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これから「正義」の話をしよう

公開日: :


現在、来日中。
東大でも授業をした
渦中の人 マイケル・サンデル
その話題の書を読んだ。

暴走する路面電車、ブレーキがきかない。
前方に5人の作業員が線路上にいる。
待避線には1人の作業員がいる。
さあ、どうする?
「待避線に入れ!1人死ぬけど5人死ぬよりマシだ。」
本当にそれが正しいのか?

ここはアフガニスタン、あなたは米軍の偵察部隊。
タリバン指導者の捜索中だ。
そこにヤギ使いの親子に出くわした。
殺すべきか?
殺さないとタリバンに自分たちの存在がばれる可能性が高い。
「親子は解放しよう。道徳的に無実の人間は殺せない。」
本当にそれでいいのか?
その結果、数時間後タリバンに包囲され、味方の兵士16人死亡・・・。
(実話)

このように道徳とは何か?正義とは何か?
グイグイ引きこまれる。

大西洋を救命ボートで漂流中の4人。
もう食べるものはない。
1人は死にかけている。
死にかけの人間1人を殺し、3人で食し、生き延びた。
(実話)
それって正しいことなのか?
ここで、功利主義、ベンサムの最大幸福原理の話がでてくる。
ベンサムによれば、道徳の志向の原理は幸福、すなわち苦痛に対する快楽の割合を最大化することだと。
功利主義の考えでいうと、
1人の苦痛から3人の快楽を得たので功利主義的には正しいことになる。
じゃあ功利主義的にいうと、以下も正しいことになる。
マンハッタンに核爆弾をしかけたテロリストを捕まえた
爆弾のありかを吐かすため、そのテロリストを拷問する。
功利主義的には正しい。
だって、それによって何千万人もの人が助かるから。
じゃあ、テロリストの幼い娘を拷問するのはどうか?
功利主義的には正しい。
でも・・・。
このように、生半可な頭では、答えに窮する議論が盛りだくさん。
もうちょっと、ベンサム。
功利主義的には、人々の好みを平等に扱う。
モーツアルトもマドンナもシェークスピアもパチンコもエロ本も同じだと。
もし国民全員のパチンコから得られる快楽の総量が美術より多いのであれば、
美術館をつぶしてパチンコ屋をたくさん作るべきだと。
ベンサムならそう言いかねない。
しかし、同じ功利主義者のミルは、
「ある種の快楽はほかの快楽よりも望ましく価値が高い」と認めている。
われわれをより豊かな人間にしてくれると感じることも快楽なのだと。
おっと、
この本は功利主義の本では無いので、功利主義についてはここまで。

お次は、リバタリアリズム(自由至上主義)の議論を紹介。
リバタリアンは、人間の自由の名において、制約のない市場を支持し、政府規制に反対する。
リバタリアンの中心的主張は、どの人間も自由への基本的権利を有する。
それは、他人が同じことをする権利を尊重する限り、自らが所有するものを使って、自らが望むいかなることも行うことが許される権利だ。
具体的には、
オートバイのヘルメット着用は、いらんおせっかいだ。
成人が同意の上で売春するのも自由じゃないか。
同性愛から性的パートナーを選ぶ権利を取り上げる法律は不当だ。
富める者から貧しい者に分配するのために国が課税などで法的に強制するのはおかしい。
ここまでは、なんとなくわかるが、
本当の自由至上主義者ならば、以下の問いに賛成せざるをえない。
・自分の腎臓を売ること
・自殺ほう助
・合意による食人
自分の体を自分の望むことに使うから自由じゃないか・・・
でも、道徳的には・・・・・。
じゃあ、その道徳って何?
道徳については、カントが登場するのだが、
ここまでの話で、本書ではまだ3分の1。
まだまだ、難解な議論は続く。
詳しくは本書をご堪能あれ。

哲学って聞くと、とても難解で、とっつきにくいけど、
本書は、豊富な実例でとても分かりやすく、ぐいぐい引き込まれます。

改めて
道徳とは何か?
正義とは何か?
平等とは何か?
自由とは何か?
考えるキッカケになりました。

サンデルさんに、もっと早く出会いたかった。

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