映画「マネー・ショート」を観て過去の愚行から学ぼう
「マネー・ショート 華麗なる大逆転」という映画を観た。
原題は ”THE BIG SHORT”
マイケル・ルイスの世界的ベストセラー「世紀の空売り」の映画化だ。
原作はすごく面白かったので、映画化が決まってからずっと楽しみにしてた。
ちなみに原作の感想文はこちら
ちょっと愚痴だけど、日本での宣伝方法がいまいち気に入らない。
ショートとか空売りとか金融用語を題名につけると、知らない人にとっては何のこっちゃ?だろうので、邦題に「マネー」という言葉をつけたのは仕方ないとして、「華麗なる大逆転」という副題で印象が一気に安っぽくなってる。そんなチャラい映画ではないんだけど。。。
ポスターや予告編も、どこか安っぽい。
日本で売るために経済に興味のない人にも見てもらおうと媚びてるけど、そんなことしてると、本当に興味ある人からそっぽ向かれるのではないかと心配だ。
あらすじを簡単に言うと、
2000年代中盤から後半にかけて、サブプライムローンが壮大な虚構であり、いずれ世界が崩壊することを予測した金融界のアウトローたちが、サブプライム関連の金融商品に空売り(ショート)を仕掛けるという話だ。
おっと、こういう題材で、パスと思う人。
難解な金融ドキュメンタリー映画で、興味のない人にとっては退屈な映画なんだろうと思うでしょう。
それは違う。
確かに、専門用語を知ってるに越したことはないですが、知らなくても十分にエンターテインメントとして楽しめる。
ミュージックビデオのような画面展開、音楽の使い方、個性的な登場人物、印象的なセリフ。
難解な専門用語対策も面白い、
いきなり物語を中断させ、登場人物が急に観客に語り出し、映画と関係ない誰それな人に例え話を話させたり。
下手をすれば、物語が崩壊し兼ねないこの方式がうまく機能し、観客を置いてけぼりにさせない。
一方で、観客の側へ降りすぎず、原作ファンも裏切らない巧みなバランスでできている。
ベストセラーの映画化は難しい。
2時間に収めるために原作ファンからは不評を受けるケースが多い。
あれもこれも詰めて、展開が早すぎるケース。
逆に、はしょりすぎるケース。
そういう失敗する映画が多々ある中、この映画は、アカデミー脚色賞をとっただけに、原作の良さを消さずに難解な金融の話をエンターテインメントとして2時間に詰め込むことに成功している。
映画化とはこういうことだという見本のような映画だ。
だから、老若男女、誰が見てもエンターテインメントとしても面白いし、経済の勉強にもなる。
2008年の金融危機、サブプライム、リーマンショックとは何だったのか?
それを繰り返さないためにはどうしたら良いか?
この映画を見て過去から学び、今後の投資、人生に生かそうではないか。
とはいえ、知った気になってはいけない。
この映画の冒頭で引用されるマーク・トウェインの言葉が戒める。
It ain’t what you don’t know that gets you into trouble.
It’s what you know for sure that just ain’t so.
Mark Twain
問題は知らないことではない。知りもしないことを知っているんだと思い込むことだ
(マーク・トウェイン)
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