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映画『沈黙‐サイレンス‐』を自分を含めた全てのダメ人間とプライドに囚われた全ての人間に捧げる。

 

 

 

ネタバレあり

 

 

昨日、居酒屋で隣のカップルがこんな会話をしていた。

「外国人と日本人の神父どっちにする?」

「日本人の方が安いけど、やっぱり外国人の方がいいよねえ」

 

どうやら結婚式の話らしい。

 

彼らはクリスチャンかどうかはわからないけど、クリスマスしかり、キリスト教は現代日本においてカジュアルに消費されている。

 

ここの居酒屋に来る前に、映画「沈黙」を見たからか、ふと思った。

300年前のキリシタンたちからしたら、想像もつかない光景だろうなあ。

 

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ネタバレあり

 

遠藤周作原作、マーティン・スコセッシ監督の最新作『沈黙‐サイレンス‐』は、江戸時代キリシタン弾圧下の長崎を舞台にした映画で、2時間40分という長丁場ひたすら庶民が拷問などで弾圧されていく内容で、とても重苦しい。

しかし、信仰とは、生きる意味とは何かを考える深い映画であり、役者の演技、特にイッセー尾形、窪塚洋介、浅野忠信、塚本晋也など日本側のキャストの演技が素晴らしく、ひとときも目が離せない展開に長い時間を感じさせない。

久しぶりに、人間というものを描いた映画らしい映画を見たという余韻、そして重い映画ではあるが、最後は魂を救済されるので、スッキリとした鑑賞の余韻が残る。

 

 

私は、クリスチャンでも仏教徒でもない無宗教、原作も未読。

偉そうなことは言えないし、自分の教養の無さを晒すようだけど、思ったことを素直に綴ってみる。

 

 

この映画はとても深く、テーマを絞ることは難しいが、私がこの映画から1番感じたことは、

どんなに弱い人間、ダメ人間、クズであっても、生きる価値はあるということだ。

 

窪塚洋介演じるキチジローが象徴的だ。

キチジローは弾圧・拷問が怖くて、何度も何度も踏み絵に応じる。

その様は滑稽だ。

自分の家族全員は踏み絵を拒否して火あぶりにされるが、自分一人だけ踏み絵をして生き残る。

水攻めに会うキリシタンを横目に躊躇なく十字架に唾を吐く。

自分の懺悔をいつも聞いてくれる主人公の神父ロドリゴを幕府に銀300枚で売る。

そんなことをした後でも、ロドリゴに懺悔を請う。

ただのアホなのか。クズなのか。

それでも、神父は都度、呆れ気味で懺悔に応じる。

 

その後、神父ロドリゴは、拷問にあってる信者を助けるために、踏み絵を迫られる。

「お前が棄教すれば助けてやる」

ロドリゴは葛藤する。

その時、今まで沈黙していた神の声が聞こえる。

「踏みなさい」

ロドリゴは、踏み絵をし、棄教する。

 

数年後、キチジローがロドリゴを訪ね、懺悔する場面が感動的だ。

もう神父ではないと戸惑うロドリゴだが、懺悔に応じる。

踏み絵をしたことで自らが弱い者になったロドリゴは、棄教したといえ本当の神父になった瞬間であった。

 

 

競争社会の現代。

我々は他人を無意識に値踏みしている。

自分の存在の満足を得るため、あいつは使えない。あいつはクズだと序列をつける。

 

学校の試験、勤務先の人事考課でも

あらゆる場面で人間は値踏みされる。

そこで、ダメ人間認定された人間は這い上がることが難しい。

ダメ認定されないように、日々長時間労働に消耗する。

 

ダメ認定された人間は本当にダメ人間なのか。

どんなにダメ人間でもクズでも惨めでも、生きる価値はあるはずだし、土俵が違えば輝くかもしれない。

 

死ぬくらいなら、プライドを捨てて、キチジローのように逃げるべきだ。

キチジローのように踏み絵をするべきだ。

 

挫折を知らない人間にはわからないかもしれない。

ロドリゴのように傲慢になる。

 

本当に強くなるのは、ロドリゴのように弱さを受け入れた時からだと思う。

踏み絵は弱さを測る道具ではない。

弱さを受け入れる寛容を測る道具なのかもしれない。

 

そして、踏み絵をプライドと読みかえてみる。

その踏み絵は人生をかけるだけの価値があるものなのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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