『すずめの戸締まり』を観て
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映画感想文
サッカーW杯でブラジルが負けたのは「猫の呪い」という人がいる。
https://karapaia.com/archives/52318479.html
そんなわけないと笑うけど、
自分のふとした何かがトリガーで厄災が起こったと感じたことはないだろうか。
思春期のころ、もしかしたら実は自分の行動が世界を左右していると思ったことはなかっただろうか。
新海誠監督の「君の名は。」「天気の子」はまさにそんな作品だった。
日本の命運は、思春期の男女に委ねらている「セカイ系」と言われる世界観。
我々にとって災害は身近にあり、「君の名は。」「天気の子」は、被災者の感情を逆撫でにしないギリギリのところをついていた。
災害をテーマに扱っていたが、どこか別の世界線、マルチバースの話ということで逃げることもできた。
それが、最新作の『すずめの戸締り』では、「東日本大震災」をまったく隠すことなく、作品のど真ん中に置いてきた。
震災を舞台とした娯楽作品に顔をしかめる人もいて、賛否両論はある。
ただ、「君の名は。」「天気の子」の大ヒットおよび、丁寧に災害を描いた実績があったからできた映画といえる。
「新海監督だから、いいか」的な。
とはいえ、東日本大震災をストレートに登場させたが、前2作に比べて雰囲気は明るい。
「君の名は。」の2人は幸福な再会を果たしたけど過去の記憶がなくなっていたのが儚く、完全なハッピーエンドとは言い難い。
「天気の子」の2人の幸福は大勢の人間の犠牲のもとにあるもので、どこかモヤモヤ感が残った。
今回は、現実世界と繋がっている話だからか、過去を乗り越せて未来に向かう希望の話となっている。
軽快に始まる物語は、神戸、東京ときて、最終目的地が宮城と分かった瞬間の重さ。
主人公は、ある条件のときに土地の記憶を見ることができる。
311の日の東北の土地にある記憶。
無数の「行ってきます。」
最後に交わした言葉が「行ってきます」「行ってらっしゃい」になる可能性があるということは当たり前のことなんだけど、
「行ってきます」「おかえりなさい」が当たり前に言えることの奇跡を思う。
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