

第1巻についてのブログ記事はこちら
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=2723800
第2巻についてのブログ記事はこちら
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=2822622

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