リーン・スタートアップ
私はベンチャー企業の成功物語が好きだ。
スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツ、本田宗一郎、ジェフ・ベゾスなどなど
そこに述べられる物語の多くは、成功には、
アイデア、夢、情熱、才能、不屈の努力
が必要だと書かれている。
確かにベンチャー企業、とくにスタートアップにおいては、それが一番重要かのようにみえるが、それだとあまりも抽象的すぎるし、よく分からないけど、なんだか分かったような気になる。
ああ、自分には不可能だな、ということが。
みんなが、ジョブズやゲイツのような天賦の才を持ってるわけではない。
ベンチャー企業の経営は、才能とか偶然とかいう不確実なもので片付けるにはあまりにもリスキーすぎる。(だからベンチャーというのだけど)
そうはいっても、科学的な経営手法はないのか。
その回答の1つがこの本にあった。
この本では、トヨタ生産方式を源流とした「リーン生産方式」こそがベンチャー企業の経営に最適なのだと述べる。
名付けて
「リーン・スタートアップ」
私は恥ずかしながら、リーン生産方式について、知ってるようでよく知らない。
本書から引用すると、
リーン生産方式の具体的なやり方は
個々人が持つ個人的な知識や創造性の活用、バッチサイズの縮小、ジャストインタイムの製造、在庫管理、サイクルタイムの短縮などがあげられる。
たとえばバッチサイズの縮小についてだが、
100枚の手紙を2人で封筒につめる作業を例にするとよく分かる。
これには2通りの方法がある。
100枚の手紙を折る人と宛名シールを貼る人にわけ、最後にまとめて封入する方法と、
2人とも1枚1枚1人が手紙を折って宛名シールを貼って封入するという方法
どっちが、早く作業が終わるだろうか?
私もそうだったが、この質問には多くの人が間違える。
早く作業が終わるのは、後者なのだ。
それに前者では途中での大幅な変更は困難だが、後者では柔軟に対応できる。
重大な問題があっても後者の方が痛手は少ない。
このように、いかにバッチサイズを縮小するかがリーン方式では求められる。
足りない部品はまとめて大量に発注するのではなく、究極的には1つ足りなくなれば、1つ注文する。
そうすれば在庫も極小化できるし、変更もしやすい。
企業経営も同じ。
トヨタのような大企業も、生まれたばかりのスタートアップも同じなのだ。
とくに、スタートアップ企業は、今までこの世にないサービスや製品を世に出すのだから、顧客に受け入れられるかどうかは不確実だ。
だから、マーケット分析や製品開発に時間をかけてしまうが、逆に時間をかけ過ぎてはいけない。
パワポで凝った資料なんか作るのはもってのほか。
サービスや製品がある程度完成したらすぐに世に出すことだ。
この製品のことをMVP(Minimum Viable Product / 実用最小限の製品)と呼ぶ。
MVPを世に出して、市場の反応をみながら、迅速に改良していくことだ。
時間を費やし過ぎて作り込んだにも関わらず、まったく市場に受け入れられないものになると、その間の時間、開発費がムダになるし、脆弱な資本のスタートアップにとっては致命傷になってしまう。
それよりもMVPで早く失敗を学び、市場のニーズを組む方がよい。
1つ1つのバッチサイズを小さくし、市場から失敗を学び続け、改良を続けて行く。
それが、リーン・スタートアップの基本的な考え方なのだ。
その他
スタートアップに適した会計、評価方法、
ピボットと呼ばれる方向転換手法
大企業の社内スタートアップが「イノベーションのジレンマ」に陥らない方法
などなど、本書からは学びが多く、書ききれない。
起業とは、一握りの天才、もしくは偶然を味方にした者が、成し遂げるものではない。
だれもが起業に成功できる可能性があるのだと本書は教えてくれる。
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