『イニシェリン島の精霊』を観て
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映画感想文
2月の観た映画を今更ながらブログに書く。
「イニシェリン島の精霊」
オッサン2人のちょっとしたケンカがエスカレートしていくというどうでもいい話なのに、無駄に雄大な自然の映像美、無駄に素晴らしい音楽、無駄に素晴らしい演技が逆に物語を引き立てる。
国内が内戦なのに人ごとで、ど田舎の狭い世界の中のちょっとしたキッカケの隣人争いがエスカレートしていく。はたから見たら理解できないし、バカだと思うけど、世界中のど田舎が抱える問題を描写してるように感じる。
多分最初はエイプリルフールのちょっとしたイタズラだったかもしれない。でも音楽という意識高いことに目覚めてしまって、戻ることができなくなった。終わりのない永遠よりも意識高いことを選んでしまった。
孤独な老人がネトウヨになるのもこんなものなのかもしれない。
老後を自然豊かな田舎で過ごしたいって思うときある。たしかに穏やかなんだけど、世情に興味を無くし、終わりない日常、死ぬまでの暇つぶしになってしまうかもしれない。
それよりも僕は内戦のど真ん中だけど本土に渡った主人公の妹の人生の方がいい。
チェンソーマンの「都会のネズミと田舎のネズミどっちがいい」問題の解答がここにある。
タイプは違うけど、ラース・フォン・トリアの「ドッグヴィル」、オリバー・ストーンの「Uターン」といったド田舎の閉塞感を描いた映画を思い出した。
タイトルの妖精ってなんだろう。
ときおり異様な雰囲気をみせるお婆さんが妖精なのかもしれない。妖精の囁きによって、今まで上手くいってたことに、ちょっとした亀裂が入る。
オッサン2人の小学生みたいなくだらない喧嘩をよくもまあここまで魅せる映画にした監督に拍手。
予備知識まったく無くて観た。映画を観たあとに「スリー・ビルボード」の監督ときいていろいろ納得。
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