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災害ボランティアの心構え

公開日: : 最終更新日:2014/08/16 ボランティア, ,

先日、宮城県東松島市へボランティアに行ってきました。
ボランティア初体験なので、すごく不安でした。
僕みたいな初心者が行っても良いものだろうか?
今回はその不安を解消させてくれた本をご紹介します。
ボランティアに行こうかどうか悩んでる人は是非一読をすすめます。
いや、ボランティアに興味ないという方にもお薦めします。
ボランティアという範囲を超えて、組織論、人生論というところまで考えさせられる内容です。


さて、
311直後、私も何かできることはないかと思ってたけど、当時は
「大勢のボランティアが行くと、被災地が混乱する」
「初心者が行っても逆に迷惑にある」
といった言説が多数をしめてたので、募金くらいしかしなかった。
でも、この本によれば、
混乱するのは行政が混乱するだけで、
人手はいくらあっても足りないのが被災地の現状。
それに阪神大震災では初心者ボランティアが7割。
阪神大震災で、生き残った人たちが、倒壊家屋の下敷きになった人を助けた数は27000人以上、
これは自衛隊や消防や警察が助けた8000人よりも多い。
この数字からも民間人の力を過少評価してはいけない。
でも、「何かあったらいけない」ので、行政はボランティアを管理するようになる。
だから、たくさん来ると困る。管理することが多くなるから。
現地での活動規範をマニュアル化して、ボランティアに守らせないといけないという考えになってしまう。
なんか、変な話。
これって官僚化した企業にも通じるものがあると思う。
そもそもボランティアは、自分の意志で行くのだから、何を管理する必要がある?
迷惑行為をするヤツがいるから管理する?
たしかに、たくさん人がおれば、迷惑行為をかけるヤツも100人中1人や2人もいるだろう。
でも、それって注意すればいいだけの話。
一部のバカ者のせいで、来るなというのだろうか?
それにマニュアル化してハードルを高くしてどうするのだろう?

関西学院大学室崎教授いわく
「ボランティアは押しかけていい。迷惑をかけてもいい。迷惑をかけた分の何倍もいいことをしてくればいい。
 来てくれただけで、本当に喜ばれるのだから。」

「ビジョナリー・カンパニー2」
という本を思い出した。
ビジョナリーカンパニーをつくるために大事なのは、バス(企業のことをバスにたとえている)に乗せる人。
あとは勝手にその人たちがうまくやってくれる。
だから、適切な人をバスに乗せれば、管理する必要はまったくない。
つまり管理職なんかいらない。
でも、不適切な人をバスに乗せたら、管理する必要が出てくる。
管理することが目的となり、なんのために存在してる組織なのかわからなくなる。
ボランティアは、ビジネスマンと変わりない。
現場のナマの声をきいて、各自が自分のできること、自分の得意分野で、創意工夫するのがボランティア。
ビジネスマンも同じだ。

足湯のボランティアの例。
足湯では、被災者の方々も心がほっとするので、ニーズや本音を聞くことができる。
そのニーズをひとつひとつ拾い上げ、各人が自分の頭で考える。
先日参加したボランティアで知り合った方がまさに、
福島で「聴くボランティア」もされていて、
そういった、お話を聴くということもとても大事なことなんだなと思った。

ボランティアツアーについても言及してる。
旅行気分で来るのはいかがなものかと批判するのは間違っている。
ボランティアは現地の旅館やホテルにお金を落としてくれる。
そして復興をなしとげたあと、観光客として戻ってくるはず。
まさに私がそうなると思う。
いつの日か私も観光で東松島町に訪れるつもりだ。

初心者は迷惑か?
いや、
阪神大震災のときのボランティアの6~7割は初心者で、さらにその7割は若者だった。
でも、被災者から「ボランティアによって混乱した」とか「迷惑だった」なんて意見は聞いたことがないとのこと。
だから、初心者が言っても迷惑だなんて思わなくてもいい。
行きたいと思ったら、後先考えずに行くべきだ。
これって、仕事にも、人生にも通じると思う。

著者いわくボランティアの心得は以下の2点だけ
・命は大切にしましょう
・自分でよく考えて行動しましょう
それだけ。
ボランティアマニュアルという「べからず集」でボランティアをしばることは、
災害時になんとか被災者を助けたいと思って駆けつけてくれる人たちを信用しないことだ。
ボランティアをマニュアルで縛ろうとする人たちは、ボランティアは被災地で問題を起こすものだとい前提にたっており、
「べからず集」を作ることによって、自分たちの責任を回避しているようなもの。
マニュアル化すれば、人間は思考しなくなる。

以上、本書は。ボランティアについての本だけど、組織についても考えさせられた。
ボランティアのように1人1人が自立的に行動するような分散型の組織が、これからの時代の主流になっていくんじゃないかと、私の皮膚感覚ではそう感じる。
官僚的な組織、社会は時代に合わせた臨機応変な対応がとれない。
これからは、ますますそれが加速する。
1人1人が自立的に動く分散的な組織こそが必要とされている。
そうすれば、ビジョナリーカンパニーになれる。
究極的には、管理する必要のない組織、管理職が不要の組織。
それが理想だと僕は思う。

最後に
あとがきより
ボランティアの第一歩をそんなに難しく考えることはない。
「ボランティアって、誰でもできるんだ!」と、まずは気軽に飛び込もう!
そして、本書で何度も登場するキーワード
「ボランティアは何でもありや!」
非常時に行政がやることの隙間を埋めるのがボランティア。
ボランティアは「十人十色」「多様多彩」であるべきで、
自発性・独立性・創造性を併せもつ存在なのだ。
だれにでも、他人が持ってないと何かを持っている。
それが役立つことに気がつかないだけだ。

(参考)
ビジョナリー・カンパニー2
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=2353582

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Comment

  1. kenfabio より:

    はじめまして。
    面白く読ませていただきました。
    私も先日、石巻の先のほうまでボランティアに行ってまいりまして、なかなか得がたい経験をしたと思います。自分的な教訓としては、頭でっかちはだめで、先入観を持たず、現地で見たこと聞いたことを素直に受け入れ、そこから感じたり考えたりしたことを自分の言葉で組み立て、これからの行動の指針にしていくことが大事だと思いました。

  2. Tatsuya1970 より:

    Kenfabioさん、コメントありがとうございます。
    まさに「百聞は一見にしかず」ですね。
    震災のことが人ごとではなくなりました。
    今まで以上にまして1日1日を大切に生きることを心がけるようになりました。

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