「最後の社会主義国」日本の苦闘
今日は、「最後の社会主義国 日本の苦闘」を紹介します。
原題は、RACE FOR EXITS (直訳すると出口への殺到)
社会主義国家である日本は、
建設業、電力会社、農業、銀行などの非効率な産業を保護するために、海外競争力のある製造業に大きな負担を与えてきた。
法人税しかり、社会保障しかり。
また、終身雇用制度というセーフティネットにより、女性を専業主婦として家庭に縛り、
育児、介護などの福祉も無料で女性に負担させてきた。
つまり、今までの日本は、非効率な産業の保護 および、終身雇用制度というセーフティネットから生まれた専業主婦の活用により、政府の莫大な支出なしに、社会保障の有効な安全ネットを作り上げた世界でも驚嘆すべき社会主義国家だった。
そうはいっても、犠牲になっている2つのグループ
「女性」 と 「企業」
は、このシステムに対して、声をあげ、政治的な対応をとらなかったのだろうか?
これが本書の重要なテーマである。
その答えは、問題に立ち向かうより、逃げる方が簡単だからなのだ。
そう、問題から退出(EXIT)する術を、女性と企業は持っているのだ。
そういった「退出」の力学から、日本の抱えている問題を分析している点が、本書の興味深い点である。
企業は海外へ「退出」し、
女性は仕事をあきらめるか、結婚・子どもをあきらめるかという選択で「退出」することができるので、
わざわざ政治運動をする必要がない。
声を上げないものだから、声の大きい既得権益者の都合のよい社会になるという悪循環が続く。
このままでは、
優良企業の資本・技術が海外へ逃避し、少子化・労働力減少により、国力は衰えていくばかり。
今はゆるやかな退出だが、そのうち題名通り出口へ殺到(RACE FOR EXITS)するだろう。
そうならないためにも、生産性を向上させ、女性と移民の労働力人口への加入を奨励し、仕事と家庭を両立させて、より多くの子どもの持てる家庭をつくるといった基本的な社会改革、経済改革が必要だと本書は訴えている。
国民はいつまでも我慢強くはないです。
何かをきっかけに、出口への殺到は止まらなくなるでしょう。
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