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ホンダ イノベーションの神髄

公開日: : 最終更新日:2022/02/27 イノベーション, ,

いまや古い考え方かもしれませんが、マーケティングのイロハのイに
3C という概念があります。
・Customer (顧客)
・Competitor (競合)
・Company (自社)

私が以前、勤務先の本部でマーケティングもどきなことをしてたときは、必ず、上司、経営層は、
「競合他社はどうなってる?」
ってことを気にされてました。
だから、競合他社との比較をプレゼン資料に詳しく記載し、他社では◯◯なので、我が社は◯◯を重点に。。。
などと説明して、上司、経営層を安心させるわけです。
業界の集まりとかで競合他社の本部社員と名刺交換して仲良くなったり、競合他社のプレスリリースや、新聞を目を皿にして競合他社情報にアンテナを高くはる必要があります。(こんなのを高いアンテナっていうのか?)
まあ、どこの企業でもよくあることかもしれません。

でも、こんなことをホンダで言おうものには、
「他社の話なんて聞きたくない。なぜ自分たちはこうなりたいと、絶対価値を言えないのか」
と激怒されることでしょう。
さらに、もっと驚いたのが、激怒したのは専務なんですけど、
そのことを直属の上司に報告すると、
「なんで、専務とケンカしない。本気でやる気があるのか」
と激怒された。
というようなエピソードから始まる
「ホンダ イノベーションの神髄」
を読みました。

天才でない普通の人がイノベーションを達成するにはどうしたらよいか。
16年の開発期間を経て日本初のエアバッグの商品化を成功させた元ホンダ経営企画部長の小林三郎さんが、ホンダのイノベーションを生み出す仕組みをあますことなく伝えてくれます。
それにしても、16年間もの歳月をかけたという点に脱帽します。
思うように成果が出ず、社内からお荷物と揶揄されることもあり、途中何度も開発中止の瀬戸際に追い込まれながらも、エアバッグの「絶対価値」を主張し、経営層、取引先の信頼の糸を切らずに続けて行く執念、信念に驚嘆しました。
ギリギリのところで、社内外の信頼を続けられたのも、
ホンダの哲学が、社長から末端の社員まで浸透しているからこそなんでしょう。
短期利益を追求するその辺の普通の会社では絶対にありえないことでしょう。

そうはいっても、
イノベーションがないと企業が衰退することは、みんななんとなく分かってます。
だから、イノベーションを起こせと経営層から号令がかかり、スマートフォン対応洗濯機などという奇妙奇天烈な製品を作ったりするのですが、イノベーションはなかなか起こりません。
理由はたくさん考えられますが、
まず1点
経験値の高い人間がイノベーションを評価しているからというにがあげられます。
過去の成功体験のあるエクスパートにはイノベーティブな製品は分かりません。

「今起きていることは、若い人にしか分からない。年寄りは過去の知識と経験が豊富なので、素直に正面から受け取れないのだ」
(本田宗一郎)

もう1点
オペレーションの得意な人間が、イノベーションを評価しているから。
企業の業務のほとんどはオペレーション業務。
オペレーション業務というのは成果が目に見えやすいが、イノベーションは成果がみえない。
イノベーションに短期的成果を求めると、イノベーションは止まり、企業の衰退が始まってしまいます。
MBAホルダーなどのホワイトカラーのようにオペレーション業務が得意な人間は、論理的な解を求めます。
そもそもイノベーションに正解などなく、むしろみんなが反対するものの中にダイアモンドが隠されているので、どうしたらよいか分からないとうのが、どの企業にも起こってる悩み。

では、どうしたらよいのでしょうか?
著者は「イノベーション・マネジメント」を提案します。
40歳過ぎた分別のある人は自分でイノベーションをやろうとしてはいけません。
若い人に考えさせることです。
そうはいっても、若い人は知識と経験が少ないので、提案のほとんどは役に立ちません。
技術の価値や実現可能性を見極めるのは、目利きのある上司の役目です。
それには内容で判断してはいけません。
若手のやる気、情熱、そして本質とコンセプト、哲学が重要なのです。

「哲学なき行動(技術)は凶器であり、行動(技術)なき理念は無価値である」
(本田宗一郎)

「なぜ、それをやるのか?」
哲学がないと成功の可能性はほとんどありません。
「人はなんのために生きるのか」
「ホンダは何の為に存在しているのか」
こうした本質的な部分がイノベーションでは大事になります。

かの有名な、ホンダの「ワイガヤ」は、これをあぶり出すことを可能としています。
なんてったって、3日3晩、年齢も役職も関わらず、皆でワイワイガヤガヤ激論をし合う。
このワイガヤについての記述がとても興味深い。
ホンダの強さの源泉がここにあります。
ブレインストーミングの走りなんだろうけど、その迫力が違います。

クリステンセンの『イノベーションのジレンマ』で述べられているように、
大企業は自らを否定することができないので、持続的イノベーションに終始し、破壊的イノベーションに対応することができない。
という考え方が一般的です。
しかし、本書は大企業でも破壊的イノベーションに対応できる術を示していると思います。

自動車業界は、EV化が進めば、180度違う業界になるやもしれません。
それでも、ホンダの哲学が残る限りは、今日本の電機業界が陥っている苦境の二の前はないのではと、希望を抱きます。

【参考図書】
『イノベーションのジレンマ』
(過去ブログ記事)
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=3670373

スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション
(過去のブログ記事)
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=3753799

経営に終わりは無い
(過去のブログ記事)
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=2310423

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